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また、いつか

作者: ニャフ

改札を出て、人ごみから少し離れた。

彼を待つ間 行きかう人をぼんやりと眺めていたら

急に不安に襲われた。

やっぱり 夢だったとか、そんな事ないのかな?


今日は、内緒の2日の始まり。


最後に彼に会ったのは一体 何年前だったのかと

遠い記憶を手繰り寄せる。

8年。


8年前に、とても好きだった、好きになってはいけない人

10歳年上の その彼と今、待ち合わせている



冗談でしかないと思っていた、またいつか会おう、という口約束

あの頃の様に ”また、いつか”

と見送られると 思っていた約束



肩を叩かれ 振り返る

笑顔。 切なくなる位、素敵な笑顔の彼が目に飛び込んできた


あの頃より、少し老けたかな

でも 人懐こく、それでいて 何かを企んでいる様な笑顔は

あの頃のまま



手を繋いで歩き出す

初めて、感じる彼の手の温度

秘密の恋には 不自由が多かった

だから、とても新鮮に感じた


あの頃と、今と。

話題は行ったり来たり

変わらない彼を見て安心したり 変わって寂しいという気持ち


どうして 8年も経つのに 彼が好きなのか

その理由が会えば分かるかと、淡い期待があったけれど

二日かけても やはり 分からなかった

残ったのは 2日間の幸せな気持ちと

初めての場所でのデートと、寝不足



そして お別れ。

ホームにはまだ 電車が来ない

寂しさがこみ上げる


彼の後ろに立つ私を 振り返り彼は明るい声で言う

「なんて顔をするんだ」

彼が人差指で 私のおでこを強めに押す

身長差30㎝の彼を見上げると

あの笑顔。


電車に乗り、空いた席に私を座らせ

斜め前に立つ彼は

まだ、少し笑顔が残ったままの顔



彼を見上げながら 考える 

きっと、”また、いつか”っていう言葉を別れ際に言うだろう

また、いつか


その いつかが あるんだとしたら、

今度は何年後になるんだろう



乗り換え駅には すぐ着いた

ここで、お別れ。

「また、デートしよう」

そう笑顔で言い 階段を下りて行く彼を

見えなくなるまで見送った



いつもの通勤電車で 日常に戻る為の 1時間

気持ちを切り替えるのには ちょうど良い時間だと

思っていたのに

運よく座れた私は 気持ちの切り替え作業も忘れ

惰眠を貪り最寄り駅の2駅手前で 目を覚ます


いつものホームに立ち、こんな事を思う

やっぱり、また逢いたいな

また、いつか

彼に逢いたい












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