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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
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0-1話 ディヴィジョン

構想10年の処女作です!初めて小説を書いて投稿します。拙いところは多々ありますが、温かく見守って頂けると嬉しいです。ジャンルは非テンプレ、ロボット戦記物です。ロボットでも生身でもバトルします。読んでいただけるとありがたいです!

大戦後600年。


風が吹いている。


荒廃した都市の残骸があたりに散らばっている。


まるで痛みと哀しみを訴えるように。


初老の男がその地に立っていた。


眼を閉じ、耳をすまし風の声、廃虚と化した都市の残骸の声なき声を聞こうとしていた。


「いつまでそうしているおつもりか?」


神経質そうな金髪の青年がそう言って初老の男に近づく。


「ここは闘神大戦の戦火の果て、古の都市ザンジバルの中心部、アクレイオスの大穴、禁止区域中の禁止区域ここに貴方がおられる事を元老院に知れたら事です。お戻りくださいプルートゥ様」


プルートゥと呼ばれた初老の男は目を伏せる。老いているとはいえその筋骨はたくましく、

歴戦の猛者を連想させる偉仗夫ぶりである。しばらく沈黙して重々しく語りだす。


「私にはある種の確信があるのだよ。全てはここから始まった。人類の進化、文明の発展とは哀しいかな。こと争いの歴史に集約される。奪い合い、殺し合う、その都度人類は次のスッテプに進んできた。君はこの事実を肯定するか?事務次官エドガー?」


エドガーと呼ばれた男はこう答える。


「手厳しいですな…。たしかに否定できない事実ではあるかもしれません。先人達がこの国を護ったからこそ我々はここにいる。しかし人の歴史は戦争だけではありません。慈しみ合い。子を育み、新たな世代に繋ぐ。我々のやろうとしていることはそういうことでしょう?プルートゥ様」


「君は正しい。正しいが…、私は時折こう考えるのだ。人類の進化こそが罪そのものなのではないかと。

そうであればどうなる。我々は罪を重ねすぎた…。その罪を裁くものがいつしか形を成してあのような!!」


プルートゥの表情が鬼気迫るほど険しくなる。エドガーは慌ててプルートゥを制する。


「プ…プルートゥ様。お気を確かに……。もうそろそろお戻りになられては……」


「ああ?ああ…。君の立場も憂慮する……。もう調べはすんだ。ここは従うとしようか」


力なく静かにうなずくと、後方に控えていた母国イシュタリア最新鋭の航空機エスピオージィに乗り込みそのまま飛び去っていく。エドガーもそれを見送った後、もう1機のエスピオージィに乗り込む。

航空機の後座座席に座っていた秘書官イルマが、思い悩むエドガーに声をかける。

まだ若い20代前半の女性の秘書官であり、髪と眼の色は亜麻色、穏やかで知的な気品と人柄を思わせる。


「やはりここにおられましたか…。この時間だともうバライシュリ会談には到底間に合いません。これで何度目でしょうか?」


エドガーがぶっきらぼうに答える。


「まったくいい加減にして欲しいものだな…。高次元文明国家としての我が国の繁栄は今や日進月歩であり、飛ぶ鳥を落とす勢いだというのにまだあのような戯言を……」


イルマは訝しげにエドガーに尋ねる。


「戯言?」


「ああ君はまだ聞いていなかったか。軍略国防長官殿の妄言だよ。先の歴史的規模な地殻変動による大破壊を知っているかね?」


「はい。私が生まれる前の事ですね……。何でも昔この世界は地繋ぎのひとつの大きな大陸だったとか。それがその地殻変動でバラバラに……」


「そうだ。グランディアド大陸全土を覆った大地震。ミキストールの惨劇。ミキストールの大地震とも言う。その大破壊は地殻変動ではなく悪魔ともいえる異形な生物による大破壊のせいだとあの老人はしきりに言っているのだ」


吐き捨てるように言うエドガー。一瞬きょとんとした表情をし、すぐ我に返るイルマ


「あ……悪魔!?お言葉ですが事務次官?先の大破壊は地殻変動が原因であることが科学的に証明されています!ヴェルニー賞を受賞した地科学者モーデル・ハケネのお墨付きです!どの歴史書にだってそう…!その、あ……悪魔だなんてそんな!」


