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第2章「青い海と二人の思い出」前編

信「なんだかんだ言ってやってきちゃいましたよ」


目の前には、見渡す限りの海、海、海。水は透き通るほど綺麗で、たくさんの魚たちが泳いでいる。後ろには真っ白な砂浜が広がり、自分たち以外誰一人として人はいない。ここはどこかというと、ここは神城財閥が保有する、プライベートビーチである。なぜ俺がこんなところにいるかと聞かれれば、それは3日前に遡る。










キーンコーンカーンコン、キーンコーンカーンコーン


信「はぁ~~、やっとこれでテスト地獄から解放されたぜ~」


授業が終わり、安堵する。テスト返却後といううこともあり、そこかしこで、テストの結果についての話題が耳に入ってくる。そんな周囲の話し声を右から左へ受け流していると、伊織が声をかけてきた。


伊「終わったのを喜ぶのはいいけど、結果の方はどうだったのかしら?」


信「ぐっ、人が聞いてほしくないことを聞いてきやがって」


伊「それで、どうだったの?」


信「まぁ、良くもなく、悪くもないって感じかな。でもまぁ、赤点じゃないから良いんだけどさぁ」


伊「相変わらず勉強に関してだけはだめなのね、あんたは。人があれだけ教えてあげったってのに、もう!」


信「いやぁ~、すまんすまん。もうテストは終わったんだからさぁ、これからのことを考えようじゃないか?」


伊「何かいまいち納得できないけど・・・・まぁ、いいわ。これからっていうと、3日後からの夏休みの予定ってとこかしら?」


信「まぁ、そういうことだ」


伊「それはいいけど、どこかに行く当てでもあるわけ?」


信「それが・・・・・・・・・まったくといっていいほど無い!!」


伊「それじゃあどうするのよ?」


光「そんなことは決まっているじゃあないか!?」


霜柳光一郎が現れた。


信「うぉわぁああ、びっくりした~~。どっから沸いてでたんだよ?」


伊「まったくよぉ。いつもいつもあんたは神出鬼没というかなんというか」



光「フッ、人をお化けか何かみたいに言わないでくれるかい?そんなことよりもどこに行くかなんて初めから決まっているじゃあないか!?」


信「行くってどこにだよ?」


光「海だよ、海!夏に行くといえば海に決まってるじゃないかぁぁぁあ!?」


信「わかったわかったっから叫ぶなよ、光!」


伊「海に行くのはいいんだけど、この辺の海水浴場って今の時期どこも人でいっぱいじゃない?」


雪「そんなときはこの私にお任せくださ~い!?」


神城雪路が現れた。


信「今度は雪かよっ!?」


雪「はい~、信先輩のいるところ、この神城雪路ありですぅ~!!」


伊「それより雪ちゃん、私に任せろって言ってたけど、どういうこと?」


雪「はい~、沖縄にあるうちの別荘に皆さんを御招待しようかと思いまして。プライベートビーチもありますから、広々して気持ちいいですよ~~!?」


信「おいおい、別荘にプライベートビーチってお前んちってどんだけ金持ちなんだよ?」


伊「あらっ、信士ったら知らなかったの?雪ちゃんの家って世界でも有名な大財閥よ」


光「天下の神城財閥といったら、様々な食品から電化製品や家具、薬や物件まで何でも揃う事でも有名だし、それが世界シェアで展開しているから儲けもまたすごいんだろうねぇ」


伊「ちょっと!?目が¥マークになってるわよ、光一郎!?」


こうした金に関係した話で盛り上がるとたまに光一郎の目が¥マークになることがあるのだが、それを元に戻すのはいつも伊織の役目になっている。大方面倒見のいい部分が災いしたのだろうが。


信「まさか雪があの神城財閥の令嬢だったとは、世間は意外と狭いもんだなぁ。今までぜんぜん気付かなかったし、ただの 同姓かと思ってた」


伊「そうよねぇ、雪ちゃんてどちらかというとお嬢様って感じじゃないし」


雪「そんなぁ~~、ひどいですよ~~。これでも私、れっきとしたお嬢様なんですよ~~」


(そういう態度をとるから、お嬢様の見えないんだよなぁ)


雪「先輩、今ものすご~~く失礼なこと考えませんでした?」


信「いやいやいや、そんなことはないぞ」


(お前はどんだけ鋭いんだよ!?)


