第十二話『フィッシュではなくスリーセブン(前半)』4/5
◆【WENS内装】
正明「おいっすー……ってあらら、浜田ちゃんいねーのかよ」
ディーラー「そうなんですよー。人数いないとつまらないですからね」
ディーラー「もしよろしければ3人でもいいですよ」
恭介はやらない、と手を横にふるジェスチャーで応える。
正明「んー、田中君もやる気ねーみてーだし、今日はこの辺にするかな。まあボチボチ勝ったしな。ヒヒヒ!」
ディーラー「……」
ディーラー「もしよろしければボクとヘッズアップ(1VS1)でもいいですよ」
正明「場所代高いからいーや。裏ポーカーは別の店知ってるからそっちでやるかな」
ディーラー「え、どこですか?」
正明「あー、すみません。言えないんですよ」
ディーラー「……そうですか」
ディーラー「あ、それなら斉藤さんポーカー初めてみたいなんで、特別に他の人が入るまで場所代無しでいいですよ」
正明「え、本当ですか?」
ディーラー「はい。せっかくいらしたんですからね!」
ディーラー「やっぱりポーカーファンは増やしたいですから」
うまく行き過ぎてる。
場代免除なんて普通に裏カジノのディーラーならご法度だ。あとで六道のゴミ達に殺されても文句は言えまい。
当たり前だが、そんなリスク踏むわけない。
つまりこの店の店主は黙認している、或いは逆に客から絞れと命じられているか。
『助かったぜ』
加えて、ラシェル・オンドリィに絞られた傀儡か。
都合は良すぎるが、そうなると言うことは逆にこの流れは必然。
ってことは、だ。
△【イベントCG001・襟を立てる竹原正明】
――100%ボコれるっつーことだよな!
正明「今日は調子良いからな。バイインは30,000。どちらかが0になるまで勝負しようぜ」
ディーラー「……3万円、ですか」
正明「あーん、小せえか?」
ディーラー「実はボク、今日給料日なんで、結構お金持っているんですよ」
ウソつけクソガキが。
正明「うっし。じゃあキリ良く10万だ」
ディーラー「わかりました! では、中央にお金置いてください」
正明「うん。そっちもお願いします」
うひょー。10渋沢! うわー、うわー!
正明「あ、確認なんだが、これ勝って手数料かかるとかねーよな」
ディーラー「はい。大丈夫ですよ。でも、お客さん来るまでの間だけ、本日だけの特別ですよ」
なーにが特別ですよーだ。
ディーラー(馬鹿め……!)
ディーラー(お前みたいな初心者は本当にありがたいよ)
正明(カスめ……!)
正明(てめえみてえな自称玄人君はいつ見ても楽しいなあ)
それからしばらく、ポーカーが続いた。
ディーラー「……」
正明「……」
ディーラー(斉藤……さっき素人と言っていた割にストラテジーはある程度把握している)
ディーラー(だけどチップとカードの扱いを見ると素人の言葉にウソはない。オンラインのプレイヤーか)
正明「……」
展開は、若干正明がリードしている。
100,000点保有から10,000点増えての110,000点。オールインなどの極端なベッドは双方あったが成立せず、ジャブの打ち合い。牽制で若干プラスになっている。
……オレ、思ったよりも強くね?
ルーレットに関しては本当にたまたまプラスになっただけだ。
だけどその前のポーカーと高木君と。打っていて思う。
いつもポーカーで遊んでいる程度のガキなら、オレの方が強いんじゃないかと。
もちろん今やっているゲームはテキサス・ホールデム。
極端な例だが、オレの感覚値からすれば世界チャンピオンと未経験者が仮に勝負したとしても、全部オールインすれば3割前後は未経験者でも勝てるはずのゲームだ。
こんなのただの運で、たまたまプラスになっている……とかも思ったが、そうじゃない。
こいつら相手なら、押し引きで勝てると感触がある。
ディーラー「ダウン」
場に表で表示されているエースを二枚伏せ、シャッフルしていく。
正明「……」
そして配られるカード。Q,Jの良カード。
正明「コール」
ディーラー「レイズ30,000」
場に出ているのはK,J,4。ストレートの目はほぼないがJがヒットしているのでワンペア。
無論、こいつがKを1枚持っていればJJのワンペアより強いKKのワンペアで負ける。
だが――。
正明「リレイズオールイン」
オレは、こんなカスとポーカーするつもりはない。
ディーラー「コール」
高木君から得意げな笑みが漏れるのを見て確信する。
ポーカーする気がないのは、こいつも同じで――。
流れるようにバーンカードを一枚伏せ、下唇を噛みながらターンカードを――。
正明「甘えよ」
△【イベントCG020・イカサマ現場を押さえる正明】
ディーラーの両手を。大胆にもトランプの下からカードをめくるその瞬間を掴まえた。
ディーラー「ひっ……な、なっ……!」
カシャ。
ディーラー「ああああぁぁ……ッ!」
場違いなシャッター音が、鳴ると、わかりやすいぐらい錯乱をする。
ディーラー「な、ヒッ、あ、あっ。な、何を……」
正明「何を? してるんだ?」
正明「――高木君?」




