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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
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0-6話  バウンティディヴィジョン  ヴァナティック邸の攻防  その5 独断専行

ロボット戦です!自分はロボットアニメが大好きなのでワクワクしながら書いています。活字のみのアクションは相変わらず難しいですが、ロボットものが大好きな方に読んで欲しいなあと思っています。勿論ロボットもの好き以外の方も読んでいただけるのであればこれほど幸せな事はありません。

ヴァナティックがエリシィアに恐れをなして逃げていき、エリシィア専用のMTが現在修復中でエリシィアが待機をしている間、それぞれMTに乗り込んで戦闘体勢を維持しているバウンティディヴィジョンヴラヴォ―チームの隊員達。絶えず戦況を伺っていたマニングスが無線で隊員達に連絡を入れる。


「ヴァナティックが逃げたぞ!こりゃあスレイヴが出てくる!!戦闘用意だ!!お前ら準備はいいか!?」


ドイルが待ってましたと言わんばかりに自信満々に応える。


「誰に向かって口聞いてんだ!?おあつらえ向きだぜ!以前の作戦ではアルファ―チームだけがこいつ(デスペラード)で出撃して俺らはお留守番だったんだぜ!?誰かさんのせいでな!!」


グレイヴが忌々しそうに口を開く。


「貴様の命令違反のせいだろうが!!お荷物はお荷物らしく大人しくしていればいいものを!何で貴様はいつでもどこでもいちいち出しゃばってくるんだ!少しはわきまえろバカが!」


売り言葉に買い言葉でドイルがグレイブにたまらず言い返す。


「てめええええ!!俺をお荷物と呼びやがったなあ!!この超天才ドイル様に向かってなんて事言いやがるんだ!そんなにその眼鏡カチ割られてえのか!?ああ!?」


「ふん……何度でも言ってやるぜ……。どこからどう見てもお荷物だろうが。腰が抜けてるお坊ちゃんは早々に故郷(クニ)に帰りな」


マニングスはまた頭を抱えて2人の間に割って入る。


「だーーーーーー!!てめえらは目を離すとすぐこれだあああああ!!任務優先だっつってんだろ!喧嘩は後にしろ!後に!おい見ろ!!スレイヴが出てきた!!逃げていくヴァナティックの護衛か……!どうやらこっちが本命のようだ!!とんでもねえ数だぜ!!20機いや30機以上……だと!?ヤ……ヤバいぞ……!この数は想定外だ……!さ……流石イシュタリアの武器庫と呼ばれるヴァナティック社代表の本宅ってことかよ。要人が持つ私兵の兵力にしては常軌を逸してるぜ……!分析完了……。大多数がドラッケン・ツヴァイか……。カナディヴェルア戦線のイシュタリア勝利の原動力になったヴァナティック社の高性能の傑作機……。当時はエースパイロットにしか与えられなかったはずなのによくもまあこんな数揃えたもんだ……。そして後方に控えているのは中距離用砲撃用のゴリアテウィンカ―ネが数機。こいつも重装甲かつ砲撃戦のバケモンだ……。マズいぞ……!この兵力差は……。包囲するつもりが逆に包囲されっちまったら笑い話にもならねえ!」


ヴァナティック邸の格納庫から次々と出てくるメタル・スレイヴ。どれもこれも歴戦の実績がある実力派揃いの名機ばかりでマニングスは戦慄する。


ドイルは不敵な笑みを含みながらこの状況が楽しくて仕方ないという様子で言い放つ。


「ハッ!!!いいね!いいね!そうこなくっちゃよ!!もっとだ!!もっと出てきやがれ!!俺ひとりで全部叩き潰してやるからよお!」


グレイヴも眼鏡の位置を直しながら静かに呟く。


「フン。俺とした事が思わず武者震いか……。相手にとって不足はないな。俺のデスペラードが負けるはずがない。バウンティディヴィジョンの誇りを見せつけてやる!」


マニングスは思わずひきつった苦笑いを浮かべながら額に汗が流れる。


「(こいつら……。楽観視できる状況じゃあねえだろうが……!最悪袋叩きに合うかもしれねえんだぞ?頼もしいんだが無謀なんだか……!もうわけがわからねえよ………!)」



ヴァナティック社のメタル・スレイヴに乗っているパイロット達は地下に控えていたブラッディファントムOB(以下BFOBと記載)の予備部隊ジェイコブ率いるディージェ―チームである。


ジェイコブが無線でBFOBの隊員達に呼びかける。



「総員に次ぐ!ヴァナティック社長が今現在、専用のスレイヴでここから脱出を図る準備をしている!お前らは社長が脱出するまで死ぬ気であいつらをくい止めろ!!俺と一部のBFの精鋭達は社長が飛び立った後、無事潜伏先に到着するまで護衛する。社長が捕まったら俺たちは闇に葬られる!最悪死罪だ!ここが正念場だ!!しくじると次はない!!総員BFの狂気を刻めええええええええ!!!」



