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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
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0-4話  バウンティディヴィジョン  ヴァナティック邸の攻防  その3 エリシィアのダンス

4話です。ロボットものなのにロボットが全然出てこないし戦わないですねwいかんいかん!もう少しお話を進めるとロボットがでてくるかも!?

ヴァナティックは見苦しくも抵抗を諦めていないようで、周囲に喚き散らす。


「私はまだ負けておらん!!負けておらんのだあ!!こんな連中に私の夢を野望を!邪魔されてたまるか!やはり人間など信用できん!!本当に信用出来るのは!!我が社の製品のみィィィィィィ!!出て来い!!我がソリッドガーディアン達!!」


ソリッドガーディアンとはヴァナティック社が開発した2m級の自立型戦闘用人型ロボットである。メタル・スレイヴなどの大型機動兵器では侵入できない経路からの局地的な作戦行動を主とする兵器である。そのソリッドガーディアンが10体ほどどこからともなく現れて、両腕に仕込んであるガトリングガンを構える。


ヴァナッティックはソリッドガーディアン達に号令をかける。


「撃てええええええええ!!撃ちまくれえええええ!!私の夢を邪魔するものは灰になるのだああああああああ!!」


10体のソリッドガーディアンが一斉にガトリングガンを乱射する。


「!!!!!」


特殊装甲のアーマードスーツを着込んでいるライナスが、皆を守るように立ちはだかり、両腕を交差してガードを固める。おびただしい銃撃を次々と弾き返していく。


「ぬ……ぬおおおお……!!」


ライナスはよく耐えていはいたが、徐々に銃撃に押されはじめ膝をついて最後には衝撃で後方に吹き飛ばされてしまう。ライザーをはじめ負傷しているBD隊員の姿が絶体絶命のソリッドガーディアンの一斉射の脅威に晒される。


「ライザー!プルートゥ様を頼むわ!みんな!下がって!ここは私が!」


突如凄まじいスピードで皆の前に躍り出るジャンヌ。腰に装着した2丁のサブマシンガンを両手に携え、まるで舞を舞うかのように旋回しながら猛烈な勢いでサブマシンガンを撃ちまくる。


瞬く間にソリッドガーディアン3体の頭部に弾丸が集められ、サブマシンガンのダメージによる微量な電磁波を放ちながら徐々にガーディアンの動きが鈍くなっていく。


「流石に……硬い……か……!!」


通常の人間であれば即致命傷になりえる必殺の銃弾が、相手が相手だけに致命傷にならない事を苦々しく思い、歯を食いしばるジャンヌ。ソリッドガーディアン達のガトリングガンの照準がジャンヌにセットされ、一斉に撃ち放たれる。


「しゃあ!!」


ジャンヌは小刻みに高速移動をしながら華麗なステップで銃撃を躱していく。が、流石に銃撃の数が多すぎるのか数発の銃弾が足元を掠め、銃撃の衝撃で一瞬バランスを崩し転倒しようとするも、その状態からブレイクダンスを踊るような動作で下半身を回転させながらガーディアンの銃撃をいなしつつ、2丁のサブマシンガンの弾丸を同時にリロードして再び立ち上がり猛烈な勢いで撃ちまくる。


先ほどの3体のソリッドガーディアンの頭部を破壊し、3体は完全に動かなかくなる。ソリッドガーディアンのジャンヌへの一斉射は致命傷にこそなりえなかったが、ジャンヌの腰や肩に銃弾が掠り、負傷し血が流れていた。


「やはりこの数の銃撃を前に無傷でいるのは虫がよすぎるか……!ならば……こちらから!!」


ジャンヌは眼にも止まらぬスピードで一気に距離をつめ、ソリッドガーディアンの腹部を蹴って飛び上がり相手の背後にとりつき、ジャンヌの右手をガーディアンの頭頂部に左手を顎に添え思い切り逆方向にひねり、ねじ切る。


「ガガガガガガ!!!」


千切れた頭から壊れた電子音が流れ、残りのソリッドガーディアンがジャンヌに向かってガトリングガンの銃撃を撃ち放ってくる。ソリッドガーディアンの背中にとりついているジャンヌは、その首のないガーディアンの身体を盾に見立て銃撃を防ぎつつ隙を見て、首のないガーディアンの身体を軸に遠心力をつけて対角線上のガーディアンに鋭い飛び蹴りを放ち、その反動で跳ねるようにまた別のガーディアンを蹴り飛ばした後バク転して着地し、ソリッドガーディアンたちを鋭い眼光で睨みつけて構え直す。


