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ネクロポリス・リバーサイド・スクール  作者: 夕月萌留
NRS―壱の章―
5/42

1-5

 目を開けると前方には真っ白な天井が広がっていた。

 見慣れた天井だな……。保健室のベッドの上か……。

 どうやら、藍梨栖の指示を受けた男子生徒たちが僕の体をここに運んでくれたらしい。

「気がつきましたか?」

「うん……。僕はまた色んな人に迷惑かけちゃったみたいだね」

 顔を右側に向けると男子の間で密かに中等部一の美少女と言われている斉藤夕美(さいとうゆうみ)が座っていた。夕美はNRS中等部の一年生で中等部管理局の書記を努めている。

「ちょっと前にも同じようなことがありましたよね……」

「あっ……あぁ……あの時……ね」

 彼女の言葉に忘れかけていた記憶が蘇り、急に気恥ずかしい気持ちになって思わず視線をそらしてしまった。

 ――それは二週間ほど前に起こった出来事だ。中等部管理局の局長という権限を振りかざす悪魔――日野藍梨栖から逃れるために、僕は終業のチャイムの後そそくさと下校の準備をして教室を出た。しかし、既に外で待ち構えていたその悪魔に見つかり走って逃げ出したところ、たまたま教室から出てきた夕美と鉢合わせし激突してしまった(廊下は走っちゃいけない)。幸いお互いに大きな怪我はなくて済んだが、倒れる夕美をかばおうとして咄嗟に体を入れ替えたときに大変なことが起こった。一緒に床へ倒れこんだ際に僕は夕美の胸を鷲づかみにしてしまったのだ。仰向けの夕美を下から僕が抱きかかえるような体勢になって、彼女の制服は上も下もはだけて下着が覗いてしまうようなとんでもない事態に陥った。気が動転した僕は例によって勝手に能力が発動し失神してしまったというわけだ。

 まったく何やってんだか……。周りに迷惑ばかりかけて本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 その後の顛末はというと――藍梨栖の指示を受けた男子生徒たちの手により僕の体は保健室へと運ばれていった。そして、同調対象となった夕美の視界を通じてベッドに寝かされた自分自身の情けない姿を眺めるというとても痛々しい結果となった。唯一の心の救いは夕美が今みたいに僕に付き添って本気で心配してくれたことだ。彼女は僕を気遣うばかりで責めることなど一切しなかった。見た目が可愛いだけじゃなく、本当に温かくて心の澄んだ()だ。

「あの……気がついたらすぐに執務室に連れてくるように言われてまして」

 夕美が申し訳なさそうに言った。

「今日はもう帰らせたほうがいいかもって言いましたけど、いつものことだからって……」

 さすがは愛梨栖――悪魔と呼ぶに相応しい容赦のなさだ。あまり気は進まないけれど夕美を困らせるわけにもいかない。僕はすぐに起き上がってベッドを降りた。

「ありがとう。もう大丈夫。おかげで元気になったよ」

「はい」

 頷いた彼女の笑顔は太陽よりも明るく輝いているように見えた。斉藤夕美――NRSの男子生徒の間では密かに『癒しの天使』というニックネームが定着している。

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