「そんな事は知っている!あの老人に言ってやってくれ!彼をおしとどめなければいけない私の立場をどう考えるのか!?」


「も……申し訳ありません。何故 大統領閣下いや、元老院はプルート様をああも重用なさっているんでしょうか?」


「ああ……君はまだ若いから知らなくても無理もないか……、イシュタリア前王オルファン様とプルートゥ様は無二の戦友であり、両雄ともども救国の英雄だったのだよ。今でこそ高次元文明の魁と言われる我が国はかつては弱小国の寄合でしかなかったのだ。そこには幾度となく危機があった。貧困、飢餓、紛争、戦争、その陰にいつも前王オルファン様とプルート様の姿があり、特にプルート様の活躍は八面六臂だったのだ。由緒ある名家の軍人としてまたあるいは政治家としての手腕を振るっていた。当時飢民と難民に溢れていた人材不足のわが国で軍事と政治このふたつに長けていたのが彼だけだったのだな…。若き日の彼は紛うことなき変革の獅子だった。それが今は見る影もない……。老いとは惨酷なものだ。なんでもミキストールの惨劇で妻と子を失っておかしくなっていったらしいが……」


「今も隣国との戦争や内紛、軋轢、テロとの戦い」


「そうだ……。これからもあの方の力が必要になってくるはずだった。だがそれももう長くはないな。職務放棄も甚だしい。このままでは元老院の六賢者様が動きかねん。いずれ審議会にかけられる。もう避けられんよ。全く耄碌したものよ」


「それにしても悪魔だなんて……」


「言うに事欠いて…だろ?笑っても構わんぞ?」


「……プルートゥ様はロマンチストだと思います」


「……君は有能なのは認めるが……、その感性はいささか浮世離れしてるな……」


呆れかえるエドガー。若い娘の感性にはつていないけない。この娘に限った事なのか。

航空機エスピオージィが飛び去った後、忘れられた前大戦の廃虚の都市ザンジバルを静寂が支配していた。


ここからは決して近づいてはいけない禁忌の領域。


世界の果てとも思える暗い暗い絶望の大地の中心に


巨大なおぞましい黒い繭のようなものが居座っている。突如その繭から


グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオォォォォォオアァァア!!!


人とも獣ともにつかぬこの世のものとは思えぬあまりにも不吉な咆哮があたりに響き渡る。



<タイトルコール  デ ィ ア ボ ロ ス >


「あ……」


イルマがおもむろに声をあげる。怪訝そうに聞き返すエドガー。


「どうした?」


「地震?震源地は?南東!?」


「またか……。最近頻繁に起こる……。幸い空の上で助かったが……。これは……大きいぞ……!」


シャーウッドの大森林を経由して、母国イシュタリアに到達するはずの帰路。

シャーウッドの大森林の木々は樹齢4000年と言われる。その木の全長は100mをゆうに越えるものもある。

エドガーがおもむろに声を上げる。


「オイオイ……まさか……!」


激しい揺れの影響で、その大木が倒れようとしていた。


「かわせ!もっと高く飛べ!」


エドガーは航空機のパイロットに声早に指示する。よもやこのような事が起こるとは思いもしなかった。


「一体どうなっている……。シャーウッドの森林の木々にまで影響を与えるとは……」


エドガーが訝し気に呟く。イルマが眼を大きく見開いて驚きながら口を開く。


「あ……あの樹齢4000年の木々が倒れるなんて私はじめて見ました……。一度大々的に調査をする必要があるかもしれません。こ…この状況は決して楽観視できるものではありませんよ」


「そうだな。確かに頻繁に起こりすぎている。一度調査班を結成、各震源地に派遣することを上に申請してみよう。専門家の見解も聞きたい。それはそうと…プルートゥ様は大事ないか?」


エドガーに問われ、イルマは無線で先行していたプルートゥが乗る航空機の安否を気遣う。


「……了解です。確認しました。無事プルートゥ様はイシュタリアに到着している模様です」


「よろしい。今は耄碌されているがアレでも元救国の英雄なのでな……。無事で何よりといったところか……。我々も続くとしよう」


エドガーは人知れず怪しい笑みを浮かべながら呟いた。


「悪魔か……。心当たりがないではないがな……!」


高次元文明国家 イシュタリア 煌びやかに装飾された巨大な都市群と、煌々と照らし出される美しき街灯やネオン。空気や水も澄み切っており、文化や芸術も独創性のある優雅なものに仕上がって趣深い。ここアサイラム大陸でもイシュタリアは非常に美しい国であることは周知の事実であった。だが意外にも元々は多民族を包括する土着の弱小国らの寄合いからなる群集国家であり、内紛や他国との争いが常に絶えない国であった。


