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第七話『クラス保有者の実力』5/5

春樹(弁えろ言われてますよ。いや、まあボクらなんて箸にも棒にも掛からないです、ええ)

ダリア「いやいや、あたしも歳を重ねているからねえ。わかるよ。流石はコールドストリーク薩摩真司ときたものだ。あのブラックボックスを叩きのめすとは実際大した物だ」

ダリア「コールドストリーク。そしてリジェクト殺しのピーターパン。良いコンビだねえ。あんたらが苦戦する人間なんて、そうそういない? そう。その通りさ」

ダリア「だけどコロニーフォードは落とせない……じゃないんだよねえ。主語はそこじゃないんだよ」

春樹「ん? それはどういう意味ですか?」


ダリア「MMM。今あんたが口にしているのはただの人の子じゃない」

ダリア「化物さ」

春樹「……」


化け物。

それを魔女が言うのだから面白い。


ダリア「あんたと薩摩ごときじゃ、あの怪物の足元にも及ばないよ」

こちらも、言葉に詰まった。

ダリア・グリフィスでさえMMMの評価がここまで高いのは正直予想外だった。


春樹「ハルトムート・アインホルンも色々風雪グループの動きを観察していました。ランドカジノ。水上カジノ。他にも狙いは様々あるようですが、唯一わからない事があります」


ダリア「ああ――」

春樹「はい。WSOPです


何故ポーカーの世界大会を日本で開くのか?

パチンコ店のようにどこでも気兼ねなく賭けポーカーができるわけじゃない。

東京、大阪、沖縄と全国三箇所の実施ならポーカー人口が増えてもそれを収納できる賭場が提供できない。


加えてギャンブルを流行らせるならルーレットやブラックジャックの方が店の売上に直結する。

風雪木葉かキニー・ブラウンか、とにかくWS社はWSOPにかける多大なる熱意の正体。収益化するビジョンがまるで見えない。



ダリア「あんたの見立て通り、この企画は99.9%失敗するねえ」

なるほど。それならやはり――、


春樹「どこかの業者にお金を流すことが目的なんですね」

ダリア「……フフフ」

嘲笑? そんな事もわからないのかと? とはいえ、WSOPを開催する事で得られる利権、儲かる組合や意味は……。



ダリア「そんなんじゃないさ。お嬢様の癇癪だねえ」

ダリア「あんたの見立て通りさ。99.9%失敗する事業。金にならない企画。成功どころか、その条件さえも見えない愚行さ」


ダリア「だけどもし――そうだねえ。もしも、"成功"する事になったら……大変な事なる。世界に打って出るんじゃないかねえ」



WSOP日本開催の成功……。

イマイチイメージが掴めない。


大会が大盛況してめでたしめでたし、という程度の話ではないのか?


春樹「……それは、どういう条件なんですか」

ダリア「外部の私にはわからないよ。恐らく、それは風雪グループ内部の役員達もだろうねえ」

ダリア「きっと、日本中にポーカーブームを巻き起こすような、スターが生まれるんだろうねえ」

ダリア「それが出来たらキニー・ブラウンが金に変えるんだろう。あたしにゃまるで理解及ばない範囲だけどねえ」

春樹「……」

大雑把すぎるよな……。



圧倒的なスターがいれば現金化できる。

確かにキニー・ブラウンの経営手腕ならそういったビジネスの類は可能だろうが、それならば規制や既得権の打破や別の壁がどうしても高く聞こえる。



手相を見せるようにシワシワ手を天井に開くと、その動作はまるでナニカを吸い寄せるように見せた。

ダリア「私ら凡人にはわからないさ。吸い寄せるのさ」

ダリア「掴めば切れるようなか細い手綱を握れるか。そのチャンスをゆっくり待って掴んで手繰り寄せる。それが私達凡人だねえ」

ダリア「持っている者は舞い降りる。運。運命。ヒキ。因果。シナリオ。よくわからないけど、そういうのだねえ」

ダリア「成功の道へと繋がるように、0.1%が勝手に向こうからやってくる。気付いたらもう手中に収まっているのさ」

春樹「……」

何を言っているんだ。それじゃまるで……。

春樹「それって……ただの偶然、ってこともありますよね」

ダリア「凡人のあんたに凡人のあたしから質問だ。あんたは0.1%が何回連続で当選したら必然と考える?」

春樹「……」

ダリア「そういう事だねえ」

ダリア「それが、風雪お嬢様さ。今ももしかしたら、成功への道筋の相手と一緒なんてこともあるかもねえ」

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