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Second Life  作者: ROA
8/22

「違和感」

 違和感。

どうしても違和感を感じずにはいられなかった。

 ハザードを焚いて路肩に停めた車内で、溝口は思考を巡らしていた。

溝口は九条副社長から連絡を受け、すぐに会社に駆けつけた。

その時に会った戸神社長に、どことなく違和感を感じずにはいられないのだ。

会話した内容からすると何ら問題はないのだが、雰囲気といえばいいのか、直感的に以前の戸神社長と別人のように感じる。

溝口は上着のポケットから携帯を取り出して、履歴から電話をかけた。

「私です。ええ、会ってきました。ですが…、どうも腑に落ちないというか。戸神は本当に記憶を戻したのか疑問を感じています。」

 この直感がもし正しかった場合、戸神が「社長」として戻ってきたのには第三者の存在が関与していると思われる。

「監視を続けますが、直接的に関与するのは避けておいた方がいいでしょう。逆にこちらが怪しまれては今後に差し支えますので。今まで同様、社内への出入りは避けて監視を続けます。」

 溝口は電話を切り、助手席に置いてある鞄から書類を取り出す。

束になった書類から一部を取り出して、読み返す。

 間違いなくセカンド・ライフは戸神に施行されている。実際目の前で施行し、データーも問題なく記録されている。記憶は喪失されているのだ。

大量の飲酒によって記憶を戻すなんてことがあるのだろうか。

これについてはすぐに調査されるだろうが、溝口の感じた通り記憶を戻した「振り」をしていたとしたら…。

 溝口はもう一度携帯を操作し、今度はメールを送った。

『ひとつ確認したいことがあります。まさかとは思いますが、戸神が接触してきたなんてことはありませんよね…。』

すぐに返信があった。

『ありません。今のところは。』

溝口は感じた違和感は一度しまっておくことにした。

『失礼しました。では例の件、よろしくお願いします。』

 メールを送信し終え、溝口は座席にもたれかかる。そして、鞄からもう一つのファイルを取り出した。

背表紙に「セカンド・ライフ施行予定候補者リスト」と書かれていた。



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