このようにちょっとでも失礼なことを考えようものなら、たちまち雪路のセンサーに引っかかってしまうのである。そのときに雪路のトレードマークである2本のアホ毛が動くということに関しては決して触れてはいけない。もし触れようものなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、触れないほうがいいよ。ホントに。経験した俺が言うんだから間違いない。その時に何があったのかは、後生だから聞かないでくれ。お願いだから。


信「しかし、何でまた海なんだよ?」


光「フッ、愚問だね、信。夏といえば海が定番じゃないか?」


信「でもよぉ、行くにしても他にも選択肢があったろう?山とかさぁ?」


光「何言ってるんだい!?夏といえば海!!これは何者にも覆しようも無い真理なのさ!夏の日差しを浴びて流れる汗。弾ける肉体美。夏という季節が人をいつもよりもいっそう大胆にさせるのさ!!さぁ、一夏のアバンチュールよ今ここに!!」


たぶん今のこいつの頭の中は、ピンクな妄想でいっぱいに違いない。


信「はぁ~、何を馬鹿げたことを・・・・・」


そういってため息を吐いていた俺に光一郎が耳元で囁く。


光「信は見たいとは思わないのかい?彼女たちの水着姿を。」


信「何だと!?」


まぁ、見たいか見たくないかと聞かれれば、そりゃあ見たいに決まっている!自分も健康な一男子であるからして・・・それに加えて、うちの周りの女供は何気に美少女ぞろいなのである。伊織も雪路も平均よりも一歩抜きん出て良いスタイルをしている上に、美咲ねぇのあのでかい胸は破壊力抜群であり、たとえ巨乳好きの男でなくとも魅了されることこの上ないのは間違いないだろう。


信「まぁ、見たいかと言われれば見たいかな」


光「まったく素直じゃないねぇ。まぁいい。その点に関しては、やはり君も男、いや漢だったということがわかって安心したよ」


伊「男同士で内緒話もいいけど、結局どうするの?海に行くの?行かないの?」


俺たちの会話が聞こえていたのか、伊織は怒り半分呆れ半分といった感じで聞いてきた。だが一方の雪路のほうはどこか嬉し恥ずかしといった表情でこちらを見ている。


信「う~~ん、そうだな。うん、お言葉に甘えて行くとしようか。日にちは・・・・そうだなぁ、3日後でいいか?」


伊「そうね、いいんじゃないかしら?」


光「決まりだね」


雪「わ~~い!!」


そうして俺たちは海に行くことになったのであった。










そして3日後の今日、俺たちは沖縄にある神城財閥所有の別荘にやってきたのである。今の現代日本にそんな所有地を作れるだけの土地があるのかという突っ込みはスルーしておこう。朝、駅前に集まった俺たちはそこに来た神城財閥のリムジンに乗せられ空港に、そこから自家用ジェットで2時間ほどかけてやってきた。っていうか、リムジンに自家用ジェットってどんだけ金持ちなんだよ。


光「う~~~みぃ~~~~~!!」


雪「う~~~みぃ~~~~~!!」


信「海に来られて嬉しいのはわかるが、何も叫ばなくてもなぁ?」


?「海が好き~~~~~!!」


信「っておじさんまで!?」


この光一郎と雪路と一緒に叫んでいるおじさんは俺の伯父であり、美咲ねぇと光の父親でもある『霜柳源一郎シモヤナギゲンイチロウ』さんである。性格は一言でいってしまえば大きい子供というのが一番しっくり来るが、ここ一番ではやはり大人として俺たちを良い方向へと導いてくれるそんな人である。だが、普段は奥さんがいないと何もできないすごくだめだめな人なのだ。これでも大企業の社長というのがびっくり話で、何の会社なのか聞いたところ、秘密ということらしい。その理由を尋ねたときに返ってきた答えは、


「なぜ秘密なのかって?その方がかっこいいからさ!!」


という馬鹿馬鹿しい答えだった。普段が普段なのでよくつぶれないなぁと常々思っているのは決して俺だけではないはず。


?「あらあら、源一郎さんたらいつまでたっても子供なんだから」


俺の隣で微笑んでいるのはおじさんの奥さんであり、伯母の『霜柳早苗シモヤナギサナエ』さんである。性格は美咲ねぇをそのまま大人にした感じといえば、わかるだろうか。そのままの意味どうり美咲ねぇ同様いつもポワポワしていて、時に勘が鋭い。しかし美咲と違うところは、怒るとものすごく怖い!!何故ならば、終始笑顔を浮かべながらもすごい毒舌を吐いてくるのである。それはもうこちらの心が完膚なきまでへし折れるほどに。だから、早苗さんを怒らせることは絶対に無いようにしているのである。まぁ、めったに怒ることは無いのだが、早苗さんが怒ると怖いというのは周囲の事実である。それは置いといても、この人はとても高校生の子供が二人いる母親に見えないほど、若く美しいのである。見た目は二十代に見えるほどで、実際の年齢のよんじゅゲフンッゲフンッ歳と言われてもとてもそうは見えないのだ。しかも極めつけは、美咲をも超えるバスト95のFカップの胸である。美咲の胸を音にするとポヨンポヨンであるが、早苗さんはボヨヨンボヨヨンであろう。まさにこの親にしてこの子ありといったところだろうか。いまだに二人は新婚の夫婦のようにラブラブな関係を築いているがそのラブラブ加減は俺には少し理解しがたいものがある。しかし、こんないい人があのおじさんとよく結婚する気になったものだ。


