いざ第407世界へ
今回は3400字程度です。ちょうどいい文字数が何文字なのかわかりません。
白い光が消え目の前には大自然が広がっていた。
「ここが俺の世界かー。なんと素晴らしい世界だ。よく見ると遠くに町も見える。」
感慨深くそうつぶやく来人。
深く息をして、うん、空気がおいしい。そしてゆっくりと回りを見渡す。
目の前にはどこまでも深い森林。暴れまくるモンスター。飛んでくる木。あれ?人間は?
ドーン、という音を立てて来人の目の前にささる木。ふと、そちらを見てみるとでっかい蛇がこちらをみている。そして来人をみるとすぐに襲ってきた。
「は?なんでこの世界の神がおそわれてんの?」
意味がわからない、と嘆きながら逃げる来人。ん?お前神ならなんとかできるだろって?ムリムリ。いくら担当神とは言えども天界から雷とか落とせても地上にいったら無力なのだ。
「この無礼者ー。」
無理だおいつかれる。その時、、
「つかまってお兄さん。」
そんな声と同時に上からつたが垂れてきた。とっさに来人はそれにつかまる。すると来人は素早く木の上にひっぱりあげられた。
「あぶなかったねー。というか見ない顔だねー。お兄さん名前は?私はセア。」
目の前には赤髪の元気のよさそうな子がいた。よし、ここは一つ神の名のもとにお礼を言おう。来人のことを知らないなんてあるわけないきっと何かの冗談だろう、と思う来人。
「俺は来人、この世界の神。ああ、そうかしこまらなくていいよ。」
我ながらなんと良い神だと思う来人。ん?なんだ?まるで頭のおかしな人を見つけたような顔をしてるじゃないか。
「なにいってんの?とりあえずつれていっこーと。」
がしっと手足をしばられ連れていかれる来人。なんで?君たち僕誰だか知ってる?(泣)
「すみません。なにをやってるのでしょうか?」
もはや神の威厳などかけらもない来人が問う。
「あなた普通に頭おかしいひとじゃん。おばあちゃんにお祓いしてもらうー」
手足が縛られて動けない。というかお祓いの仕事をしている親の息子がお祓いされそうになっている?
はは、笑えねー。謙遜なしの愚息じゃん。
「着いたー。ちょっと待ってって。あんま動かないでよ。」
周りを見ると広い洞窟だった。中では30人くらいが生活していた。
「あれ?こういうのってまず町に連れていくんじゃないの?」
思わず聞いてしまう来人。
「なに?あおってるの?私たち町から追放された人たちなんだけど。」
ん?追放?俺の世界でそんなことは許さない。のちのち改善していくとしよう。だからその棒みたいなやつでつつくのめてー。ちょっと痛い。
「あのー喉乾いたのですが水をくれませんか。」
これ以上怒らせたらまずいと思い敬語を使う来人。
「ちょっと待ってって。今雨水とってくるから。」
「は?雨水?」
「うん。だからなに?」
やばいーーー。もうなんか棒じゃなくて金属のようなものをとりだしてきてる。もうどこに地雷があるかわかったもんじゃない。おとなしくしておこう。
「あ、おばあちゃん。頭のおかしな人がいるのー。お祓いお願い。」
やばい雰囲気の老婆が歩いてくる。
「おかえり。セア頭のおかしい人は何回か頭をたたくと治るんだよ。」
いつの時代だよ?つかそれで直るのテレビな。と心の中でコッソリつっこむ。
「わかった。来人。少し我慢してね。」
腕まくりをするセア。うん、知ってたよ。認めようここは素晴らしい世界なんかじゃない。地球の100倍住みにくいせかいだーーー。
翌日、よく晴れた日来人は目を覚ます。昨日の悪夢はどうやら夢ではないらしい。隣で赤髪の少女が眠っているからだ。
「あ、来人起きたんだね昨日結構強くたたいちゃったから不安だったんだ。ごめんねー。」
どの口が言うんだろうかと思う来人。まあいい、俺は心の広い担当神なんだ。
「今日の朝ごはんだよ。」
セアがそういって硬いパンをわたしてくる。うん、おいしくない。しかしセアたちの状況を見るとそれも仕方のないことなのかもしれない。
「なあ、セア、町に戻りたくはないか?」
「そりゃ戻れるなら戻りたいよー。モンスターだって襲ってくるし。でもそれは無理。じゃあ少しでも
楽しく生きていかないと。来人っていう新しい仲間もできたしみんなといっしょならそれでいいよ。」
