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コロッケパン買ってきて
「コロッケパン買ってきて」
「じゃあ」
「何、その手は。あなたのお金は、私のお金」
「ジャイアン?」
「こんな可愛い私に、なんてことを」
「自分で言う?」
「言わなきゃ良かった、って後悔してる」
「顔、赤いからね」
「うるさい。ほら買ってこい」
「焼きそばパンじゃなくていいの」
「なんで?」
「パシリパンの定番かな、って」
「変な言葉を使うな」
「仕方ない。……はい、買ってきたよ」
「はやっ」
「〈……〉の二文字で時間を省略できるのが、小説の醍醐味だね」
「ここが小説世界であることを濫りに明かすのは、タブー」
「文字数、稼ぎたいんだ」
「なんで」
「ぴったり四百字で終わらせたいから」
「だから、なんで」
「だって、綺麗だから。んっ。なんで顔、赤くなってるの」
「うるさい。聞くな。そしてなんで、コッペパン買ってきた?」
「美味しそうだったから」
「食べるの、私でしょ?」
「一緒に、じゃないの。はい、半分」
「……次は、コロッケパンが食べたい」