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第13話 お手をどうぞ、お姫様

 ルヴェリエ伯爵邸のランチの席では、今夜ルノアール公爵家で開催される大きなパーティーの話で持ちきりだった。


「ソフィは今夜のドレスは決めたかい?」


「ええ、お母様が昔着ていたホワイトブルーのドレスで行く予定です」


「ああ! あれは美しい! ソフィのドレス姿を楽しみにしているよ」


「ええ、お父様」


「そういえば、今夜はエストレ子爵と夫人もいらっしゃるとか」


(──っ!)


 ソフィの鼓動は早まるが、いまだ本当の婚約破棄の理由を知らない両親に気づかれないように気をつける。


「婚約破棄のことは残念だったが、両家の絆は切れることはない。久しぶりに会って話せるのが楽しみだよ」


 ルヴェリエ伯爵は水を一口飲み、上機嫌に席を立った。




◇◆◇




 ルノアール公爵邸に着いたソフィは馬車から降り、ゆっくりと階段を上って会場へ向かう。

 階段の上にある大きな玄関の傍では、ジルがソフィを待っていた。


「いらっしゃい、ソフィ」


「今夜はお招きにあずかり光栄でございます」


 カーテシーをするソフィに手を差し伸べるジル。

 その手を取って、二人は会場へと入っていく。



「今日はほんとに賑やかね」


「ああ、今日は特別な日だからね」


「……? どなたかのバースデイとかかしら?」


「まあ、いずれわかるよ」


「……ええ」


 ジルからふと笑顔が消えたことに少し不安を覚えたソフィだったが、すぐにジルは表情を取り戻した。

 やがて、ホールにバイオリンの音色が響き渡り、その音を合図に皆ダンスを踊り出す。


 ジルもソフィに向かい、手を差し伸べて告げる。


「僕と踊ってくれますか、姫」


「ええ、よろしくお願いします」


 淡いドレスの裾を持ってお辞儀をすると、ソフィはジルの手に自らの手を重ねた。

 金髪碧眼が周囲の目を引くジル。

 だが、ジルには目の前にいるソフィしか目に入っていなかった。


「今日は一段と美しいよ。そのドレスもよく似合っている」


「ありがとう。ジルも素敵よ」


 そういってソフィとジルは楽しい時間を過ごす。


(ああ、なんて幸せなのかしら……それにジルが本当に輝いてみえる……)


 会場には心地よい演奏が流れ、皆それぞれ思い思いにダンスを踊る。




「ソフィ!!!」



 心地よかった演奏が突然現れた男の叫び声で止まる。


「エミール!!?」


 会場の入り口に息を切らせていたのは、ソフィの元婚約者であるエミールだった。

読んでいただき、ありがとうございます。


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