0-58話 第一次降魔事変 その24 円卓の騎士 1
はい。更新です。仕事が10連休前の最後の追い込みにかかっていて妙に忙しくて死んでます。あと1週間耐えれば10連休なので歯を食いしばって頑張って参りましょう。今回はちょっと視点を変えまして懐かしいキャラが出てきます。このキャラを書いていて思ったのですが、やはり動かしていて楽しいキャラなのでこのキャラはEP2でも大活躍の予定です。早くEP2を書きたいです。視点は一時的に変わるだけで、またオルファンと悪魔の決戦に話が戻っていきますのでご安心を。それでは58話の始まり始まり~!!
アサイラム大陸にある辺境の洞窟。無骨な荒くれ者と、連中が乗る粗野なカスタマイズをしているメタルスレイヴの姿が多数あった。ここは世間に炙れたつまはじき者を集め、一つの武装組織として立ち上げられたスキッド・ロアのアジト。そのアジトの中央の玉座に胡坐をかいて座っているフードを被った若い男がこの武装組織の頭と思われた。
権力者や既得権益者、富裕層ばかり優遇し、力のないものを虐げる高圧的な政府に対しての略奪が思いのほか上手くいき、その勝利を肴に盛大な宴を催して思う存分酔いしれていた。酒を一気に飲み干す首魁の若い男。
「ぷっはーーー!!やっぱ思う存分暴れた後に飲む酒は最高ったらねえな!!」
上機嫌の首魁の男に側近の荒くれ者は酒をつぎ足す。
「御大将!!見惚れるばかりの素晴らしい飲みっぷりで!!さあさあ!!もっともっと!!」
首魁の男は継ぎ足された酒を更に豪快に飲み干し、部下の荒くれ者どもを激励する。
「おっ!!こいつは悪りいなあ……ゴクゴクゴク……!!ふい~~気分いいぜえ……!!……てめえら!!何しけた面してチビチビやってんだ!!もっと豪快に飲まんかい!!俺達は無敵だ!!たとえ政府だろうがなんだろうが俺達には敵わねえ!!俺達の仁義と力によって腐った世界を正す!!これからは俺達の時代だ!!さあ!!酒と食い物はたっぷりあるんだ!!今夜は俺の奢りで無礼講だあああああああああああ!!ジャンジャンやってくんなあああああああああ!!」
荒くれ者どもが割れんばかりの歓声を上げ、宴は異様な盛り上がりをみせる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そこへ、見慣れない騎士風のメタルスレイヴが降りたち。づかづかと、スキッド・ロアのアジトに上がりこもうとしている。不審なメタルスレイヴが現れたせいで盛り上がりを見せた宴はざわざわと不穏な空気に、見張りの荒くれ者どもは一斉にいきりたって、それぞれの自身のメタルスレイヴに乗り込む。
その無礼な騎士風のメタルスレイヴに次々と襲い掛かるも、圧倒的な技量で騎士風のメタルスレイヴは、荒くれものどもの機体をなぎ倒していく。
「この野郎おおおおおおおおおおお!!俺達があのスキッド・ロアだってわかっててやってのかあああああああ!!」
騎士風のメタルスレイヴのパイロットが訝し気に応える。
「おお!?驚いたぜ?貴様らゴミどもでも一端の口が聞けるとは。獣と同じで知性なぞ持ち合わせていないと思っていたぞ」
挑発的な口調にますますいきりたつ荒くれ者ども。
「な……舐めやがってえええええええええええええ!!!死ねやあああああああああああああああ!!!!!」
「待ちな!!!!」
まさに、荒くれ者どものメタルスレイヴが騎士風のメタルスレイヴによってたかって殴りかかろうとしたところ、スキッド・ロアの首魁と思われる若い男がフードを降ろし、自身の愛機である。メタルスレイヴ。ナイト・オブ・デュヴァインに乗って現れた。
本来ナイト・オブ・デュバインは純白のカラーで装飾も美しいスマートな機体だが、スキッド・ロアの首魁の男の趣味なのか、無骨なチェーンナップが施され、眼に当たるカメラアイには眼帯とも見てとれる。ナイトスコープが仕込まれ、純白の美しいカラーリングも真っ黒に塗り潰されている。
「お前らの勝てる相手じゃねえ。こいつは驚いた。放蕩息子に説教でもしにきたのかい?糞親父」
騎士風のメタルスレイヴ。ランス・オブ・グローリーに乗ったパイロットが首魁の男に応える。
「なんだそのふざけたカスタマイズは!!円卓級の量産化の実験試作機である貴重なデュヴァインを盗んで、絶対王家ハイクキングダムの家を出ていったと思ったらこのザマは一体なんだ!!!ドイル!!!!!!」
後に悪魔討伐隊でもあるプルートゥ率いるバウンティディヴィジョンに入隊する前の若き日のドイルの姿がそこにあった。
白い歯を見せて皮肉っぽく笑うドイル。
「退屈だったのさ。ただぴっろい宮殿に住んで全世界を見渡しているのにもかかわらず、あそこにはこれっぽちも自由なんてなかった。苦痛だったぜえ?絶対王家に連なる円卓の騎士様の嫡子様やるのはよお?俺は俺のやり方で俺の力をこの世に示す。自由ってのはこういう事を言うんだよ。わかったらとっとと帰りやがれ糞親父。いやこういった方がいいか?グランド・オブ・ロード。聖覇神皇キャスターヴ殿下の懐刀であらせられます。円卓の騎士、復讐の炎帝ディアルド・ヴェイグランドさまってか?うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
