五品目
遅れてすいません…構想を練ってたらいつの間にかこんなに時間が、本当にいつの間に…
ふと目が覚めるとまだ夜が明けていなかった、たぶん三時くらいだろう。
「……クソ」
気持ち悪い、本当に気持ち悪い……。
「っ……」
あの顔が、汚い体が、下品な男たちの群れが私に向かってくる。
「ふんっ雑魚のくせに」
そういうやつらは全員おちょくって逃げてやった、何人か生きているかどうか分からないぐらいやっちゃったけど、この世界ではそれが常識なんだ。
深く考えすぎたらしい、気が付くと私の部屋に日差しがかかっていた。
「あー寝汗かいた、最悪だ」
固いベットから起き上がって固くなった筋肉をほぐす、温まった体と汗ばんだ体の熱が朝の冷気に吸われるのはとても心地が良かった。
「今日も快晴快晴!」
メイドの一日は清掃から始まる……はっ!?俺は泥棒だ!メイドじゃねえ!
「くそぅ、メイドが板についてきやがるぜ」
長い廊下を歩きながら先輩のメイドにあいさつする、夜と朝の交代制で一日24時間ずっとメイドは働いている、私?ジェイド様の御付なんで用がある時だけですよ。
ジェイドの部屋の前に立つ、解析の呪文の無駄遣いで部屋の中の主がまだ寝ているかどうかを確かめる……起きてるよー、超起きてるよー、扉の横で待ち構えてるよー。
「だめだあの変態、変態すぎる」
白い扉を睨み付ける、あんな変態馬に蹴られて大腿骨を折ればいい。
「ジェイド様ー起きてますよね?というかそこの扉の横にいるのは分かってますよ、と言うわけで朝食にしますよー出てきてくださーい」
あー駄目だ眠くて口調が間延びする、寒い。
「何で分かったんだ?」
「それは秘密です」
可愛らしく人差し指を口に当てる、技術っていうのは伝承させないものなのさ、誰しも利益は取られたくないからね。
パジャマ姿のジェイドを可愛いと思ってしまったのは一生の不覚だ。
「抱きしめていいかい?」
「死ね屑早く着替えろ見苦しい」
「お父さん悲しい!」
「HAHAHA」
このウザいキャラさえなければいい男なんだけどなぁ。
ジェイド様は食事が終わるとすぐに仕事が待っている、王国守護騎士隊長様は剣や魔法だけではとても勤まらないのであった。
「まあ要約するとジェイドざまぁ」
副隊長に首根っこを掴まれて情けなく連れて行かれる姿はかなり笑えた、あと少しで腹筋が崩壊するところだった。
「君は何を言っているのさ?」
「あーお子様には分かんないことなんだぜ」
何時もの場所で赤髪の少年と話す、話しやすいので最近重宝している。
「君だって子供じゃないか」
「ははは!私は14歳だよ、口を慎みたまえ」
「え、僕より3歳も年上だったの?」
「「………」」
「い、いたっ!ちょっ痛い!痛いよリアン!」
無言で脛を蹴る、あーうざい、すげーうざい。
「なんだ!お前が、言いたいのはっ、つまり、俺背ーたけー、って、ことだろ!」
「だから痛いって!言葉と一緒に蹴らないでよ!っていうかどうして同じ場所ばっかり蹴るのさ!」
「うるさいやい!」
背が低いわけじゃない!ここの世界の人間が大きすぎるだけだ!
そんな風に(ガキで)遊んでいるといきなり解析魔法に人が掛かった、しかも武装をしている。
「えーまじでー」
「どうしたの?リアン」
弓を持った人間が赤いガキに矢を放つ。
「ちっ!最悪!」
一体なんなのか分からないがとりあえずこいつを守らなくては、ガキの手を引っ張って私と共に井戸の陰になるように倒れこむ。
「わぁっ!?な、何するんだよ!リアン!」
顔を真っ赤にしているガキ、呑気なものだぜ、私は胸を触られたぐらいではどうとも思わんというのに。
ガキが起き上がろうとした瞬間頭の上数センチを矢が通り過ぎていく、おいおい、石で出来た壁に突き刺さるって、どんな威力だよ…。
これはやばい、どのくらいやばいかというとジェイドの二分の一くらいやばい。
二分の一だからと言って舐めるべからず、あの男は存在がチートなのだ、100の半分が50だとしても自分が50より上とは限らないのだ。
「ど、どうしよう!リアン!」
「馬鹿野郎!俺たちも足を使うぞ!」
「え?足?」
「逃げるんだよ!スモーキー!!」
「どうして僕の名前知ってんだよー!!後置いてかないでー!」
え、お前スモーキーって名前だったの?
新たな発見。