早「でも、私たちまで連れてきてもらっちゃって本当によかったのかしら?」


信「いいんですよ。こういうイベントは大勢で楽しんだ方がいいし。いずれにせよ、保護者の同伴も必要でしたしね」


雪「センパーイ!早く着替えて泳ぎに行きましょうよ!?」


美「そうだね!着替えて海にレッツゴーッだよ!」


全員「お~~~~~!!」











信「しっかし、何で女ってぇのは支度にこうも時間が掛かるものなのかねぇ?」


俺たち男性陣はとっとと着替えを終え、ビーチにファミリー用のシートを敷き、ビーチパラソルも立て終えて女性陣の着替えを待っている状態だった。


源「まぁまぁ、信士君。そういわず、のんびり待っていようじゃないか?女性が支度に時間が掛かるのは美しくなるためなのだから、我々はそれを是非とも楽しみにしていようじゃないか?」


水着にアロハシャツを着て、某警察ドラマのボスを思わせるサングラスをかけた源一おじさんがビール缶を片手に俺に言ってきた。しかも、この暑い中にもかかわらず暑苦しいスマイルを浮かべながらである。


光「親父の言う通りだよ、信。美しい女性達がどんな水着を着てやってくるのか、それを想像しながら待つ甘美な一時、素晴らしいじゃないか!?しかも、想像の中ならどんな格好もさせられるからねぇ」


水着の上にウインドブレーカーを着た光が女性陣たちがいるであろう別荘の方向を見ながら言った。


信「ふ、ふ~ん」


俺の方はというと、水着の上に白Tシャツにサングラスをかけてシートの上に仰向けに寝つつ、我関せずの姿勢でいた。もちろん心の中では女性陣の水着姿が気になってしょうがなかったのは言うまでも無い。


光「相変わらず素直じゃないねぇ。おっ!?噂をすれば、来たみたいだよ?」


そう言われて振り向くと水着に着替えた伊織たちがこちらに向かって歩いてきていた。その光景を見て俺は、彼女たちの姿に見惚れていた。端から見れば、さぞ馬鹿げた顔をしていたことだろう。そのくらい彼女たちの水着姿は美しかった。伊織と雪はビキニタイプの水着を着ており、伊織が黒いビキニで、雪が青と白の縞々のビキニを着ている。そして美咲ねぇと早苗さんだが、美咲ねぇの方は白いビキニに海の絵の描かれたパレオをしていて、早苗さんは赤のワンピースタイプなのだが、胸を強調するように大きくV字に開けている。どちらの胸も揺れたりすると、今にも零れ落ちそうだ


伊「ちょっと信士!見てるばっかりじゃなくて、何か感想でも言いなさいよ」


雪「そうですよ~、センパ~イ。どうですか、この水着?私達、先輩の為に選んだんですよ~」


伊「ちょっと!?私はちがっ」


美「どうかな?どうかな?」


早「あらあら」


そう言われても今の俺は、女性陣の水着姿に見惚れたまま動けずにいた。なんと言ってもこれだけの美少女と美女がいるのである。見惚れる者がいるはずなかろうが、いやない。


信「はっ!?あっ、あぁ、いいんじゃないか。みんな似合ってるよ」


伊「まっ、在り来たりな台詞だけど、ありがと」


雪「ありがとうございます、先輩♪」


美「ありがとうだよ」


早「うふふふふ」


我に帰ってすぐな上に、ボキャブラリーの少ない俺に気の聞いた台詞など言える筈も無かった。一方、光と源一おじさんはというと・・・・・


光「我が姉と母ながらこの破壊力はすごい。あとの二人もなかなかのものだなぁ」


と鼻を押さえながら悶えいる光。


源「美咲も伊織ちゃんも雪路ちゃんもなかなかだが、やっぱり早苗が1番だなぁ」


とやっぱり自分の奥さんが1番のようだ。


伊「それより、せっかく海に来たんだから泳ぎましょうよ?」


雪「そうですよ~、泳ぎましょうよ先輩!?」


美「早く早く~!?」


信「わかった、わかったからそんなに引っ張らないでくれ~!!」


そういって海まで引っ張られていく俺であった。


光「お~~い、俺を置いていくな~~~!!」


源「はっはっはっ、若い子達は元気だなぁ。よし!!わしも負けていられんなぁ!!」


早「がんばってください、源一郎さん♪」


そうして俺たちは日が暮れるまで海を堪能し、夜には高級ホテル並みのディナーに舌鼓を打ち、豪華な露天風呂に入って1日目を終えたのだった。


読んでいただきありがとうございました。この後に後編として信士と伊織がメインの話を書くことになります。

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