ヴァナティックは一連のジャンヌの超人的な動きに驚嘆の声をあげる。


「な……なんて女だ……!ソリッドガーディアンはベテラン軍人の役10倍の耐久力、および戦闘力を誇るんだぞ……!瞬く間に4体を破壊した上にあの身のこなし!!そしてなによりあのピッチリしたボディスーツがエロい!エロすぎる!欲しい!!ますます欲しいぞ!!ジャンヌこそお前こそ我がアァア愛人にふさわしいいいいいい!!」


「(ボ……ボディースーツって……。なにやら欲望にやたら素直な人ねえ……。正直豚ちゃんの愛人になんかなりたくはないんだけど)」


構えながら小さく苦笑いをするジャンヌ。


「なかなかやりおるわ!!だがなあ!!我が社が誇るソリッドガーディアンはこの程度の数だと思うか!!もういい!全部だ全部出せ!!」


更に10体ほどのソリッドガーディアンがぞろぞろと出てくる。


「これは……。流石にちょっとマズいわね……」


ジャンヌが警戒心を強め、なにかこの場を打破できる打開策がないか思案する。


「雑魚は捨ておけ!!プルートゥだ!!プルートゥを狙え!!あのクソジジイを狙うのだ!!そうすればこの勝負私の勝ちだァ!!」


ヴァナティックはソリッドガーディアン達にプルートゥを率先して狙うよう号令する。

ソリッドガーディアン3体が一斉にロケットランチャーのミサイル弾をプルートゥめがけて発射する。


「しまった!!ライザー!!お願い!!」


ジャンヌはプルートゥの元へ駆けつけようとするも離れすぎていて間に合わない。


「クソッ!!」


ライザーはプルートゥを庇うように覆いかぶさる。


その時、ピピピッという音と共に小型無線機を装着しているプルートゥの耳にオペレーターからの無線が入った。


「エリシィア・キリングフィールドの調整が完了致しました!お時間がかかってしまい申し訳ありません!」


「勝ったな……。よしエリシィアを出せ!今すぐにだ!!」


プルートゥは自信に満ち溢れた表情でオペレーターに指示を出す。


シュトレイハンダー内部に設置してある調整用の水槽に似た容器が開封される。中にいたのは薄いピンク色の長い髪をなびかせ、両目を瞑り、両手を広げている12歳から13歳の可憐な全裸の少女だった。


少女は目を開けるやいなや開口一番こう言った。


「私のドレスは用意できてて?パーティーの時間に遅れちゃう!おじさま今行くわ!」


バトルドレス エリシィアと呼ばれた少女の意識に反応して形状を変化するラグナ二ウムという材質とイシュタリア独自の錬金術から生まれた最新型の戦闘強化服であり、エリィシアにはなくてはならない必需品の装備であった。


ロケットランチャーのミサイル弾が放たれ今にまさに命中する直前にもかかわらず穏やかな顔でプルートゥが呟く。


「おいで……エリシィア……!」


エリシィアはバトルドレスを瞬く間に装着すると、猛烈な勢いでシュトレイハンダーを飛び出していき、ヴァナティック邸の防弾シャッターごと窓をぶち破る。エリシィアはプルートゥの前に飛び出すやいなや、バトルドレスの形状が扇状に広がり強固なシールドに変化して、3発のロケットランチャーのミサイル弾を轟音と共に見事防ぎききった。


着地したエリシィアはプルートゥの前にちょこちょこと歩いていき、バトルドレスのスカートの裾を広げて行儀よく挨拶をする。


「御機嫌よう!おじさま!エリシィアですわ!1年と8カ月23日11時間ぶりですね!またお会いできて光栄です!!」


宝石のような眩しい笑顔を浮かべてプルートゥの前で丁寧にお辞儀をする。


「ハハハ エリシィアまた大きくなったね!来てくれてありがとう!危ないところだったよ!」


プルートゥも笑顔を浮かべエリシィアの頭を優しく撫でながら労をねぎらう。


「そ……そんな。私おじさまの為ならどこへだっていくわ!!」


頭を撫でられ顔を真っ赤にしながら照れくさそうに喜ぶエリシィア。


「エリシィア……目覚めたばかりで悪いんだが……ここを頼めるかい?」


「はい!!おじさまの為なら喜んで!!」


そう言うなり16体のソリッドガーディアンの前に悠然と立ちはだかる小さな少女エリシィア。


その様子を伺っていたドイルがマニングスに無線で問いかける。


「オイ……あれ誰だよ!?まだガキじゃねえか!!」


マニングスも驚いたようにドイルの問いかけに答える。


「ああ。お前は入隊して間もないからはじめてだっけか?我が部隊の真のエース、通称……眠り姫さ……。驚いたぜ……。俺も動いてるのははじめて見た。水槽で眠ってるとこしか見た事がない」


