~山に見える光~
伝書鳩がちゃんと王都についたことを祈りながら
空の彼方を見てからふと後ろを振り返ると
何かに操られるようにナンシーがいつの間にか
村の方へ向けて歩き出していた…
「おい!ナンシー!お前何してるんだ」
そう言い後ろから肩をつかみナンシーを静止させる
だが涙目になりながら必死に訴える…
「今から村に行って火を消さなきゃ今ならまだ間に合うかもしれないでしょ!
先輩もボケーっとしていないで行ったらどうなんですか!」
さっきまではいきなりのこと過ぎて気が動転していたのか
ボケーっとしていたのに急にそんなことを言い出す…
「お前…あの業火の中に入ったところでなにができるんだ!
俺たちは記者なんだぞ!この事実を伝えるのが仕事だ」
「そんなこと言ったって…何かできることがあるかもしれないですよ
それに目の前で人が死なれるのは嫌なんです!」
「何かあったとしてもそれは俺たちの仕事ではない…
あと俺たちが来た時にはもう手遅れだったろ…
それにあの様子だったらおそらく逃げているだろうよ」
そう言い山々に点々と光る光を指さしながらそう言う
さっき伝書鳩が飛び立ってきた付近を中心にいくつか見える
その光の数は多くおそらく全町民は山に逃げたのだろう…
「それに俺たちは俺たちの仕事をやればいいんだ…」
そう言うと安心して力が抜けたらしくナンシーは地面に座りこんだ
「それに明日は我が身だよ…」
ナンシーに聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で
町が暗い空を赤く染めていく様子を見てそうつぶやいた…
翌日
俺たちの乗っていた馬車の行者が近寄ってきて
「旦那…そろそろ村に行くんで乗ってくださいよ…
料金をもらっておいてちゃんと仕事しないのは
なんだか気が引けるんですよ…」
「あぁ…無事だったのか…てっきりあの後に王都に帰ったかと思っていたよ」
「旦那が隠れておいた方がいいって言ったんじゃないですか…」
お読みいただきありがとうございます
次回…港町から逃げてきたという住民…
果たして港町で何があったのか…
今後もお読みいただけたら幸いです