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32.わかる人にはわかる作品が存在しないと大衆向けでのヒットも生まれなくなると思う

 ほとんどの物事は、大体そういう風に発展する歴史を辿ってきている。

 「わかる人にはわかる」ような理論・物語が誕生し、わかる人たちが支持して、その後大衆にも理解できる、注目されるようになっていく。

 極端な書き方をすると、ヒット・ブーム・流行・トレンドとなる「前」の状態だ。今風に書くのであれば「バカに発見されていない」になるだろう。


 ベストセラーや興行収入での大ヒットなんてのも、最初期に手を出し、商品の「良さ」を発見できる消費者たちがいたからこそ、その後ろについていく者たちがいるだけだ。MM宣伝が上手くいかないと売れにくくなってきてはいるが、逆に、SNSやレビュー(他者の言葉)などに重きを置く人間が増えた今のほうが口コミ効果は強くなってもいる。


 「なろう」のようなコンテンツだってそうだ。

 自分たちの書いたものを読んでもらえる楽しさや喜びをわかっている人たちがいて、ここに来れば一般で流通しない部類のものが読めるとわかっている人たちが集まっていたからこそ、(その後色々あって)今が出来ている。最初から現在のような賑わいがあったのではないと、昔からいる人たちや過去にサイトを覗いたことがある人は知っているだろう。


 この「わかる人にはわかる」を大衆向け、多数派が理解できる(あるいは許容できる)ところまで落とし込めたとき(または時代の変化があったとき)に、ヒットやブームというのは誕生するようになっているんだなと、そんなことを思う。それで稀に、ニッチだったものが突然大衆にもヒットするなんていう現象が起きる。

 「わかる人にはわかる」(マイナ、ニッチ、内輪、狭い世界どれでも可)創作に触れて、その創作を越えるほどに知名度や売上が伸びた作家というのは珍しくない(完成度や他のファンに認められるかはともかく)。「わかる人にはわかる」創作が好きで「良さ」が「わかる人」だったからこそ、作る側以上に消費者寄りで噛み砕いて、大衆向けに作りなおせた、といったところだろうか。



 別の見方をしておこう。

 上昇したものは下降するのが当然だ。落ち着いて些細なブレしか起きなくなった地点が本来の価値になる。1週間や1カ月そこらで判断できるものではない。

 大衆向けや流行を取り入れた創作、または一部の人がどうにか人気にさせたい物事というのは、わりと短期間(数ヶ月から年単位)で下降していく。

 「なろう」でいえば日間ランキング上位に入った後起こる「ブクマ剥がし」なんかはこの状態にあたる。ランキングから外れた、気に入らない展開になった、感想が少ない、更新が少ない、そんな理由で投げる読者は多いと思う。

 それでも付いてきてくれる読者が作品にとって「良さをわかる人」だ。そういう少数の読者がいてくれるからこそ、人気作品だって存在できている。


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