しかしそれもシャーウッド王国の王族の一族、前王オルファンを指導者に頂く事で、ひとつの大国に結束する。魔術や錬金術といった今や失われた文明の残り火を持つシャーウッドの王族がその力を示す事でひとつになったのだ。その魔術や錬金術といわれる古代文明と先進科学の融合こそが高次元文明と呼ばれる所以であった。しかし問題がないわけではない。一見華やかに発展していく輝かしい文明の影で、淀んだ資本主義の経済体形に陥ってしまっているのもまた事実であり、魔術と科学の融合を持って生まれた素晴らしき文明でより強大な武器を作り。自国の武力を増強し、果てはまだ戦火の渦中にある後進国にその武器を売り、戦火をいたずらに拡大させる。いわゆる戦争特需で自国を発展させてきたという現実があり、皮肉にも他国の命を吸い高次元文明の火が輝きを増すという矛盾を孕んだ国でもあった。


一方では何よりもイシュタリアを高次元文明たらしめんとする最も特筆すべき理由は『フォースエーテル』の発明にこそあった。これこそが魔術と科学の最大の結晶の最たるものであり、石油、石炭、風力、火力、電子、原子力、プラズマエネルギー、全てを凌駕する全く新しいエネルギーの生成に成功したのである。永久機関とも言える。劣化することのない夢のエネルギー。元々はシャーウッドの王族にしか立ち入る事を許されない秘境にあった絶大な魔力を秘めた宝石を錬金化工し、更に科学によって熟成させ量産したものであり、出来上がった結晶をエネルギーを要するあらゆる媒体に組み込む事で半永久的に動作するという仕組みになっている。アサイラム大陸一の世紀の発明に世論は湧きに湧いた。


あらゆるメディアにとりだたされ脚光を浴びたが、問題はこの後にイシュタリアがとった行動であろう。今は度重なる戦乱に次ぐ戦乱の混沌とした世であり、即ち資源不足がそのままに死活問題になっている国々も珍しくない。にも関わらずイシュタリアは、このフォースエーテルの使用や生産を当面は自国で独占することを発表したのだ。2次利用などで悪用される事を恐れた、自国のアドバンテージを最大限に活用したいなど様々な理由は推測されるが、この独占という選択は、賛否両論を呼んだ。『フォースエーテル』がイシュタリアの象徴にしての外交上の強烈なカードになると同時に、資源不足で崩壊寸前の他国や、勢力の拡大や国家転覆を狙うテロ組織から目の仇にされ、新たな火種を生む懸念となってしまっているもまた事実だ。



イシュタリアに帰還したプルートゥに無線で通達が入る。プライベートな暗号回線コードだ。


「プルートゥ!やってくれたな!バライシュリ会談の成否はお前の手腕にかかっていたというのに!大統領閣下はもとい、元老院の賢者たちはお怒りだぞ!」


プルートゥは遮るように答える。


「マードック提督。とんだ買い被りだな。それに私は女王陛下からの勅命を受けている。独自で動く権限を承っている。私の目的はもう既に伝えているはずだ。女王陛下の証印と私の作戦行動のスケジュールも既に連邦議会に提出済みだ。全てはこの国、いやこの世界を護る為なのだ!」


マードックと呼ばれた男はプルートゥの意見に対して難色を示す。


「オイオイ……。最近のお前はおかしくなっちまったのか?本当に何を考えてる?例の……あ……悪魔狩りか?あ……悪魔……そんなものが実在するのか?証拠はあるのか?」


「その証拠を今調べていると言っている!目覚めの時は近いのだ……。残された時間は少ない……。急がねば……!」


「オイ待ってくれ……。わかった!わかったよ……。その……あ……悪魔の件はわかった。俺は信じる。信じるよ!お前の言う事だ。先の戦いを潜り抜けてきた同士だ!戦友だもんな。当然だよ。力も貸そう。だが今は大統領や元老院と事を構えるのだけは勘弁してくれ。この国は女王陛下とお前と大統領閣下、元老院そしてそれに連なる多数の派閥のバランスによって成り立っているに等しいんだ。そのバランスを崩すのはやめてくれ。大統領閣下がお呼びだ!恐らくバライシュリ会談が決裂したせいで、明朝ステーク国務長官とアズディールに飛ばなきゃならない!」