「エースって……!!?あんなちんちくりんがか!?はあ!?舐めてんのか!?俺たちゃイシュタリア最強の隠密部隊だぞ!あんな生意気そうなガキが……」


「フリードリヒ機関の強化超兵プロジェクト唯一生き残った被検体って話だ。あんな歳でも俺たちの大先輩ってわけだ。噂じゃ半端なく強いらしいぜ?」


「それが信じられないっつの!!都合よく穴があいた。仲間が危ない!俺は突入してブリキの兵隊どもを直接ぶちのめす!お前も来い!」


「そいつは勇ましい事で……、お前さん狙撃だけでなく白兵もいけるんだっけか……。まあまあいいから!ここはお手並み拝見といこうぜ……。眠り姫の戦いぶりなんてそうそう見られるもんじゃない」


エリシィアは突然、思いついたようにプルートゥの方向に振り向き直し、笑顔でこう言った。


「そうだ!おじさま!私ダンスを覚えたの!!ここで披露してもいいかしら?」


プルートゥは少し考えた後に笑顔で頷くと、上機嫌になったエリシィアは鼻歌を歌いながら軽快にステップを刻み始める。


ジャンヌもライザーも他のBDの隊員達もエリシィアが一体何をしているのか、そして何をしようとしているのか、全く理解できずに困惑した表情を浮かべる。


「お……おい……?一体何を……?」


ざわつき始めるBDの隊員達。


ジャンヌはエリシィアの奔放ぶりに心配して頭を悩ませる。


「(あの子ったら……。久々に調整槽から出られたもんだから開放的なハイな気分になってるんだわ……。ここが戦場って事分かっててやっているのかしら?)」


ヴァナティックは踊りだすエリシィアの可憐な姿を見て興奮を抑えられず叫び出す。


「おおおおおおおお!!美しい……!!なんと可憐な美少女なのか!!プ……プルートゥの孫なのか!?全然似てないぞ!信じられん!!妖艶な色気を持つジャンヌもいいが!野に咲く可憐な花のような美しさを持ったこの少女も凄くいい!!ほ……欲しい!!是が非でも我が娘にしたい!!調教したい!!無論性的な意味で!!」


「(最低ね……)」


ジャンヌは呆れた表情で肩をすくめる。


ヴァナティックは更に興奮して喚き散らす。


「よおおおおおおし!!我がソリッドガーディアンども!!以後実弾の使用は禁じる!!ガトリングガンを麻酔弾に換装!!狙いはあの少女だ!!生け捕りだ!!生け捕りにするのだあああああ!!全機一斉掃射アァァァァァァア撃て撃て撃て撃て撃て!!」


欲望全開のヴァナティックの号令と共に、16機のソリッドガーディアンが実弾から麻酔弾に換装して、エリシィアに照準を合わせ、一斉にガトリングガンを撃ち放つ。踊るエリシィアのスッテプの歩幅が大きく、どんどん速く、激しくなっていく。途中一回転するターンなど交えながら、だんだんと踊りのテンポが加速していく。凄まじくも、おびただしい数の銃撃の嵐が一斉に放たれるも、激しく踊るエリシィアには銃弾が1発たりとも当たらない。掠りもしない。


「ま……まさか……こ……こんなことが……!!こんなことがあああああ!!」


ヴァナティックは信じられない出来事に目を見張り、顎が外れるほど驚愕する。


「(前言撤回……!)やだ……すごい……!」


「調整は完璧のようだ……!」


ジャンヌもライザーも絶好調のエリシィアの神業ともいえる絶技に目を奪われる。他のBDの隊員達も更にざわつき始める。後方で邸内の様子をモニターしていたドイル、マニングス、他のヴラヴォ―チームの隊員もエリシィアの神懸かり的な動きに目を奪われている。


