14.量産型でワンオフに見せる技術は大事である
[強気] [弱気] [感情的] [クール]
[素直] [天邪鬼] [強情] [柔和]
[元気] [ボーイッシュ] [地味] [清楚]
[母] [姉] [妹] [娘] [被虐] [加虐]
[無垢] [ゲス] [普通] [狡猾] [愚直]
[電波] [不思議] [天然] [アホの子] [介護]
[卑屈] [傲慢] [高貴] [平凡] [下賤]
[庇護] [信頼] [寛容] [厳格]
[依存] [自律] [奔放] [自縛] [献身] [束縛]
[清純] [妖艶] [淫乱] [変態]
[怠惰] [普通] [愚鈍] [勤勉] [脆弱] [強靭]
[天才] [秀才] [無能] [凡人] [強力] [無力]
[羞恥] [無恥] [ヘタレ] [女傑] [鈍感] [敏感]
[悲観] [楽観] [諦観] [幼稚] [大人] [老練]
[トラウマ持ち] [コンプ持ち] [癒し] [DV]
[陰鬱] [明朗] [真面目] [遊び人] [悪人]
[秩序] [混沌] [隷属] [従順] [反抗] [自由]
[幸福] [薄幸] [邪道] [正道]
「なんです、これ?」
「『記号』。いや『属性』の分解表」
「なんか間違っている気が。こんなに書かないで『ヤンデレ』とか『CPL』とか書けばいいのでは?」
「書いてないのがあるから少ないぐらいだよ」
「数の話じゃないです。シンプルに一言で書けるのが幾らでもありますよねという話で」
「『記号』を成立させてる中身を書いてるんだよ」
「また変なことを」
「例えば『ヤンデレ』と書けば楽だし、意味を理解できて価値観を共有できて、好きな人には一言で済む。
だけどそれは共通の『記号』なだけで空虚でもある。だって個々の持つ『ヤンデレ』のイメージ象は違うから。
だからこそバラバラの状態から『ヤンデレ』という言葉を用いずに、『ヤンデレ』を組み上げられるかどうかは大事」
「どうなんでしょう? 病んでいく過程が大事らしいですけど。葛藤とか? キャラの要素だけじゃ無理では?」
「解り易いものを欲しがっている状況だからこそ過程の単純化は可能かな。
『病むくらい一途に好きになって、血生臭い言動も躊躇しないのがヤンデレ』みたいな定義付けとかあればもっと簡単。
なんというかね。条件がその程度なら『ヤンデレ』じゃなくて「色ボケした馬鹿」か「自己中DV」って言えば済むようなのが多いから。言葉に酔ってる感じがひしひしと」
「あ、やめましょう」
「特異な設定のキャラ好きって「グロ好きを特別と思っちゃってる感じ」に似ていると思うことがあるんだ。
厨二病時期にそっち系を患ったことがある者からすると黒歴史中の痛々しさをフラバしそうになるから少し苦手」
「やめときましょう」
「○ー○んとか○ナマ○とか、○っ○ーの頃はまだ物珍しい感じだったけど、それがお金に、もとい人気の『記号』になっちゃうと形骸化だよね。
「好きすぎての異常行動」をちょっと調べるだけで××××なのは珍しいものじゃないとわかるし、結局突飛なことしたキャラが目立ってるだけなんじゃ?」
「やめましょう」
「現実的に考えてみれば色恋に嵌まって周囲を排他しにかかるとか、必要以上に体に接触してくるとか、そういうのは人間の嫌な部分が出ていてリアリティがある。
これって『病み』じゃなくて『駆け引き』だね。他の同性が自分の好きな相手に色目使ったと思い込んで嫌がらせするとか、独占するために常識外れな色々してくれるとか。
金銭や肉体を捧げて尽くすのも含めて考えてるとノンフィクションのほうが合ってる。最期はニュースになっちゃう系の人とか」
「…………」
「とはいえ、色々面倒な時代だから?
大衆向けの媒体じゃなくても、愛と邪悪を兼ね備えた頼○様みたいな体も頭も心も病み切った吐き気を催すまでに暗澹たるキャラは誕生させにくいんだろうなーと思わないこともないよ」
「ヤンデレキャラを考えていて、なんで狂人を思い出したんですかね……」