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勇者の日記 十
(日記の年月は流れ、筆跡も変わっている)。
○月○日。
僕が馬鹿だった。
そうだ、頭のいない軍勢が、ロクなことをするわけがなかったんだ。
人は魔物を私欲の為に狩りだしている。
魔物は人を見境なく襲いだしている。
誰か、誰かがまとめ役にならなきゃ。
魔物や魔族を統べて、そして人の敵となるような大きな存在に。
僕に、出来る?
敵になる勇気が、僕に、ある?
いや、俺がやらないと駄目なんだ。
俺の守りたい、世界の為に。
△日✕日。
(日付はごく最近のものが書かれている)。
面白い奴が来た。
自分は勇者だと名乗り、俺と話がしたいと。
そう、あの少年だ。
俺は――。
※
ペンを置く。
今日は少し楽しいことがあった、いや楽しい奴と出会えた。
またこれから、忙しくも、騒がしい日々が来るんだろう。
それを考えて口元に笑みが浮かんだ。
俺たちにも、またああいった日々が来ればいいと俺は願っている。