「講和を結んだ時点で私の仕事を終わっているはずだ。戦後の事後処理にどこまで時間をかければ気が済むのだ!何のための調印式だ?外務の責務を果たせるようになってから私を呼べ!」


「わかっているよ!お前が正しい……。正しいよ。ただステークは決して無能ではなないんだが、温室育ちでまだ着任して日が浅い。駆け引きができないんだ。要は他国に舐められてるんだよ。そこで歴戦の英雄で、外交手腕も確かなお前がいけばみんな黙るだろ……?そうでもしなきゃこっちは不利な条件を突きつけられてばかりだ。たまったもんじゃない!」


「新たな国務長官を選出するんだな。私はやらなければいけない事があるので失礼する!」


「待て!大統領閣下直々の厳命だぞ!また突っぱねる気か!?いいか?これ以上は俺でも庇いきれない。元老院の賢者たちが出てくるぞ。このままじゃ審議会だ。職務放棄…いや最悪反逆罪で裁判にかけられる!お前の気持ちもわからんでもないがここは……。……切りがやがった……。昔はあんな奴じゃなかったのに……。なんでこうなる?救国の英雄もヤキが回ったか……!」


マードックはかつての親友の変貌ぶりに驚きと落胆を隠しきれずにいた。

足早に歩くプルートゥとその秘書。いや秘書というより補佐官と表現した方が正しいのかもしれない。

プルートゥが補佐官の耳元で呟く。


「ジャンヌ。例の計画をコードβの段階に移す。役者は揃っているか?」


ジャンヌと呼ばれた補佐官はそれに答える。


「概ね揃ってますが……、例の強化超兵……。エリシィア・キリングフィールドとエリシィア専用のMTの調整がまだ終わっていません……」


ジャンヌと呼ばれたその補佐官は、ショートヘア―が良く似合う妖艶で美しくも利発そうな女性であった。髪と瞳の色はダークブルー。その実ジャンヌは歴戦の軍人のエリートで、各国への諜報任務もこなす凄腕の女スパイでもあり、血は繋がっていないがプルートゥの養女で、その類まれなる才覚によってプルートゥの右腕とも言われている人物であった。


「調整は移動中にやる。決起式を指令室で行う。エリシィアを除いた全隊員に招集をかけろ!」


「はっ!」


ジャンヌは頷くとその姿は既になかった。


イシュタリアの首都 パラメディ―ルの地下深く。プルートゥが15年ががりで極秘で作らせた大規模な秘密基地セントラルアウストラが隠されていた。指令室には15名からなる特殊部隊に所属する隊員とそれを率いる隊長が一人、計16名が集結していた。


プルートゥの横には隊員の招集をかけたジャンヌが厳かな眼差しでその状況を見守っている。プルートゥは隊員達の顔をゆっくりと見回しながら、意を決したように高らかに声を上げた。


「精強なる我が兵士達!いや同志達よ!よくも過酷な境遇、想像を絶する訓練を乗り越え今日という日を迎えここに集まってくれた!ようこそ!地獄へ!兼ねてから計画していたDMD計画をいよいよコードβの段階に移行する!諸君らに問う!私も諸君らもあくる日の惨劇の犠牲者であり、ともすれば運命という名の呪縛に捧げられた生贄なのであろうか?人類は所詮虐げられる運命にあるのか?運命とは絶対なのか?


否!!否である!!抗い!切り開き!前進する為に運命とはあるのだ!!我々は決して運命の生贄などではない!


あの悪魔は!!人類の宿敵である!あの悪魔の殲滅なくして人類の恒久的な平和はあり得ない!!あの悪魔を倒して初めて人類の安寧の歴史が始まるのだ!我々の知恵と勇気と信念を合わせ!


撃滅するのだ!!あの悪魔を!! 悪魔(ディアボロス)に死を!!」


プルートゥの勇壮かつ鬼気迫る演説に呼応し、隊員達の士気も最高潮に達していた。


隊員達は熱狂の渦の中それぞれ声高に


悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」「悪魔(ディアボロス)に死を!!」


と叫び続けていた。プルートゥはその声に耳を傾け、我が身が、我が血が湧きたつのを感じずにはいられなかった。ひとしきりその余韻を味わうと未だ尚、鳴りやまない決起の声を静かに制するように口を開いた。


