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加藤弥三郎
吉法師のお付きの中でも特に目をかけている者がいた。
一人は岩室長門守、もう一人が加藤弥三郎。
弥三郎の場合は目をかけているとうより、面白がって注目しているよいう感じであった。
熱田の富豪加藤順光の次男坊で幼き頃より裕福にそだった。
吉法師の父、信秀は加藤順光を信頼し松平家の人質竹千代を預けており、弥三郎も竹千代をかわいがっていた。
勉学を京より来た学僧に習っており、その学僧から褒められたことから、己の才を
過信しているところがあり、そうした様も吉法師からは面白う見えたようだった。