表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/429

始末(episode48)

そういえば携帯持たせてなかったや。

 ドク・ラルフが現場監督の一人であるマッチョと抱き合ってたのでそれはスルーして解毒ポーションの数を揃えていく。材料は豊富にあるから作るのは難しくなかったよ。あ、魔力水はちょっと大変だったかな。


 沢山の量を作ったところでドク・ラルフに注射インジェクションしてもらう。体内注入した解毒ポーションは驚くほど画期的な効果を示してくれた。まあ魔力水は私しか作れないから多分他の人は作るのは無理なんだけど。


「お前のおかげだ、ありがとう!」


 ドク・ラルフにも深く感謝された。大したことは、してるか。まあこれが繰り返されることは多分ないだろうけど。だいたいもう湖もない。あまく思うかもしれないが再発する心配はないと言えよう。


「容態が安定したみたいなので我々はここで」


 ガシッと肩を掴まれた。あの、なんでアンネマリーさんが?


「鉱山の復旧までが私のお仕事なの。付き合ってくれるわよね?」

「えっ? でもそれって私には関係ない……」

「まあ、手伝ってくれるのね。ありがとう!」


 えっ、あっ、いや、その、別に手伝うって言ってないんですけど。でもなんか手伝わなきゃいけない気がする。そもそも帰りの航空券って多分アンネマリーさんが持ってるか手配するかしてるんだよね。


 それから鉱山の復旧に向けて動き出す。まずは鉱山で働く人たちの身体のチェックから。これを何故か私とドク・ラルフでやる事に。私、薬は作れるけど診察とかは出来ない……あ、鑑定があるから診察出来るのか。


 ええと、腰痛、関節痛、腰痛、関節痛、じん肺……じん肺!? 確かに鉱山だもんね。腰痛とか関節痛とかは湿布でも貼っとけってなるけどじん肺はねえ。よく診てみると、二割くらいの人がじん肺だった。腰痛と関節痛は九割くらいいるけど。


 じん肺ってのは粉塵や微粒子が肺の細胞に張り付いて悪さをする病気だ。となれば、肺の細胞が洗浄できれば大丈夫になるだろう。普通の薬だとそんなこと出来ないけど、ポーションなら何とかなるかも。


 魔力水で肺に付いている粉塵や微粒子を溶かして体外に排出するのだ。こういうの、魔道具欲しい。いや、延々と魔力水を出して流すのはいいんだけど、体内に入れるのが面倒過ぎる。


 あ、そうだ。あの注射とか言うやつを肺の辺りに打ち込めば……あ、うん、危ないと思います。間違えたくないです。背中側から刺せばリスク軽減できるかな。


 ヘトヘトになりながらも生成が終わった頃には日はすっかり沈んでいた。このまま帰れないので街に泊まることに。まあ宿屋っぽいところはあって、部屋も余ってたので好きに使わせてもらうことにした。他のみんなも同じ部屋。これは襲撃に備えてとのこと。何の話だろう?


 アンネマリーさんいわく、平時は良くても今は余計に健康になって、しかもここには美人が四人いる。性的な意味で襲われても不思議ではないそうだ。


 いやまあ確かに治療の時にやたらと胸元に視線がいってる患者さんばかりだったけど、襲われるとかそういうのは。


「うわぁー!?」

「なんで落とし穴が!?」

「おぉーい、助けてくれぇ」


 外に落とし穴がしかけてあったらしい。なお、仕掛けたのはガンマさんらしい。殺す気はなかったのでデストラップにはしなかったわ!って親指立てながら言われた。


 今のうちとばかりに入浴。鉱山町なだけに湯殿は立派だった。というのも温泉も鉱山とは密接に繋がっており、マグマから水蒸気や水分が地上に噴出し、それが液体で出れば温泉、噴出せず、濃縮されて地中で成分が結晶化すると鉱脈になるのだそうな。まあ何はともあれ、温泉はいいぞ。


 私、凪沙、アンネマリーさんと三人の巨乳が所狭しと温泉に浮かんでいる。ガンマさんはその中で小さくなってるけど、別に自慢したいわけでもないしなあ。本人も胸がある方が戦闘の邪魔になると割り切ってるみたい。


 ……だから凪沙のバストアップ体操を耳をそばだてながら聞いてるガンマさんなんて幻覚だったのだ。


 部屋に戻って恋バナ。ガンマさん、私はご主人様にお仕えするメイドですから。などと言っていた。メイドさんの鑑かな? よくよく聞くと十条寺のご主人様ってのが十歳くらいの少年なんだとか。アウト? セーフ? 手を出してないならギリセーフってことで。


 アンネマリーさん、仕事が恋人、なんだそうな。いや、なんでもこっちに来る直前に、「ぼくと仕事とどっちが大事なんだ!」って恋人に言われて、「仕事」って秒で答えたらしい。そういうセリフは女性が口にするものだと思ってたよ。で、結局別れてこの旅に。でもまあアンネマリーさんは帰ったらまたすぐできるわよ、男なんて星の数ほど転がってるんだからって言ってた。まあ美人だし。、胸大きいし、入れ食いなんだろうね、きっと。


 凪沙は当然ながらタケルの話。優しくて、カッコよくて、ちょっと抜けてるけどそんなところも可愛いって凪沙から見たらタケルってそんな存在なんだなって改めて認識しました。ご馳走様でした。


 えっ、私? いや、タケルは好みじゃないって言ったよ。そしたらどんな男が好みだとか聞かれたから筋肉質でガッシリした人が好みだなって言ったんだよね。そしたらガンマさんが伽藍堂の馬鹿どもで良ければ紹介しますとかアンネマリーさんも妖世川にもいっぱい居るわよって勧めてきた。


 辟易しながらもまあ、そのうち機会があれば、なんて言葉を濁してその日は就寝。とりあえず早く八洲に戻りたいものです。


 翌日、改めて先遣隊の男たちと鉱山へ視察に。もうイカは居ないと思うから注意して進んでは行く。毒も漂って来ないし、水の気配もない。普通の鉱山だ。


 掘ってある一番奥まで辿り着いて何の問題もないことを確認して任務完了。これでやっと八洲に帰れるね。


 八洲に帰る、ということはアンネマリーさんやガンマさんともお別れという事だ。まあこの仕事のために組んだチームだったけど悪くなかったよね。連絡先交換って事でスマホの電話番号を交換したらしい。あの、凪沙? それ、私、持ってないんだけど!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