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第十三話『これぞまさにポーカープレイヤー!』5/9

正明「ああああああ! くだらねえなこのゲーム! 面白くねえ!」

正明「なあ。千尋ちゃんって彼氏いんの? もう二人で遊び行かね?」

千尋「あはは、ごめんなさいです。今日は用事ありますです」

正明「チッ。おい。金」

斬「……」


正明「金!!!」

声高らかに叫ぶと、女の財布から3,000円が出てきた。


晃「……」

千尋「……」


ダリア(フフフ……)

なるほど、なるほど。他に客はいない。ということは、結構長い時間粘っていて、それでいて晃が人払いをしたってことか。



晃「なあ。お前いい加減にしろよ」

正明「ああ? うるせえ。殺すぞおっさん」

晃「じゃあ賭けるか? 好きな金額出していいぞボク」

正明「……舐めてんのかてめえ」

晃「ああ。舐めてるぞボク」


ガクン、と正明の頭が落ちると髪の毛がバサリしなる。

そしてゆっくりと顔を上げる演出。


正明「ッハ。上等だ――やってやろうじゃねえか!」

決め台詞。

その言葉を引き出すのを待っていたのだろうか。


正明「おい金出せ」

斬「……」

正明「おい」

斬「……」

正明「おい!!! いい加減にしろよ!」

斬「キャア!」


激昂して立ち上がると、自分の女を容赦なく殴り倒した。


晃「……ッ!」

千尋「……」

千尋(男って本当にしょうもない……)


斬「う、うぅ、ううう……」

正明「恥かかせてんじゃねーよブス!」


女の財布をテーブルの上に捨てると、自分の財布を取り出した。


正明「千尋。このラーメン割引券1,000円で買え」

千尋「ムリですー」

舌打ちしながら、財布の中の使えそうな商品券とレシートがポーカーテーブルの上を散らかしていく。

ポイポイポイ捨てられる中、

千尋「……ッ!」

晃「な……!」


くしゃくしゃに丸まった、一枚のチケット。

それは――WSOPチケット。


千尋「な、う……ッ!」

千尋「……ッ!」

正明「チッ。なんもねーや。オレが3万と、こっちの財布が……ああ? なんだてめえ。おおお、結構はいってんじゃねーか。死ねよバカ。さっさと出せっつーの」

千尋「ちょ、あの……竹原さん」

千田千尋の視線は、そこに注がれていた。

千尋「そのチケット、見せてもらっていいですか?」

正明「あ? ほれ」

ポイっ、とコンビニのレシートのように雑に投げると、それを受け取った千尋は大事に、宝物のようにシワを伸ばしていく。


千尋「……ッ!」

千尋(特別招待枠……しかも、Cグループ……ッ!)

晃(なんでこんな子供がシード枠なんて……)


ダリア「……」

正明「あー、そだそだ。それ木葉からもらったやつ」


晃(木葉……? 誰だ……)

千尋(やはり風雪木葉……!)


正明「そうそう。それ結構価値あるんだろ? これもベッドするとかできんの?」

千尋「できるです」

晃「おい千尋……!」


目の色が変わる千尋を、どう諭すべきか晃は判断に迷った。

千尋「勝負するなら30万円として扱っていいです」

正明「フハハハハハ! バカかよこいつ! これ100渋沢以上の価値あるって木葉から聞いてんだよ」

千尋「ぅ……」


正明「おい紫ババア。てめえ席どこだよ」

ダリア「おやおや、忘れられてると思って寂しかったねえ」

そう言って見せつけるチケットは同じく特別招待枠のEグループチケット。

正明「ほーん。E-1ね。じゃあ決勝で勝負だな」

ダリア「順当にいけばそうなるねえ」

そのまま正明と同じようにチケットをポーカーテーブルの上に置いた。

正明「おいおっさん。二百万で買えよ」

晃「バカ言うな。オレは既にチケットもっている」

正明「マージで。こんなおっさんも参加するんだ。あはは、ウケる」

晃「……」

ダリア(――気付いているかい、晃)


この少年は、今、"場を作っているのに必死"なのさ。

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