「あ……あり得ないぜ……。な……なにかト……トリックがあるんだ!!絶対そうだ!!」


ドイルが信じられない状況に思わず震えた声を上げる。


「分析した。トリックなんぞあるわけない。正真正銘のガチなやつだ!眠り姫はやっぱりバケモンだったんだよ!!」


工作兵のマニングスは斥候や状況分析のスペシャリストでもあり、何事も分析して思考考察する癖がいついていた。そのマニングスが興奮を隠し切れずに言い放つ。


エリシィアの踊りが更に激しさを増していく。やや紅潮したエリシィアの顔や額から珠のような眩しい汗が飛び散る。当たらない、当たらない、当たらない、当たらない、まるで当たらない。銃撃の回転率が更に上がる。30秒を越えても、60秒を越えても、120秒を越えても、240秒を越えても1発たりとも当たらない。掠りもしない。


「かっは……!!かはっ!!かはあ!!」


ヴァナティックは決してあってはならないこの信じられない光景に、ショックのあまり呼吸もままならない状態に陥ってしまった。


「ちょっと……なに!?……これ!」


ジャンヌが口に手を当てる。想像以上のエリシィアの神懸かり的な動きに驚きを隠し切れない。


「これほどとは……!我々の出る幕などもうないな……」


ライザーは逆に現実離れすぎる光景に呆れ果て、さじを投げかけている状態だ。


「オイオイオイオイオイ……!なんだよこりゃあ!!あり得ない!あり得ないって!!ふざけんなよ!!はははは……!」


ドイルは今まで自分の持ってる常識が全て否定されたような気がして、乾いたうすら笑いを浮かべ、知らず知らずのうちに身体が小刻みに震え出していた。興奮を抑える事ができないのだ。


「分析完了……!もう疑いようがないな!眠り姫は銃弾を全て目視や何らかの気配で認識し、銃弾より早く動く事によって意図的に全ての弾丸を躱している。パーフェクトゲームだ!」


マニングスがドイルに熱く語りだすも、ドイルは銃弾を躱しつつ踊り狂うエリシィアに完全に目を奪われてしまい、ドイルの耳にマニングスの声は全く届いていなかった。


更に更にエリシィアの踊りは激しさを増していく。依然銃弾は1発も当たらないどころか、掠りもしない。4分20秒を越えたところで


カチッカチッ!!カチカチカチ!!事もあろうか、ある1体のソリッドガーディアンのガトリングガンの弾丸が弾切れを起こしたはじめたのだ。それは瞬く間に他のソリッドガーディアンにも伝染し、16体すべてのガーディアンが弾切れを起こしたのだ。


ヴァナティックは顔面蒼白になり膝がガクガクと震え、最早声すら出ない。エリシィアはつまらなさそうに顔を膨らませながら呟く。


「むー!まだ踊り足りないのにィ!うーんしょうがないか! いやああああああああああああああ!!」


突如雄叫びを上げながら、常軌を逸したスピードで16体のガーディアンに飛びかかり、飛び蹴り、掌打、正拳、裏拳、肘打ち、回し蹴り、等様々な技を駆使しながらガーディアンを瞬く間に次々と破壊していく。それぞれのガーディアンをたったの一撃で粉々に粉砕していくその様はまさに超人的であり、

12歳から13歳の可憐な少女の実像とはかけ離れた殺戮兵器の姿であった。その恐るべき戦闘力に圧倒され戦慄するライザーとジャンヌ及びBDの隊員達。最早息を飲むばかりで声も出ない。


最後のガーディアンを空高く跳躍しての踵落としで見事粉砕し華麗にポーズを決めて着地するエリィシアわずかな静寂の後、堰を切ったように周囲から歓声が上がった。


プルートゥも満面な笑顔で拍手をしてエリィシアの健闘を称えている。そのプルートゥと目と目が合い、エリィシアはすっかり照れてしまって顔を真っ赤にしている。


「えへへへ……」




新キャラのエリシィア登場回です。如何だったでしょうか?噂の強化超兵はなんとロリでした!w一応ジャンヌとダブルヒロインという事になっております。こういうミリタリ系、特殊部隊ものは本当に女性キャラを出し辛いので難儀してます。油断すると気が付いたらむさくるしいオッサンだらけになってしまって本当嫌ですw隙あらば可愛い女性キャラ出していきたいですね!5話もお楽しみに!感想待ってまーす!

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