3/4
ハッピーエンドは遠く
「私、ハッピーエンド至上主義者なんです」
「なんで、バッドエンドは駄目なんですか?」
「だって、希望がないですから」
「あなたは希望が欲しいんですね」
「現実では得られない希望を、物語に求めてるんです」
「現実は嫌ですか」
「絶望ばかり、ですよ。苦しむために生を受けたんです、私は。神はなんて残酷なんでしょう」
「捨てる神あれば、拾う神あり、ですよ」
「嘘ですね」
「疑り深いひとだ」
「だって、私はそう思わざるを得ない人生を送ってきましたから。騙されてばかりの人生だったんです。友達にお金を騙し取られたこともありましたし、結婚詐欺に遭ったこともあります」
「それは可哀想に」
「私、ひとを信じやすい性格なんです。自覚もあります。だからこそ私はもう誰も信じない、って決めたんです」
「でも、それで本当にあなたの人生に幸せは訪れるのでしょうか」
「……それは」
「私たちの神を信仰すれば、どんな物語よりも幸せな結末が迎えられますよ」