「さしつかえなければなんで追放されたかきいてもいいか?」
「神託がきたんだって。私たちを追い出せって。神官さんたちに追い出されちゃった。私たちは神様にきらわれてるみたい。」
ちょっと悲しそうにいうセア。それを見て来人は少し苛立ちを覚える。それもそのはず来人をはじめこの世界の担当執行部がそんなことを言うはずがない。おそらく町の神官がかってにやったことだろう。ここが地球だったら来人は何もできなかった。だがここは来人が担当神を務める世界。そんな勝手なことを許すほどこの世界の担当神は落ちぶれていないのである。
「セアちょっとしばらくいなくなるよ。」
来人はとりあえず天界に帰ることにした。執行部のみんなに聞きたいことが山ほどある。
「来人もしかして町に戻っちゃうの?」
セアが寂しそうに聞いてくる。
「違うよ。もし今度、俺が町に行くようなことがあったらその時はセアやみんなと一緒だ。」
「わっかた。約束だよ。」
そう言ってセアや他のみんなに別れを告げる。なんだかんだみんな1日で来人を受け入れてくれたとてもいい人たちだ。来人は絶対にこの人たちを絶対に町に戻そうと思い、天界に戻るのだった。
「おーい。みんな集まってくれー。今すぐに」
天界に戻った来人はさっそく執行部に集合をかける。
「何ですか。来人先輩、朝からうるさいです。」
眠そうな真紀が部屋にはいってくる。そのあとすぐに他の4人も部屋に入ってくる。どうやら天界は今早朝らしい。
「どうもこうもない。俺達の世界に神を名乗るものが俺達のほかにいるようだ。」
「そんなことっすかー。兄貴それはないっすよー。」
来人の報告にすぐに反応したのはサクだった。サクは来人の弟的な存在でこの執行部の盛り上げ役だ。
「来人の兄貴、それはどこの世界にも同じですっせ。そいつらをつぶしたところでまた違うやつらが神を名乗るんですから、意味がないです。」
「いや、許さない。誰かを虐げるような真似は。それを神の名のもとにやるのだったら何度でも俺はそいつらをつぶす。」
「来人先輩らしいですね。いいと思います。しかし、我々は天界から手を出すのは不可能です。世界に下りて我々自ら手を下すかもしくは誰かをあの世界に送り込んでつぶしてもらうかです。」
真紀がめずらしくまじめなことを言う。
「わかっている。だが、これからの方針は伝えておこうと思ったんだよ。これは担当神四隅来人の名において決定事項だ。」
「「「「「了解です」」」」」
さてと一仕事終わったことだし、寝るか~。そう来人が思っていると、
「来人さま、お伝えしたいことがございます。」
ひときはがたいのいい男が話しかけてきた。こいつはグラグ、執行部で一番強い。何ならこいつなら世界に下りて行っても無双できるにちがいない。
「来人様が確認しておけと言っていたリリシアの件ですがーーーもう時間はないと思われます。」
リリシアとは『勇者トモヒロ伝説』にでてくる不遇キャラ(モブキャラ)である。来人が地球にいるときから見ていたラノベに出てくるのだが、実はこのラノベは第207世界の担当神が自分の世界に勇者トモヒロにチートスキルを与えて転生させ、勇者トモヒロを主人公にし、その世界の出来事をラノベにして、地球などのいわゆる上級世界向けに出版しているのだ。一見聖人に見える勇者トモヒロだが来人はラノベではトモヒロをかなり美化していて、リリシアや他の悪役をかなり悪く書かれていることを来人はしっている。
「とりあえず、様子を見て危なそうなら第207世界担当神ダグリウスの許可を得ずに強制的にこちらの世界に召喚する。」
「了解しました。」
本来他の世界から人を召喚するときはその世界の担当神の許可がいるのだが、ダグリウスが勇者トモヒロ伝説の登場人物の召喚を許すわけない。だから許可は取らない。ダグリウスをはじめ自分の世界のことをラノベやゲームにして天界中に発表してる七太神は敵に回るかもしれないがそんなことはじめからわかってたことである。
このときから少しずつ来人の計画ははじまっていくのであった。
次回は初めての他の世界からの召喚です。ちなみに担当神は転生も召喚もできるわけですが来人は召喚するようですね。