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来人とリリシア

今回は2500文字くらいです。

 どうもこんにちは。来人です。本日はリリシアの様子を見に真紀とダグリウスの第207世界担当執行部のある建物にきています。ダグリウスの建物はなんと一般公開しているんです。とてもいい趣味をしてると思います。さてと。

 

 「長ーい。いつまでまたせるんだー」


 きれかけた来人がそう叫ぶ。ダグリウスの建物に入るのかれこれにもう6時間まっている。それだけ人(神?)が多いため並んでいる待ち時間が長いのだ。

 

 「あ、来人先輩順番来ましたよ。ってそんなに急がないでください。怪しまれますよ。」


 はっ、と我に返る来人。前までラノベごしでしか会えなかったが、いよいよ生でリリシアに会えるかと思うと心がおどるのだ。ん?巨大な水晶から見るだけだから生じゃないって?うるさい。気持ちの問題だ。


 「来人先輩、ちょうどクライマックスじゃないですかー」


 来人達が巨大な水晶のある部屋に到着すると、ちょうど勇者トモヒロに魔王が打ち取られるところだった。


 「へーこれで勇者トモヒロ伝説はおわりなのか?」


 それならリリシアもらってもいいんじゃね?そう思っているとーー


 「先輩、リリシアさんです」


 画面にリリシアがうつる。たしかリリシアは父親がドドクマ王国に反逆した罪でとらえられ(俺は無実だとおもっている)逃げる途中でトモヒロと出会い、しばらく父親の無実を証明するため一緒に冒険するが、最終的に事情を知ったトモヒロが自分をだまそうとしたといい王国につきだしたはずだ。ラノベでは完全な悪役だ。だから今は王国の牢屋にいるはずである。



~ドドクマ王国牢屋にて~

 

 「リリシアもう聞いたと思うが魔王は死んだ。貴様が処刑されるのも時間の問題だろう。」


 いかにも怪しいフードの男が牢屋の前に立ちリリシアに言う。


 「そうですか。あなたはだれですか?いや、もはやそれすらどうでもいいですね。」


 「悔しくはないのか?お前の父親は無実だった。」


 「それはーー悔しいですよ。でも仕方ないのです。そういう運命だったから。」


 「ここに薬がある。魔王の角をすりつぶしたものだ。人間を超えることができるだろう」


 「これはーー」


 「つかえ、父のためにも」




 


  ぶっ、という音とともに急に水晶がくらくなった。


 「今回はここまで。魔王を倒しても終わらない物語。次回にご期待ください。」


 と明るいアナウンスメントが広い水晶の部屋に響く。


 「おもしろかったー」  

 「リリシアがラスボスは予想外だったー」


 そう言いながら満足した様子で帰る神たち。

 

 「来人先輩ー」


 不安そうに真紀がこっちを見てくる。


「ああ、大丈夫だ。でももう時間がない。おそらくあの薬をリリシアが飲んだ時点でゲームオーバーだ。早く帰ろう。」


 そういって二人は来人達執行部の部屋に急ぐのだった。


 

 来人達が帰ると全員が集まっていた。代表してグラグが口を開く。


 「来人様やはりやられるのですね。」


 「ああ、すまない。みんなには迷惑をかけることになる。」


 「謝らないでください。みんな来人先輩のそういう優しいところにひかれてここにいるんです。どうなろうが我々は来人先輩にお供します」


真紀の言葉にみんながうなずく。来人はちょっと感動して泣きそうになる。


 「ありがとう、それでは第407世界担当神の名において召喚を開始するーー対象第207世界リリシア。」


 巨大水晶がぼっとまぶしく光る。そしてーーーー4つの誰かの魂が来人の前にあらわれる。


 「あ、間違えて違う人召喚した。」


 本気で焦る来人。


 「何やってるんですかー。先輩。やばいですって」


 「いやいや転生神に間違えはつきものだろー」


 「どうするんすっか?これー。サクの力じゃどうにもならんっすよー。」


 さっきまでの感動的な雰囲気はすっかりなくなり気まずい空気が流れる。


 「あのーこれ僕たち死んじゃった感じですかー。」


 はっと、顔を見合わせる6人。


 「魂がしゃべったー。」


 「そりゃしゃべりますよ。先輩とりあえず謝りましょ。」


 「ああ、すまない君たちは間違って召喚されてしまったんだ。」


 「はーまたかよ。」


 また、とはどういうことだろう?疑問に思いつつも、え?これチート能力とか上げないといけないやつ?とビクビクする来人。


 「あのー僕の世界にいってもらっていいですか?チート能力ほしいですか?いりませんよね?そうですよね?かんにんしてください(泣)」

 

 もはや神のプライドを捨て去り土下座する来人。


 「それならいい。どうせ誰も俺にかなわない。」


 凄い自信だ。でも何はともあれ助かった。来人はその世界の安定を乱すチート能力が大嫌いだ。もちろん見てる分には面白いがその裏では必ずと言っていいほど犠牲となる人がでてくる。


 「じゃ、がんばってくださーい。」


 来人がそういうと4つの魂が巨大な水晶に吸い込まれていく。


 「さて気を取り直してやっていきましょー」


 「来人先輩次はないですからね。」


 ちょっと怒ったように言う真紀。ヤバイコワイ。


 「じゃ、じゃあ、えーと、第407世界担当神の名において召喚を開始するーーー対象第207世界リリシア。」


 水晶が光り一つの魂が召喚される。今度は成功したようだ。


 「ここはどこでしょう?私はあの薬を飲むところだったのですが?もしかして私死にました?」


 これが生のリリシアか、と感慨深く思う来人。


 「これ以上君が苦しむのを見たくなかったから。今度は僕の世界に来てもらうよ。」


 「ありがとうございます。でも、私はもう一回新しい人生を歩むのでしょうか?」


 不安そうに言うリリシア。今までの記憶がなくなるのが怖いのだろう。そんなリリシアに来人は優しく言う。


 「ううん。そのままで召喚される。だから君の剣の腕もそのまま。まだ今回の人生で幸せになれていないのに転生はもったいないよ。そしてできればさ、僕の世界にはまだたくさんの不幸があるからそれを僕と一緒にうちくだいてほしい。」


 「私を必要としてくれるんですね。私、神様に嫌われてるかと思ってました。」


 「君の世界の神はね。でも僕はむしろ君がすきだよ。」


 優しく笑う来人。


 「あー初めからあなたの世界で生まれたかった、、、私はあなたの剣となることを誓います。」


 そういうリリシアの魂はどこか泣いているように見えた。もちろんそれは今までのような悲しみの涙ではないのだろう。

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