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序敍 「知覚の扉」 ー血の緋髪ー
動脈からあふれ 噴いたかの濃さ で鮮やぐ Crimson Red 濡れつや生々しい
合成樹脂Nylonの繊維のよう人工的な半透明でその奥底に燠火の烈々と滾る昏鬱の赭みを孕み、蛋白質にあらぬ色諧の髪の毛 。
金泥の爛々たる眩さで燦抜す黄昏に網膜中心窩を射られるよう鮮烈なReality.
その堪えられなさに焦がれ炙られ、現実を裂き超えようと身悶え切望するも、なお、焦燥に炙られ、やがては擦られたる弦から醸されるバイオリンの音のよう物の影を長く牽き伸ばす。
黄昏時の濃蜜色に総てを涵す。茜帯びたる純金の空気はシャンパンの入りたるクリスタル・グラスを透かして事物を眺めるよう寂莫たる生々しさ。