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第二話『ヤクザの朝礼』1/2

◆【六道組】

ロク「確かに……三日以内なら無利子無利息と言ったがのう」

正明「なあ。無利子と無利息って何が違うんだ?」

ロク「貸した側と借りた側の違いじゃよ」


貸し出しできる最高額である2,000万円の渋沢を返し終え、一つ胸を撫で下ろす。


……こういうヤツから金借りて"たまたま"その日に泥棒入るとかも想定してたからな。


そういうのも色々予測したからこそジャンやスケスケには今回はいつもより多めのマージンを支払ったが、幸運なことに杞憂で終わってくれた。


当然、この融資は使うつもりは一切ない見せ金である。

先日Queensで活用した見せ金。

当然正明としては六道組への完全な信用はない。


が、借りれる相手となればロクさんしか――


正明(――もう一人、いるけどな)

何せ次のターゲットだ。


あのメンヘラから金借りて、ってのは違うだろう。



ロク「そんな事より、ラシェルはまだ生きているがのお」

正明「前話してから一ヶ月経ってねーだろ。こっちも色々準備あるんだから少し待ってろよ」

ロク「ほっほ。まあ急かすわけじゃないんだがのう。それなら単純に誰を相手にしたのかと気になるわけじゃ」

正明「ムカつくヤツなんて街中どこにでもいるわ」

ロク「ほっほ。言われてみればそうじゃのう」


ほんじゃ、と席を離れようとするが座れと指示される。

ロク「まあ急がなくてもいいじゃろ。せっかく顔を出してくれたんじゃ。ゆっくりしていきなさい」

お婆ちゃんの家とかじゃねーんだから……つーかここ特定指定暴力団事務所だろ?



正明「特定指定暴力団事務所……合ってる?」

ロク「知らんのお」


座り直すと二人してタバコに火を付ける。

極道映画で見たまんまの日本風大理石のようなテーブルにガラスの灰皿。


昭和のバブル期を連想させる室内はもう日常となりつつある。


ロク「竹ちゃん。ワシがなんで今日まで生きてこれたかわかるかのお」

正明「ヒヒッ。なんだうぜえ! ラシェルはオレが殺すんだよ! はらわた煮えくり返ってんのはオレで、あの男女には一番イライラしてんだよ!」


本物が見せる怒りの熱量。

これは六道が常に見てきた日常であり、その表情を見た以上正明に対して疑いはない。


ロク「ほっほ。ちがうちがう。世間話じゃよ。そんな事竹ちゃんに頼むわけないじゃろ」

ロク「ワシはのお。超能力があるんじゃよ」


六道は正明の顔の形をなでるように両手を正面にかざすと、うむうむと頷く。


ロク「竹ちゃん、死相出てるぞ?」

正明「ッハ。くだらねえ。そんな力あるならパチンコ当てろよ」


深く煙を吸い込むと、換気のない部屋に煙が充満する。


正明「暴力団組長に死相だの言われるとか、それ言われるって最高にウケるよな」

ロク「じゃろう。最後ぐらい何かしてあげたいって親心が動くんじゃ」

まあこのジジイも暇なんだろうな。

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