第二話『闇の住人、夜の住人』3/3
◆【六道組事務所】
ロク「竹ちゃん。最近結構遊んでいるらしいのお」
正明「……」
さて……。
お説教タイムが始まったので、不貞腐れるガキみたいにタバコを火をつけて反抗心を見せる。
正明「オレはWENSCASINOには入れなかったぜ?」
ロク「ほっほ。ワシは何も言っていないのう。子どもの夜遊びを注意するのは大人の役目じゃろう」
チッ。社会のゴミ溜めが偉そうに。
ロク「子どもだった竹ちゃんも、お酒と女にハマる年頃かのう?」
正明「酒と女と博打がキライなヤツなんていねーよ」
ロク「ほっほっほ」
さーて、呼び出されたはいいがどうなるか……。
駆け引きできない相手。かつオレに都合の良い物をくれる相手じゃない。
よって、ここは何事もなくやり過ごせるのが一番良いんだが……。
正明「これな。ロクさんの店でディーラーがイカサマした写真だ」
駆け引きの切り札である携帯の画像を先に提示する。
こういうヤツを相手にするなら先に腹を見せて屈服するように見せるのが一番傷が浅い。
ロク「ん? ワシの店じゃないのう」
正明「入り口に居たヤツ、確か……清水とか言うヤツが六道組だと……」
ロク「ワシは知らんと言っている」
正明「……」
あー、面倒くせ。どうすんだよこれ。
ロク「竹ちゃん」
ロク「竹ちゃんはワシと、友達じゃろう?」
正明「そういうねっとり遠回りして言質だそうとか面倒くせえ。要求あるなら言ってくれよ」
ロク「竹ちゃん、お金に困っているんかえ?」
……あ?
ロク「ほっほ。友達の窮地。ならば、助けないといけんのお」
正明「……」
なんだこいつ……。
ロク「時に、ちょっと博打が強い打ちてがおってのお。そいつを竹ちゃんの力でどうにかできないかのお」
ロク「確か……ラシェルだったかのお」
ああ……そういうのね!
つーか前回ロクさんと話した時、自分でラシェルの事口にしてただろうが痴呆症が。
当然オレがこいつに食われたのも知っての事だろう。
ヒヒヒ。
正明「ッハ!」
つまり、六道の高利貸でラシェルにぶつかって死ね、ってことな!
正明「いくらロクさんといえ――口には気をつけろよ」
正明「乗るに決まってんだろ――! あの男女はぜってーぶっ殺す!」
わずかに唇の端を上げる。
満足そうに、まるで獲物が罠にかかる瞬間を見届けたかのように。
ロク「ほっほ。頼もしいのう。流石竹ちゃん。男の中の男じゃ!」
その笑みは柔らかく、けれど冷たい硝子の奥で、何かが静かに鈍く光っていた。
近藤さんの話じゃラシェルも所場代を六道組に払ってるってわけで。
つまりオレが高利貸で借金漬けで絞って、その金をさらにラシェルから回収して絞るって魂胆だろ?
……ハゲタカめ。
正明「ま、金作ってからまた来るわ。その時足りなかったら融資お願いします」
正明「あー、こっちも遊んでねーで節約だな。前のセフレに貢がせて酒も控えて麻雀麻雀の毎日だな」
ロク「……」
正明「ん?」
ロク「竹ちゃん」
正明「あ、どうした?」
ロク「……」
正明「ああ……わかったわかった。雀荘ももうダメだったな。わかったってば。ガキのオレはそういう相手を増やさないって約束するわ」
正明「でもラシェルとやる資金がねーんだわ。ちょっとぐらい見逃してくださいよ」
ロク「……」
ヒヒヒ。サンキュースケスケ。
焼き肉キング分の情報の価値はあったわ。




