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天使が見える
「ここには、いま天使がいるんだ」
「えっ、もしかして私が見えるの?」
「どこにいるの」
「私だよ、私」
「きみには見えないよ。残念だけど」
「そう、なんだ。ちょっと残念」
「うん。だって普通の人間に、私は見えないんだ」
「どんな姿してるの。天使、って」
「すごく綺麗で、魅力的な雰囲気の持ち主かな。クールに見えて、実は笑い上戸なところもあって。その笑顔を見ていると、心が癒されるんだ」
「本当に見えてるんだ、私のこと。嫌だなぁ、照れちゃうなぁ」
「ふーん。なんかすごい褒めるね」
「なんで、そんなに怒ってるの」
「怒ってない」
「あぁ、彼女さんがヤキモチを焼いちゃった。ごめんなさい。私があまりにも魅力的だから」
「でも、そんなに言うなら、私も見てみたい」
「いまのきみには見えないんだよ。何度も言うけど」
「いまの?」
「えっ、どういうことだろう。人間が後天的に、私を視認できるとは思えないけど」
「だって、ここには鏡がないから、ね」