第四十六話 一息
教団、何者なんだ()
(2025/01/06)エピソードタイトルを「教団」から「一息」に変更しました。考え無しに付けてるから被るんだよ。
目が覚めたら洞窟の広間に居た。いや、森の中にほっぽり出されるよりはいいんだけど。ほら、森の中だと襲われちゃうし。
なお、アンガーさんとサーラさん、グレイさんとジャニスさんは抱き合って気絶してる。女神様の配慮かな? そして直ぐにシノブさんとエレノアさんが目を覚ました。
「タコ入道は?」
「きっ、気の所為じゃないですか? 幻影とか?」
「確かに斬った感触はあったし、私とエレノアが揃って欺かれることは無い」
「そうよね。物理的なものならシノブが分かるし、魔法的なものなら私がわかるもの」
どうやらエレノアさんとシノブさんには誤魔化しは効かないようだ。ここは正直に話すべきだろうか?
「キューちゃんは何か知ってるのよね?」
「……なんでそう思ったんですか?」
「女の勘よ」
「私の第六感もそう言ってる」
その第六感ってぴい子さんのより正確だったりします? 二人に詰められたので仕方なく話しました。いや、実際女神様のことなんか話しても信じて貰えないだろうから予めティアと一緒に拵えてたカバーストーリーってやつね。
「私はとぼける事が出来るけど、キューの方は無理でしょ。だって誤魔化し方下手そうだし」
それならカバーストーリーもダメじゃないのかと思うけど、私の考えたさいきょうのいいわけらしいので大丈夫と太鼓判を押された。
「なんか黒っぽい人が来て実験は失敗かとか言ってタコ入道を抱えて去っていきました」
「なんですって!?」
「まさか、教団がまだ残ってた? いや、確かに全滅させたはずなのに」
「生き残りがいたとしたら厄介ね」
「直ぐに森の大々的な探索を行わないといけない」
あの、ティア? なんかすごい大事になってる気がするんだけど、気の所為かな?
「この事は内密にお願いね。また詳しく話を聞くと思うわ」
「そうだね。そうなれば一刻も早くここを離れた方がいい」
エレノアさんとシノブさんの意見が一致したみたいだ。というか教団って何? 黒っぽい人ってなんなの? こ、こ、これはちゃんと白い部屋でティアと話し合わないと! でも自由自在に行けるわけじゃないからなあ。夜はちゃんと寝れば大丈夫かな? 早目に寝よう。お願いします、女神様。
それから四人を起こして森の中から撤退する事になった。帰りは転移じゃなくて森の中を辿って帰ることに。これも修行というか森の中に黒っぽい人の痕跡がないか見落としがないかをチェックしながら帰るんだって。
思ったよりも距離があって野営を二回ほど挟んだ。そのまま街まで転移したかったよ。まあ地面は固いけど寝れないことはないし、グレイさんからはまた勧誘を受けたり、ジャニスさんとの仲を惚気られたりしたから退屈はしなかったけど。
パーティを組む、という話は悪くない案のように思えるが、私は危険が迫ったら一人で転移出来るからむしろパーティ組んでる方が危なかったりするんだよね。そんな事言う訳にもいかないけど。
それにパーティ組んでない方が街中の依頼やりやすいんだよね。お手紙届けるのは悪くない仕事だと思うし、今後も続けてもいいかも。色んな街にも行ってみたいし。
なお、シノブさんにも商業ギルドにスカウトされました。こっちは流通の助けとして必要になるからって。戦闘とかしないで稼げるとか言われたけど、四六時中バンバンと転移使わなきゃいけなくなりそうっぽいからやめといた。物だけ転移させるのはまた別の能力なんですよ。
私は自分の座標を基準に自分を転移させればいいけど、物だけ転移は物の座標を基準にしないといけないので上手くいかないのだ。自分の手では上手く扱えるけど、道具を使ってやると上手くいかないのと似ている。そして私はそういう細かいのが苦手だ。
えっ? アイテムボックスに入れて転移すればいいって? いや、そんなことしたら本当に四六時中働かなくちゃいけないからダメだよ! 私は休みも欲しいし働き方は自分で決めたい。
結局、エッジの街に着くまで一週間掛かった。これは痕跡を探しながら慎重にやったからだが、困難の中でアンガーさんとサーラさんの距離が一層縮まったのは良かったことなのかもしれない。
ジャニスさんとグレイさん? なんか途中で喧嘩始めて少し険悪になってたよ? なんか私に構いすぎとかそんな事を言ってた。ジャニスさんは考えすぎだと思う。私は、そりゃあ美少女の部類に入るかもしれないけど、おっぱいはティアほど大きくないからね。
まあそれを言えばジャニスさんもシノブさんもティアほど大きくは無いけど。サーラさんは割と超えそう。エレノアさんは大きいよね。
ギルドで終了報告をしたあとみんなと別れた。光槍のみんなとはまた会おうって冒険者特有の約束をして別れた。まあまた会えるかな。同じ街に居るんだから。
シノブさんやエレノアさんとも別れて一人で宿に帰る。宿屋のおばちゃんは笑顔で迎えてくれた。なんと、私が泊まってた部屋をそのままにしてくれてたとの事。いや、別にその都度跡を濁さないように使ってたんだけど。でもなんか同じ部屋だと愛着が湧くね。
私もこの世界で生きるために家を持つべきだろうか? 思えば家という場所には縁がなかったら。物心ついた頃には研究所だったもの。仲間は沢山居たけど家ではなかったよね。だから脱出しようとして逃げたんだし。
よし、家を買ってみよう。公爵様にたくさんの報酬も貰ったのでお金には困ってないからね。宿屋でダラダラ暮らしても一生暮らせるとは思うけど、家というものにも憧れがあるからね。
そう思いながらその日は眠りに就いた。翌朝、あまり朝早くてもダメかなと思いながら朝ごはんを宿屋でいただく。そういえば私は料理とかやったことないなと思って家を買うのに少し躊躇をした。掃除も食事もあるここの方がいいんじゃないかと。
でもまあエレノアさんやベルちゃんさんにその辺も相談してみようと思って昼頃に冒険者ギルドへ。お昼の冒険者ギルドは怠惰な空気の流れる場所だった。真面目な冒険者は朝から依頼に行ってるからね。