「我々は地獄からの使者、悪夢を終わらせる為に舞い戻った!我々の名は ディヴィジョン!執行者達の名は バウンティディヴィジョン!  断罪の時は来た!来るべき悪魔との決戦の前にこのイシュタリア!いや!アサイラム全域に巣食う愚物どもを一掃する!!まずは利権を貪る欲に塗れた哀れな豚、死の商人を粛正する!アルファチームは私とともに来い!ヴラヴォ―チームはMTで出撃!追って指示を出す!ライザー隊長!!」


金髪の長髪を後ろで束ねているライザーと呼ばれた隊長が声高に隊員に激を飛ばす。


「はっ総員出動せよ!」


「ハイルディヴィジョン!!」


バウンティデヴィジョンの特殊部隊の隊員達は一斉に駆け出して、アルファチームと呼ばれた隊員達はプルートとジャンヌともども大型の航空機に乗り込み、ヴラヴォーチームと呼ばれた隊員達はそれぞれのMT(マシンナリィトルーパー)に乗り込み基地のカタパルトから勇ましく出撃していく。


マシンナリィ・トルーパー イシュタリアかつディヴィジョンが開発した最新型の機動兵器であり、アサイラム大陸全域の戦場で使われている従来の機動兵器メタルスレイヴ及びハイ・メタルスレイヴを凌ぐ超高性能機である。特徴としてはハイ・メタルスレイヴより若干小柄にはなったが、レオルシリコンという特殊な素材を用いた柔軟なフルステイルフレームを採用することで、従来では実現できなかった人間の稼働限界を越えた柔軟性のある動きが可能になっている。


装甲材も耐久性は申し分ないが、度々その重さが問題視されていたメガチタニウムではなく、イシュタリアの錬金術で生成される強固かつ、軽く、少々の損傷であれば自己修復してしまうラグナ二ウムを採用している。何より特筆すべきは動力は核融合炉ではなく、フォースエーテルリアクターに変換されていて、エネルギーを消費することがない半永久的な稼働率を誇る。


コンピューター型のOSインターフェースに加え、自立演算式の言語型AIを搭載しているのも初めて試みであり、機体にかかるGの負荷を軽減するアンチGデェスティネーション機能、そして実戦に耐えうるステルス機能などを実装しているなどイシュタリアの最新技術の粋を集めた次期主力兵器であり、その実対悪魔(ディアボロス)のデータ収集用の実験機でもある。バウンティディヴィジョンの隊員達が使用するMTはデスペラード(命知らず) DV-03 というMT初の汎用戦術機動兵器の先行量産型である。


そしてプルートゥとジャンヌも最新型かつ大型の航空機に乗り込む。従来の航空機エスピオージィと比較できない性能を誇るシュトレイハンダーという航空機である。このシュトレイハンダーもディジョンが総力を結集して作り上げた小型機動戦艦に匹敵するほどの航空機であり、多数のイシュタリアの先進技術が使われているものだった。


格納庫から従来の航空機を遥かに超える戦速でシュトレイハンダーが雄々しく飛び立っていく。

シュトレイハンダーの艦内には巨大な円柱上の水槽に似た容器が設置してある。その中には妖しく動く人影がうっすらと見える。


プルートゥが同乗していたジャンヌに問いけかる。


「どうだ。エリシィアは使えそうか?」


「50~60%といったところでしょうか?現在も調整中です。このままの状態で実戦に参加させるのは少々危険かと……」


「……引き続き調整を頼む」


「はっ!調整を急ぐぞ!実戦に間に合わせる!」


ジャンヌがオペレーター達に調整を急がせる為の指示を出す。

プルートゥが無線でライザー隊長及び隊員に呼びかける。


「アルファチームは私と突入!ヴラヴォーチームはMTをステルスシェードしてヴァナティック邸を包囲!各員その後はライザー隊長の指示に従え!」


「ハイルディヴィジョン!!」


隊員たちは力強く答える。何の迷いもないその応答を聞きプルートゥは頼もしく思い計画が順調に進んでいることを実感する。その後オペレーターからの報告があがってくる。


「司令!もうしばらくでヴァナティック邸に到着致します!」


プルートはジャンヌに呟く。


「ジャンヌ……。こちらもステルスシェードだ」


「かしこまりした。操舵主。ステルスシェ―ド!!」


その号令と共に、大型の航空機シュトレイハンダーはステルス機能により姿を消した。


「司令……。包囲が完了しました」


ライザー隊長がプルートゥに呟く。


「よし……。行くとするか……」


プルートゥの眼光が鋭く光る。











読んでくださってありがとうございます!次回に続きます。感想お待ちしております。更新は不定期更新です。

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