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スノー・ホワイトは燃ゆ。

作者:閑野いとま
最新エピソード掲載日:2026/02/02

 スカーレット・エンフィールド伯爵令嬢。
 彼女は社交界では語り継がれる花だった。王宮で華々しく社交界デビューを果たし、その一か月後には両親が不幸に見舞われ中央部の中でも南部に近い領地へと療養へ行ってしまった。一度しか人前に姿を見せることはなかった15歳にして伯爵夫人によく似た美貌は誰の脳裏にも焼き付いていた。
 両親を失った心の傷が癒えたらまた社交界に戻ってくるだろうと、晩餐会や舞踏会が開かれるたびに一度は誰かが口にしている。
 柔らかくなびく金糸の髪。透き通った青い目。真っ白な肌。
 ――彼女がどう過ごしているか知らず、人々は美しく優雅な姿を思い浮かべ、再会を心待ちにしていた。
 
 スカーレットは幸せな家庭に生まれた。優しい両親と聡明な弟に恵まれ、穏やかな日々を過ごしていた。朝起きて家族で朝食を取り、昼になるまで庭を散歩し、本を読み、紅茶を嗜み、友人たちに手紙を書き、時折誘われるお茶会に手土産を持って馬車や散歩がてらのんびりと歩きながら訪問する。
 夜になればまた家族で夕食をとり、食後のデザートまで様々な話をしながら賑やかに過ごす。広々とした風呂で身体を洗ってもらい、柔らかで清潔なシーツに身を包んで眠りにつく。
 貴族令嬢としては普通の生活。それが失われたのは16歳の春。
 両親が北部に近い場所にあるエンフィールド領地から王都中央部に戻る際に起きた場所の事故により亡くなってからだ。
 悲しみに沈んでいるうちに葬儀まで終わり、静かになったエンフィールド邸に残された姉弟を迎えに来たのは父親の弟、スカーレットからすると叔父に当たるボイエット子爵だった。南部の小さな領地を持つボイエット子爵家に婿入りし、ほとんど会ったことのない叔父が何をしに来たのか理解しないうちに後見人となった子爵に連れられ、ボイエット邸で暮らすこととなった。
 最初は純粋に助けてくれるのかと思っていたスカーレットだが、次第にボイエット子爵夫妻により心も身体も傷つけられて、弟が王立貴族学園で寮生活をするようになってからはすっかり元々の明るさを失ってしまった。
 今年の春で、両親が亡くなってから3年。
 スカーレットは18歳になる。
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