おばけノベル
とおりゃんせ。
行きはよいよい、帰りはこわい。日本のある昔は鳥居から祠に向けて紙飛行機を投げ、子供の成長を祈願する風習があった。
夜にしか投げてはならない決まりがあり、おばけが出ると笑談する狐耳と尻尾の生えた母狐と娘かえりみち。
虫の鳴く雑草道を2人歩いていると地縛霊が封印されている結界があった。結界は半透明の薄緑でいわばこの場合は封印されているのである。娘はチラ見で通り過ぎて、この時は何も考えていなかった。
「ねーねー、地縛霊って合体するの?」
「そうね、そういう怖いお化けだから触らないのよ」
「はーい」
教えを素直に受け入れる月明かり柔らかい落ちる夜。
娘の狐はお化けの小説を読むのが好きだ、ここ1年はほとんどそればっかり読み狐学校では良い方の成績を出している。
それで呼ばれているあだ名が「ばけノベ」だ。おばけノベルの略。
ばけノベと母親が通り過ぎた静かな結界、亀裂が深くなる。月明かり鋭く照らす夜だ。
よく地縛霊は自爆霊とも言い、意識もろとも滅茶苦茶になるという例えが経緯で変わり、地縛霊へ。
解き放たれた地縛霊はまず大木を喰らった、花も、草も、岩も。
このままでは本当に自爆してしまい、村が荒地になる。逃げまとう者、立ち向かう者それぞれで、ばけノベは立ち向かう方だった。
とおりゃんせ。
生きはよいよい、帰りは結界。
地縛霊に向かって今作った紙飛行機を飛ばす。
そっと触れると、
結界素材の鎖に巻きつかれ、
そして、
動かなくなった。
「これで、大人しくしてね」
その表情は哀しさを潤していた。お母さんは封印師になるのを反対しているので先ほどは知らないフリをしていた。
子供は親に隠し事をして成長するものだ、それは、いつでも変わらない。
元、地縛霊のおばけノベル。




