表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/429

第四十八話 教団

モデルはまあイス○ム系過激派組織。

 目の前に置かれたお茶は香り高く、お菓子は美味しそうだ。まあ八洲の菓子屋で売ってる高級菓子に比べたらそこまでって気もしないでもない。まあ私は眺めるだけだったんだけど。あ、十円くらいの棒状のお菓子なら食べてたよ。色んな味があったから楽しめたし。


「時間はたっぷりあるから整理ついたら話してよ」

「代官様がそんなに時間あるの?」

「教団関係となれば最優先事項だよ」


 くっ、エドワード様の笑顔が眩しい。結婚してください。あ、いや、ハンサムって罪だよね。テオドールみたいなのだと食指も動かないんだけど。


「キューさん?」


 目が笑ってない笑顔というのは社交スマイルってやつですね。まあ瞳の光でその辺を察知されるのは無作法、不調法というものだけど。


「ぼくはこれでも気が長い方だと思ってるんだ。それは分かるよね?」


 ひいっ、エドワード様怖い! 私には戦闘能力はほとんどありませんよ? あ、障壁バリアは張れる。


 とりあえず、話してしまえ。それで全て楽になるのだ。


「いや、その、私もはっきり見た訳ではなくてですね。なんと言いましょうか。見たと言うより見掛けた、そんな感じです」

「もちろんだよ。どんな小さな情報でもぼくは大事にしてるからね」


 ダメだ、逃げられない。これはしっかりしたカバーストーリーで、しかも追及されづらいものを組み合わせなければ。


「みんなが倒れてる時にどこからともなく男たちが現れて」

「なるほど、男だったんだね、そいつは」


 あれ? 性別不詳にしておけば良かった?


「なんで男性だと思ったの? 顔見えたの?」


 しまったァァァァァ!


「いや、その、体型というか身体つきが男性かなって」

「なるほど、女性的なフォルムではない、と」


 あるぇ? なんかどんどんいもしない人を特定されてるみたいな気分だ。落ち着こう。お茶を飲んで続きを話す。


「それで男性がそのまま担いで持っていきました」

「一人でかい?」

「えっ? あ、えーと」


 しまった、なんも考えてなかった。というかシノブさんやエレノアさんの証言だってあるんだからタコ入道の大きさなんて伝わってるよね。


「となればアイテムボックスと呼ばれる伝説のスキルの遣い手なのかもしれないね」


 エドワード様の視線が一層厳しくなった気がした。ええ、まあ、私もアイテムボックス持っておりますし、なかなかに珍しいスキルらしいので、該当者は滅多にいなかったりします。


 それにエドワード様と仕事してた時はアイテムボックス持ってるって言わなかった。というかそもそもまだ持ってなかったもんね。


 エドワード様から見たら「アイテムボックスのスキルを隠していた」みたいに見えるんだろう。そうなるとどうなるか。私にはまだ隠していることがあるのかもしれない。そしてそれは教団へと繋がるかも?


 なんてことになりかねない。いや確かに別の世界から来ましたとか女神様に世界の修復を押し付けられましたとか色々あるけど、話せる内容はひとつもないよ!


「さて、それでその後はどうなったのかな?」

「ええと、忽然と目の前から消えてしまって」

「取り逃した、と?」

「はい」


 エドワード様はお茶を煽るように飲み干すと、私ににっこりと微笑みかけた。やだ、怖い!


「キューさん、あなたは恩人だ。私の、そして兄上と父上の」

「あ、まあ、その、そうかもしれないです」

「また、あなたにはアイテムボックスや転移など不思議な力をお持ちなのも理解はしているつもりです。我々としても目を瞑ってきた」


 あー、まあ詳しく追及されることも無く冒険者などやらせてもらってます。


「ですが、教団が絡むとなっては話は別です」


 教団ってそこまで厄介なの?


「アイテムボックスに転移。それを勘案して、しかも発見者のはずのキューさんは()()()()()()()()()


 あっ。これは、まずいかもしれない。私には転移とアイテムボックスがある、となれば教団の能力者にそういう能力者がいた場合、私と何らかの関係があると考えるのが普通だろう。邪推では無い。推察だ。


 ええと、まあ、六号とか八号とか転移だけならいるだろうけど、どうせ八洲の研究所に今もいるだろうし。さすがに世界飛び越えてまでこっちに来たりはしないと思う。アイテムボックスは知らん。私だってラノベで読んだだけだもん。


「教団とキューさんはどの様な関係なのか、私に教えて貰えないかな?」


 これは、私が教団関係者だと確信してる感じだ。いや、教団なんて何がどうなってるのか私にはさっぱりですよ。さっぱり妖精だって飛んじゃう。いや、むしろ大混乱妖精かな?


「あの、なんで教団はそんなに目の敵にされているのでしょうか?」

「ふう、飽くまでとぼけるつもりですか。私たちとしては国内から教団の影響は排除しなければなりません。いや、待てよ? もしかしてキューさんは教団に嘘を教えられてそこから逃げ出した?」


 エドワード様がブツブツ呟いている。いやまあ逃げてきたっちゃあ逃げてきたんですけど。教団よりも頭がどうかしてる研究員の奴らから。


「わかりました。教団がなぜ危険視されているかをお教えしましょう。見に覚えがあるはずです」


 ないよ、そんなの!


「教団というのは宗教組織と言った方がいいでしょう。この国には国教として真教の教えがあります。これは真なる神を崇める宗教です」

「じゃあ教団というのは?」

「暗黒神の復活を目論む邪悪なる組織で、暗黒神の為なら生贄、殺戮、様々な犯罪行為を是としてます。なんなら自爆すらも暗黒神に自らを捧げるためなどとはばかりません」


 あー、そういうの聞いた事ある。過激派テロの人たちだね。私も先輩らの活躍を聞かされたことあるもん。まあ一歩間違えたら私も実行役のサイドだったと思うけど。鱗胴って本当に何やってたんだか。


「ですので見つけ次第駆除、いえ、排除する様に国内全土に命令が出されています」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