ジェイコブの激にBFOBの隊員達の士気が大いに上がる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


ジェイコブはしばらく目を瞑って沈黙していたが、再び目を開ける。その目にはとめどない涙が溢れていた。ジェイコブは更にBFOBの隊員達に語りかける。



「心して聞いてくれ!!我が盟友マットが!!あのマットが死んだ!!死んだのだ!!奴らに殺されたのだ!!あの鬼火が!!我々の英雄が死んだ!!あの百戦錬磨のマットがまともに戦って破れるはずがない!敵の卑劣な罠に嵌められたのだ!!そうに違いない!!おお!!マットよ!!この悲しみと恨みと憤り!!いかにして晴らしてくれようか!BFの猛者どもよ!!マットの仇を!!マットの仇を討つのだあああああ!!」



「マット隊長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


BFOBの隊員達は皆マット隊長の死を大いに悲しみ、涙を流している。その狂信的な異様ともいえる盛り上がりに通信を傍受していたドイルがうんざりした顔で呟く。


「バーーーカ……。いの一番に汚い罠に嵌めにきたのはお前らの大将の方だってえの。お里が知れるぜ全く……」


ジェイコブは更に続ける。


「サンダアアアアアアアアス!!!ここを指揮するのはお前だ!!お前が指揮をとりマットの仇を討つのだ!もう食い止めろなど生易しい事は言わん!!殺せ!!殺し尽せ!!根絶やしにしろ!!BFの盾突いた代償を払わせるんだ!!」


サンダースと呼ばれたドラッケン・ツヴァイ隊長機に搭乗している大柄の筋骨隆々なBFOBの隊員は感極まった様子で号泣しながら叫び出す。暑苦しい事この上ない。


「なんたる光栄でありますかああああああ!!お任せくださいいいいいい!!自分があああああああああああ!!この命に代えてもおおおおおおおおおおおマット隊長の無念を晴らしまあああああああああす!!!!!!」


それを受けて他のBFOBの隊員達もまた異常な盛り上がりを見せ怒涛のサンダースコールが沸き上がる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!サンダース!サンダース!!サンダース!!サンダース!!サンダース!!サンダース!!」


通信を傍受しているドイルはぐったりしながら呟く。


「何だこの茶番劇は……。全身の力が抜ける……。サンダースって誰だよ……。マニングスこいつら……。本物の馬鹿なのかよ……?」


マニングスは苦笑いしながら答える。


「う……うーん?訓練されてきた環境の違い……かな……?だがそうも笑ってられる状況じゃあねえぞ……。これは……。こっちの戦力は俺ら前衛3機と後方に控えてるジンジャーとカタリーナとのヴェイグのデスペラード3機、後衛と合流したところで6機対30機かよ……。いかにデスペラードが従来のスレイヴを上回る超高性能機体でも数が違いすぎる。正面からまともに殴り合ったらただでは済まねえ……。包囲されちまったら袋の鼠だ。その前になんとかしねえと……」


グレイヴが眼鏡を光らせながらドイル、マニングス両名に語りだす。


「聞け……。俺に策がある……。陽動作戦だ。俺とドイルが囮となって敵部隊の両翼からそれぞれ攻撃を展開し、後退しつつ戦い、敵を引きつけ戦力を分断する」


マニングスが頷きながらグレイヴに答える。


「分析完了……!いい策だ……!俺は援護射撃をしながら後衛の3機と合流し、分断された敵戦力を各個撃破する……か‥…!現状ではこれが最上だな!俺も道中色々素敵なプレゼントを用意しててな。それが使えるかもしれねえ」


ひとりつまらなさそうに2人のやりとりをあくびをしながら右から左へ聞き流しているドイル。


「ふわああ……。つまんね」


更にグレイヴが続ける。


「プレゼントか。そいつはいい。期待しているぜ?マニングス。よし!包囲されちまったら元の木阿弥だ!さっそくとりりかかるぞ!お前ら準備はいいか!」


マニングスは覚悟を決めたように言い放つ。


「ああ!やってやる!やってやるぜ!奴らが本格的に動き出す前に先手を打つ!」


その瞬間グレイヴとマニングスを差し置いてドイルのデスペラードがブースターを吹かしながら猛烈な勢いで前に出る。30機ほどがひしめき合っているBFOBのスレイヴ部隊の真正面に凄まじいスピードで

躍り出ていく。ドイルは少年のような無邪気な笑みを浮かべ叫びながら大部隊に突撃していく。


「ハッハッーーーーー!!一番槍はいただいたぜえええええええええ!!!!」


グレイヴとマニングスは2人声を揃えて叫ぶ。


「あのバカ!!!!!!!」


猛然と凄まじい加速力で敵陣に突っ込んでいくドイルのデスペラード。ドイルは初めて搭乗する自らの新型の機体の性能に驚嘆の声を上げる。


「すげえぜ!!このパワー!!この加速力!!以前乗ってたファルシオンとは比べものにならねえ!!エネルギーゲインは2.5倍以上だ!!いける!いけるぜ!こいつなら誰であろうが負けるはずがねえ!