馬鹿笑いをする息子ドイルを睨みつけるドイルの実父ディアルド。刹那ランス・オブ・グローリーが携えた槍の閃光の突きが冴えわたる。
「実の父に向ってその宣いよう……!!よくわかった……!!ドイル……!!貴様には痛みによる再教育が必要のようだな!!力ずくでも連れて帰るぞ!!この馬鹿息子がああああああああ!!!」
「やってみろやあああああああああああああああ!!!糞親父ィィィィィィ!!!ここはハイクキングダムじゃねえんだ!!いつまでもてめえにでけえ顔なんかさねえええええええええええ!!」
デュバインの携えた大剣を巧みに振るい、グローリーの閃光の突きを次々と打ち払うドイル。
メタルスレイヴ同士の闘いとは思えない人機一体の激しい白兵戦が繰り広げられる。
ドイルの部下の荒くれものどもが口を開けて呆然とする。
「す……すげえ!!メ…メタルスレイヴの動きじゃねえよ……!!御大将ってこんなに強かったんだな……!!」
「あ……あいつもやるぜ!!なんだよ!あの俊敏で隙のない動き、敵ながら見惚れちまうよ……!!」
激しい攻防の末、遂に、均衡が崩れディアルド駆るグローリーの槍が、ドイルのデュバインの脇腹を突き刺す。
「なるほど!!言うだけの事はあって腕は上げたようだな!!しかしそれは円卓の騎士が教える剣ではない!粗削りもいいとこだ!!隙だらけだ!!取ったぞ!!ドイル!!これで終わりだあああああああああ!!」
槍の直撃を喰らい、思わず血を吐き出すドイル。しかし次の瞬間にはドイルは狂気を孕んだ笑顔を浮かべていた。
「と……思うじゃん?」
デュバインの脇腹深く突き刺さったグローリーの槍を腕と足でがっしりと固定するデュバイン。ドイルは嘲笑う。
「これでもう素早い動きはできねえなあああああああああ!!!ガキの頃から指図ばっかりしやがってうぜえんだよ!!とっととくたばれやああああああああああああああ!!!!糞親父ィィィィィィ!!!!」
デュバインの必殺の大剣を、グローリーの頭をめがけて振り回すドイル。ディアルドの額に一筋の冷や汗が伝う。
「(ふん……。生意気な。家にいた頃とは比べものにならんほど強くなってやがる。明らかに俺から受け継いだ天賦の才が開花し始めている。家にいた頃には開花する片鱗すら見せなかった癖に。気に喰わん。気に喰わんが、放し飼いもまた一つの手という事か……。しばらくこのままにして様子を見て、機が熟したら成果を刈り取り、次期円卓の騎士に仕立てるのも悪くないか……)ちっ!!威力、速さ、どれをとっても一級品だ。これを喰らったら流石の俺でも無事では済まない!!闘気を使う。炎帝の拳!!!!」
勢いよくディアルドのグローリーに襲い掛かるドイルのデュバインの大剣を、グローリーの片腕がそっと触れる。すると、重量のあるメガ・チタニウムを幾重にも重ね合わせて作られた堅牢な大剣が恐ろしい炎熱によって飴細工のように見る見るうちに溶けだしていき、跡形もなくなっていく。
余りに信じがたい非現実な光景に、ドイルは思わず素っ頓狂な声を上げる。
「はあ!!!???漫画じゃん!!???ふっざけんなよ!!!!」
自分の常識の範疇外の事をいとも簡単やってのける父ディアルドを見て呆けているドイルに、ディアルドは厳粛に伝える。
「ちっ。俺に闘気を使わせるとはな。まあいい。お前も若い時分やりたい事のひとつや、ふたつあるだろう。いまのうちだけだ。いまのうちは好きなように振る舞うがいいさ。だが時が来たら、お前を絶対に王家ハイクキングダムに連れて帰るぞ。俺の復讐の炎帝モルドレッドを継ぐのはドイルお前しかいない!!いいか!!わかったな!!」
あっかんべーをするドイル。
「バ――カ!!!俺はぜってーーーー帰んないよーーーーーだ!!!!」
「ちっ!!!俺の息子ながらなんてムカつく顔をしてやがるんだ!!頭の方はちっとも成長してないようだな!!ドイル!!バカって言う方がバカって事知ってるか?このバ――カ!!!お前の方がバ―――カ!!!」
やはり親子なのか、しばらく低次元の罵り合いを続けるも。荒くれ者どもがぽかんとしているのをディアルドが気付き、おほんと咳払いをし。
「いいか!!わかったな!!ドイル!!時が来たら迎えに行くからな!!それまでせいぜい腕を磨いておけ!!」
ランス・オブ・グローリーはブースターを吹かせ、飛行形態になって、空へと舞い上がる。ドイルは憤る。
「あっ!!!てめえ!!!糞親父!!!勝負はまだ終わってねえぞ!!逃げんじゃねええエエエエエエエエエエエエエ!!!!」
ドイルの咆哮だけが虚しく木霊した。
読んで下さってありがとうございました!!なおディアボロスは不定期更新です!!




