第四話『またオレ何かやっちゃいました?』1/4
◆【学園教室】
オレを煽るヤツを絶対に許さない。
確固たる信念を掲げる男、竹原正明がこの日、地面に跪く。
正明「うぐぐぐ……」
地面にデコがくっつく程に頭下げ、苦痛の呻き声を挙げる。
正明「ぐぐ……お、お…おお!」
正明「やった! 取れた500円だ……ってハマルンのコインじゃねーか死ねえええええええええ!!!」
クソが……肩が外れそうな思いしてこれかよ。
後ろを見ると、同じく自動販売機の下から手応えのある表情を浮かべている望代。
正明「おい。そっちはどうだ?」
△【イベントCG025・100円見つける望代】
望代「くふふふ。100円!」
正明「おおおおおお、でかした!」
望代「くふふ夕飯代ぐらいは稼いだし」
そういって共通の袋の中を開ける。
一、二、……300円と10円。
正明「……」
望代「……」
文句を言い合わず、殴り合わず、二人は悲しみで溜め息をついた。
正明「なあ。お前家出だろ。キツかった帰れよ。ご飯あるんだろ」
首を横にふる。
望代「パパのクレカでガチャ回したらババアに勘当されたし」
正明「感動しねーよ」
くそ……飯二人分……流石にそろそろカロリー摂取しねーと病院送りだな。
望代「おいクソ人間。お前本当は金あるんだろ?」
正明「うるせえ死ね。今月負けてるんだよ」
望代「ウケる。自己紹介すんなし。ちょっとジャンプしてみろよ」
どこのカツアゲだよこのクソメンヘラ。
正明「竹原の命の掟その1。負けた月はお金を食費に割かない」
望代「お願いだから死ね」
正明「ぐだぐだうるせえよ。もうちょっと先に自販機ポイントがあるからそこで巻き返せるだろ」
望代「おーッ! なんだよそういう事は早く言えよ」
談笑しながら次の目的地に行こうとした時、
???「あれー、あれれ、もしかして……キャー、うそー。すごーい! マーサーだ。マーサー」
あん……?
今人に見られたくない事してるんでやめてほしいんですけど……。
レイナ「じゃじゃーん。スーパーウルトラアイドル。その名もスーパードライちゃんですよー!」
正明「おーー! えっとスーパードラァァァイ!」
レイナ「あははは、すごいおもしろーい」
やっべ、ど忘れした。こいつ名前なんだっけ。
望代「……え、本物?」
正明「あん?」
なに? こいつ偽物なの?
レイナ「……」
レイナ「えー、すごーい。かわいー。こちらの方、マーサーの彼女さんですか?」
こういうのよこういうの。
前回ジャンと二人で歩いていた時、ジャンを彼女と言ったのに、今隣に別の女がいればすぐに察するこれ。
わかるかいクソメンヘラ? 気遣いっつーか心遣い。これ日本の美徳。わびさび、わかるかい?
わかってたら生まれてねーか。なんで産まれてきたんだコイツ。
望代「ごめん、聞こえないし……」
望代「モチ今、長い間ご飯食べてなくて聴力が……」
空腹と聴力って関係あるって初耳だわ。
レイナ「あの、せっかくこうやって会ったのも何かのご縁なので、食事でもどうでしょうか?」
望代「初めまして鏡望代です。モチは進藤レイナの大ファンだし。CDも全部持ってます」
レイナ「ありがとうございますー! すごく嬉しいです! レイナCD出した事ないけど、デビューしたらよろしくお願いしますね!」
CD出してないんかーい。
正明「ふ。誘いは嬉しいけど、オレらって最高級和牛しか食べないけど大丈夫か?」
レイナ「全然全然! その程度レイナ全然奢っちゃいますよ!」
正明「……」
望代「……」
正明「チッ」
望代「ケッ」
レイナ「……え?」
貧困組の間でなんとも言えない空気が切り替わるのがわかった。
望代「……な、なあ。モチも本当に行っていいん、だよ、ね……?」
いつものふてぶてしい態度が取れないぐらい、食事を求めて弱っているのがわかる。
正明「は? レイナちゃんとのデートについてくるのかよ」
望代「飯食ってからデート行けよ。な? モチレイナのガチファンだし。握手会とかもう行きまくるし」
レイナ「あのー、横からすみません。できれば是非ミモちゃんも同伴お願いしたいです」
望与「名字は加賀じゃなくて鏡な。「かがみもちよ」で「かが」だったらモチの名前「みもちよ」で意味わかんなねーし」
言っとくけど「もちよ」もあんま意味わかんねーからな?
レイナ「えー、でもミモちゃん可愛いじゃないですかー! ミモちゃんにしましょうよ! それにレイナ立場上、男の人と二人きりだといろいろとまずいんですよ。レイナ大好きファンの男性が1億人いますから、もう毎日大変で大変で」
すげえな。男だけで1億人とか世界規模じゃん。
三人は焼肉屋に向かった。