きっとあの悪魔(ディアボロス)だって!!」


虚をつかれたのはサンダース率いるBFOB達だ。よもやこの兵力差、しかもたった1機かつ真正面からがむしゃらに突撃してくるとは誰が思おうものか。前線のドラッケン・ツヴァイに搭乗している隊員達はわけもわからずパニックになり無線で叫び声を上げる。


「うわあああああおおおおおおおお!!!!サ……サンダース分隊長!!敵があああああああああ……!つ……突っ込んできますぅぅうううううう!!」


いままさに部隊を展開させ、BDのデスペラード達を包囲する為の指揮をとろうとしていたサンダースもこのドイルの無謀な蛮勇ともいえる突撃に完全に裏をかかれた形となり、今は現状を把握する事に精一杯だった。


「報告せよ!!相手の数はあああああああああああ!?」


「い……一機です!!一機でこ……こ……こ……こちらに突っ込んできますううううう!!」


「一機だとおおおおおおおおお!!?バカな!!奴には我らの大部隊の陣容が見えないのか!!?奴はイカレてるのかあああああああああああああああああああああ!?」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


ドイルは雄叫びを上げながらデスペラード背面のバックパックに収納されているラグナ二ウムで作られた身の丈ほどある巨大な実体剣、バスタードザンバ―を抜刀し戦闘態勢の構えをとり更にブースターの出力を上げ加速していく。瞬く間に距離を縮めていくドイル機に危機感を募らせたサンダースは慌ててBFOB隊員達に下知を飛ばす。


「ぜ……全機ィィィィィィィィ!!距離をとれええええええ!!奴を近づかせるな!!弾幕を張れ!!撃て!撃て!!撃て!!撃つんだあああああ!!」


ドラッケン・ツヴァイやゴリアテウィンカーネに搭乗しているBFOB隊員達はサンダースの指揮に従い、距離を取りつつドイル機に向かって一斉砲撃を仕掛けるも、なにせ30機以上の大部隊である。

部隊を展開する前のおのおのの機体がひしめき合ってる鮨詰めの状況では、満足に距離をとることもできず、一部の機体間ではBFOBの味方同士でぶつかり合い、せっかくの大軍による一斉砲撃も照準もロクに定まらず、味方への誤射もあり、BFOB部隊は混乱状態に陥ってしまった。


「ハッ!!蠅が止まるぜ!!そんなまっちょろい弾に当たると思ってんのか!?」


ドイル機に向けられて放たれた多数の砲撃を機体を器用に旋回させながら華麗に躱し、更にブースターの出力を上げ加速していく。最早機体の速度はフルスロットルに達している。


「遅いぜ!!!くたばりやがれえええええええええええええええ!!!!」


ドイル機は後方に距離をとり損ねた2機のドラッケン・ツヴァイめがけて、バスタードザンバ―を真上から豪快に振り降ろす。


「おわぎゃあああああああああああ!!」


「ぬわああああああああああああああ!!」


砂埃が勢いよく舞い上がり轟音が響き渡る。2機のドラッケン・ツヴァイは巻き込まれるようにドイル機の巨大な実体剣に機体を引き裂かれながらも叩き潰される形になっていた。


1機のドラッケン・ツヴァイは大破しもう完全に動かない。だがもう1機のドラッケン・ツヴァイは大破寸前になりながらかろうじてまだ動ける状態で最後の力を振り絞りその場から逃げようとしてた。


「サ……サンダースぶんたいちょおおおおお!!た……たすけ……助けてくだ」


「オラオラオラオラアァアアアアアアアア!!」


よろよろと鈍い動きで逃げようとする大破寸前のドラッケン・ツヴァイを確認するや否や、追い打ちをかけるようにバスタードザンバ―で容赦なく滅多打ちにするドイル機。瞬く間にドラッケン・ツヴァイは原型をとどめていないほど更に切り刻まれ叩き潰され粉々になっていく。


止めの渾身の一振りを振り降ろす。その状態のまま、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ残った敵を睨みつけるように前を見据えるドイル。


かつてイシュタリア最強のメタルスレイヴの名を欲しいままにしたあのドラッケン・ツヴァイが瞬く間に2体同時に叩き潰され、更にこのドイルの残忍ともいえる徹底した苛烈な戦いぶりにサンダース及びBFOB達は畏れ慄き、思わずその場にいたすべてのBFOBの機体が一歩後ろに後退る。サンダースは額に冷たい汗を浮かべながら呟く。


「野郎……!な……なんて胆力だ……!こ……こいつ……戦い慣れてやがる……!!」



読んでくださってありがとうございます!7話に続きます!ディアボロスは回を追うごとに面白くなっていくジェットコースターのような作品です。そしてとても壮大で長いお話になります。気にいってくださった方どうか最後までお付き合いくださいませ。できましたらブクマ、評価、感想、レビューなどをお待ちしております。

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