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(・x・)
ある日、世界は崩壊した
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とある国が治める大陸、のほんの端っこに小さな村があった。
豊かというには体が細い人が、4,5人ちらほらと見かけるけれど、しかし毎日が楽しいといった風な顔をした村人達が住んでいました。
そこに差別や階級などもなく、貧富の差などあるわけもなかった。
そこに住む一人のこれといって特徴もなく、すれ違っても特にアクションもなくそのまま通り過ぎるほど、普通といっていい人がいた。
「おーい、ユガー?いないのかー?おーい」
「・・・呼んだ?」
「うお!っと!っと!っ・・・おわっ!」
ユガと思われる少年が物陰からこっそり現れると、ユガを呼んでいた少年は驚いて尻餅をついてしまった。
「いったぁ・・・。お前急に現れるなよ!びっくりしたじゃないか!」
「うるさいなぁー・・・。それが目的だったんだからしょうがないじゃないか」
「ならしょうがな・・・くねえよ!?」
「はいはい」
「ムキー!」
ユガはもう一人の少年を軽く受け流すと、外に出て行った。
「あ、おい。お前から呼んどいて勝手に先に行くなよー!」
「君が遅いのが悪い。30分も遅刻するなんて・・・」
「あ、えーっと、その、あ、あははは」
ユガは少年は冷ややかな眼で見ながらずんずん先に進んでいく。
少年は慌ててユガを小走りで追いかけるのだった。
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このアール村の近くには山があり、木が生い茂っていてよく資材を取りに村人がくることもある。道中に危険なものがおらず、子供も決められた範囲内で遊んでいる光景をよくみかけることがある。だからといって何かがあってはいけないので、大人一人が一緒にいるというのも村の中で決められたことだった。そんな決められたことを無視してユガと少年は山に向かっているのだが、誰にも咎められない。
と、いうより周りに人がいない、夜だから。
道中に危険なものがいないというのは、あくまで昼間のことであり、つまりは夜は夜で危険の可能性があるということだ。断定できないのは、大人も怖がって夜の山には近づかない、という理由からだった。
「だから僕が実際に確かめに来たんだけど・・・。君、怖がりすぎじゃない?」
「は、はあ?怖がってなんかないし!ぜ、ぜんぜん怖くなんかないし!ほら早く行こうぜ!」
「怖くないなら自分が先頭を行きなよ。僕の後ろに隠れていて咄嗟に動けるの?」
ユガはあきれた口調で話すが、少年は完全にブルってしまっていて聞いていなかった。
「何かあったらいけないから君を連れてきたのに・・・使えないなあ」
「な、なんか言ったか!?」
「ナンデモナイヨー」
後ろの荷物をとてつもなく邪魔に感じながら粛々と進み、山の中腹まできたユガ達は、休憩のために若干ひらけた場所に座ることにした。
「やっぱりこの山はそんなに高くないんだね」
「そ、そうなのか?」
「・・・君は僕の背中しか見ていなかったね。途中木々の隙間から村が見えたんだけど、そんなに遠く感じなかったんだ」
「へぇ~、ってことはもうすぐ頂上ってことか?」
「かもしれないね。ああ、楽しみだ・・・。今までは決められた範囲内だけしか行けなかったからとてもわくわくしている」
「お前でもそんなこと思うことがあ痛い痛い痛い!!ごめんごめんって!だからそこだけはアッーー」
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「・・・何してるの?早く行くよ」
「誰のせいだと思って・・・すみませんすみません」
「・・・早くしないと夜が明けちゃうんだから。急ぐよ」
「はいはい」
休憩を終えたユガ達は再び頂上を目指して歩き始めた。さすがにここまで来ると遊び盛りのユガ達も疲れが目に見えていた。おしゃべりも一切なくなっていたが、頂上が目前に迫ってくるとまた会話が生まれてきた。
「ふう・・・やっと頂上だ。ほら」
「お、おおおおおお。やっと着いたのか・・・!」
「ずっと僕の背中に隠れてただけなのにずいぶんと疲れてるんだね。」
「うるっせー!」
いつも通りの言い合いから一瞬の間。しかしすぐにあまりのうれしさと達成感に二人からは笑顔がこぼれる。
そして、頂上に着いたとき、二人は満面の笑みを浮かべた。
そして、
「こんばんは」
頂上の真ん中にいるヒトを見て、二人の笑顔は固まった。
久しぶりで緊張