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一品目

「リアンー!?洗濯物よろしくー!」


早朝いらないぐらい長い廊下を掃除していると頼まれごとをされた。


「はーい」


先輩のメイドさんに洗濯物を頼まれたので心で悪態をつきながら表面上は朗らかに要件を頼まれる。


「ちっ、この家は毎日毎日洗濯物多すぎだっつーの」


周りに人気がないことを確認して悪態をつきながら貴族のお嬢様と雇い主の旦那様・婦人の服を綺麗に手で洗う。


私の名前はリアン、良くも悪くも変わり者だと自分で自負している、なぜなら私は転生者、そう前世の記憶があるのだよ!


魔法も希望もあるのだよ、前世で普通に死んでしまった私は今度こそ夢である『金のプールで泳ぐ』を達成しようと思った、が、この世界はそう甘くはなかった、貧民と貴族、魔法を使えるもの使えないもの、その差は激しかった。


貴族と貧民の間の子であった私は父の顔は知らないが魔法の才能は少しばかり有ったのでよしとする、ああ、ありがとう顔も知らないお父さん。


まぁ男から女に生まれ変わっちゃったり母親がいなくなっちゃたりと大変だが、私の夢に変わりはない。









「ふぅ、終わんねぇー」


この世界の生活レベルは中世並みで、汚い、非常に汚い、当然服も汚い、叩けば白い粉が出る。

そんな世界で貧民・平民に生まれた私は金のプールなんて夢のまた夢、娼婦は性病が怖くてやってられない。


魔法が使える私は考えた、せっかく前世の記憶があるのだから金もうけしようぜ?って。


才能のない私は一つしか魔法を使えない、だがそれで十分だ、周りの人間は私が魔法を使えることを知らない・・・だから虎視眈々と狙い続けるのだ、チャンスを。














洗濯が終われば次はこの屋敷の一人娘を起こしに行く、思えば貧民出の私が侯爵家の屋敷にメイドとして雇われたのも魔法のおかげだ、ありがたやありがたや。


「お嬢様朝でございます」


「んぅー……」


眠たげに背伸びをして眠気を飛ばしベットのから降りてくる美少女、私と同じ年で14歳、本当にこの世界の人間は馬鹿で助かる。


「ん……」


両手を肩まで上げて私に服を着させろと催促する、私は持っていた服をお嬢様が今着ている服と交換する。

この後は小奇麗な顔を洗面ボールで洗ってあげた後朝食となる。





「――――」


「――――」


朝食の時間侯爵家は一家団欒で食事をする、私たちメイドや執事は壁際でじっとしていないといけない、こういう時間も大切で侯爵一家のタイムスケジュールを把握するためにもちゃんと聞いておかなければならない。


私がやろうとしていることはばれたら極刑もの、速攻打ち首だ・・・慎重にしなければ。













昼の休憩中に自分の財産を数える。


現在24000Gとちょっと、平民の一年間三食飯付きで十分安心して過ごせる金額が12000Gだからかなりの物だ・・・だがまだ足りない、自分の夢はもっと遠いのだ。


数え終わった私はぼろっちいベットに身を沈め、ニヤリと哂う。


「明日で一年か……」


そう、明日で私がここに来てから一年だ、そして最後の日だ、この侯爵家に一年間務めるのが契約内容だった、正直つまらなかったし、わがままはきつかったし、後輩いびりは感動すらするぐらいだった。


特に仲の良い人間も作らず、悪い人間も作らず記憶に残らないように空気のように過ごしてきた甲斐があったというものだ、これで今日全てが終わる。

ベットの中からこの屋敷の見取り図を取出しもう一度確認して計画に不備がないか確認する、くくくっ、完璧だ。


屋敷の見取り図をどこで手に入れたかって?違うな、作ったのさ自分で、魔法を使ってな。

私の魔法の名前は『解析』本来は武器や防具の名前や質を確かめる魔法が使える者にとっては初歩の初歩のようなもの。


だが才能のない私はこれしか使えない、故に前世の知識をフルに活用して新たな可能性を見出した、それがこの見取り図だ。

家を『解析』して少しづつ作り上げたそれは完璧なもので、隠し扉の存在から屋敷の見回りの人間の巡回ルートなどなど全て事細かに書いてある……




ここまでくれば私が何をしたいか分かっただろう、そう泥棒だ。















「案外ちょろかったな」


小高い丘から月に照らされ夜の暗闇の中でも青白く見える大きな屋敷、後4時間もすれば夜が明け公爵夫人の着付けを担当する侍従が色々と気付くだろう。


それを睥睨し片手に持つ侯爵夫人のイヤリングを手の平で転がす、このイヤリングは公爵夫人の最近のお気に入りだった物だ・・・こんなの耳にぶら下げるとか感性が腐ってるとは思うが。

奪った金品はイヤリングやピアス、小さな宝石など目立たないものと、大きめのすぐ目につくような宝石と真珠のネックレス、そして奴らにとっては端金、私たち貧民にとっては神様の金と銀の貨幣数枚。


「公爵家は楽しいことになるだろうな・・・くふふ」


顔が歪んでしょうがない、大きめのすぐばれる金品は町に置いておく、侯爵家の伝手で売り飛ばしたものはすぐに捕まえられる、だが目立たぬ小さめな、貴族の中ではありふれているものはばれないだろうし足も付きにくい。


「これで一品め……今度はもっと上手くやろう」


メイドはもうこりごりだ……一番お金が手に入りそうではあるが。


今回の盗みで貯金は


24000→82000

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