19.ターゲット層を決めずとも恋愛要素は必須に近い
その差はあれど、ほとんどの人間が「恋愛脳」だ。
そうでもないと子孫は残らないだろう。
一昔前だが、ネット上のオタク側の人々は恋愛・恋愛系を好む女性のことも「スイーツ脳」などと揶揄する風潮があった。その少し後だと「ま~ん」だろうか。
(スイーツ脳、ま~んという単語を精確に知らない方はご自分で検索してください)
これは恋愛系でも重視されるのが「女性が悲劇的な恋愛で懊悩する様」であり、男性的・現実的思考においては「恋愛(笑)」となるようなものだ。
しかしそうやって見下す姿勢を持つ者たちであっても、自分たちが恋愛要素を好んでいたことはあまり気がついていないようでもあった。実際にスイーツ脳などの言葉が氾濫していた時期にオタク文化界隈でヒットしていた作品を確認すればいい。
同属嫌悪だと理解できるくらいに自身を理解していたらラブコメがヒットしない時代になっていただろう。
(一方で男女カプではなく、百合やBLが増殖していったのも同じような時期だったのは結構面白いと思う)
なぜこんなことを書いているか。
現在(2016年9月6日)ヒットして、これからメガヒットになると言われている映画『○の○は。』のネットでの評価のされ方が、昔宣伝されていた恋愛作品と似ているなと感じたからだ。
この映画も恋愛ものであるのだからそうなるのは別段おかしくはないのだけれど、既存の監督ファン以外の新規をどんな層から取り込めたのかがわかりやすい。
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一般の人間からは評価が低く、知的階層の人間からは評価が高い作品には恋愛要素の薄いものが多い。SFなどは顕著だ。
これはインテリが人間的である恋愛脳(感情)のもっと先、もっと深いものである「知性」を求めているからである。
だから感情優先となる多くの人間には小難しくなってしまい、受けが悪くなりやすい。
「恋人ヒロインのためにも頑張る」は追求すれば下半身のためと見透かされる。
だから+αの言い訳が必要となる。