鉱山(episode43)
新キャラ二人出しました。爆乳赤毛美人と三つ編みメガネメイドです。決してブーディカさんとフローレンシアの猟犬じゃないんだからね!
アフリカとかいう場所に行くには船ではなく飛行機と呼ばれるもので行くらしい。名前からすると空を飛ぶみたいな感じだけどさすがに冗談よね? あれだわ、きっと飛ぶように速い高速艇みたいな感じよね。きっとそうよ、うん。
「ティア、いい加減現実に戻っておいで」
「凪沙ぁ、絶対嘘だよ。あんな鉄の塊が魔力も無いのに空を飛ぶ訳ないって。そもそも金門は木門と相性が悪いっていうか」
「今それ関係ないから。ほら、搭乗準備しなきゃ。チャーター便だから多少の時間は気にしなくていいけど」
凪沙と一緒に空港に来ています。タケルは例のお爺様がダメって行ったのでお留守番だそうです。あと、妖世川と十条寺からも人が来るらしい。全員女性だって。まあその辺は配慮されてるのかな?
「はろはろー。あなたたちが四季咲の子たちかにゃ?」
そんな私たちに話しかけてきたのは赤毛で長身、そして爆乳のお姉さん。私たちよりも少し大きめっぽい。
「あ、はい、そうです。私は御簾深凪沙、こっちはティア・古森沢」
「よろしくお願いします」
「へぇ、金髪とは珍しいね。ハーフかなんか?」
「まあ、そんなところです」
「英語しゃべれる? 英語の方が楽ならそっちにしようか?」
「八洲生まれの八洲育ちだから英語は勘弁してあげてください」
とてもフレンドリーな人の様だ。どうやら私のような金髪は八洲では珍しい様だ。いや、別に英語とかも分からないことはないんだけどね。
「自己紹介するね。私はアンネマリー・妖世川。妖世川の中では傍流だから警戒しないでね。形式的にも通訳的にも私が適任ってことで選ばれたんだ」
どうやらこのアンネマリーさん、結構な才女らしく、色んな国の言葉を喋れるのだそうな。アフリカ国家での共通語であるアフリカーンス語もペラペラなんだって。よく分からないけどすごいみたい。
「あの、あの、その、すいません。皆様、十条寺でございます。無視しないでください」
か細い声がしていたのでそちらを見ると身長が約百三十センチくらいのメイド服の女性がそこに居た。メガネを掛けて三つ編みをしていかにも素朴な感じの女性だ。この人がもしかして「十条寺から派遣されてきた荒事担当」ってやつ?
「ガンマです。よろしくお願いします」
名字はなし。名前はガンマ。コードネームというやつだろうか。ちなみにこの子はおっぱい大きくないよ。というかむしろ少し発育不良だよ。いや、それ以前に身長からして発育不良だ。
「よし、全員揃ったみたいだし、出発しましょう」
「そうね。四季咲のチャーター機とか初めてでドキドキするわ」
「あの、私も乗っていいのでしょうか? いや、乗らないとダメですよね。護衛ですもん」
「みんな、気をつけて行ってきてね」
「あんたも来なさい!」
なぁんでぇ!? どさくさに紛れて見送りしてたら凪沙にバレた。そりゃあまあ私たちしかいないからバレるとは思ってたけど。
斯くして、我々は飛行機とやらに乗り込んだ。いや、絶対、こんな、鉄の塊が、空を飛ぶなんて、五行の理に反してるじゃないの。ダメだ、ダメだよ、落ちちゃうよ。飛べないならまだいいよ。でも、空に上がった後に落ちちゃったら私たちの身体がバラバラになっちゃうんだよ? いや、そりゃあ高さ次第では身体強化でなんとでもなるかもしれないけど、ものには限度ってものがさ。あれ? なんか揺れてる。えっ、シートベルト? いや、そんなのしたら動けなくなっちゃう。えっ、ちょっとくすぐったいよ、待って待って。
うーわぁー
鉄の塊が空を飛ぶのはわかりました。どういう原理かは分かりませんが。あ、おしっこ漏らしたりはしてませんよ。本当です。ちゃんと洗ったし、乾かしたもん!
私が目を覚ますとそこは空港というのも名ばかりの砂の舞い踊る場所でした。滑走路とか呼ばれる地面に砂がどんどん入り込んでいきます。本当は良くないけどどうしようもないんだって。だからみんな手動で掻き出してるんだそうな。大変だなあ。
大変そうだから手伝ってあげようかな。滑走路に砂を弾く結界を張っとけばいいよね。あー、うんうん、これくらいなら周りから魔力を得て継続するから大丈夫。なんてことないよ。
なんか凪沙に叱られた。そういうのはやっちゃダメなんだって。えー、だって大変そうだったじゃない。あっちもこっちもって頼まれる? あー、それは確かにそうかも。迂闊でした。
アンネマリーさんとガンマさんはポカーンとしてた。そして二人ともなるほど、みたいな顔で私を見ていた。なになに? 怖いんだけど。
「では、ここから鉱山まで車で移動します」
車に乗り込んだのはガンマさん。運転席で何やら格闘してるみたい。そして車から出てきて言った。
「足が届かないので誰か運転代わってください」
結局運転は国際ライセンス持ちのアンネマリーさんが代わってくれた。凪沙も免許は持ってるけど外国で運転しちゃダメなんだって。まあアンネマリーさんに言わせれば、この国ではそういうの関係ないかららしい。
しばらく車を走らせる。道無き道を走る。喉が渇いて来たので水を出して飲んでると、他の三人も水が欲しいと言ってきた。まあ喉渇くよね、こんな場所だと。
「これが魔法で出した水……美味しいですね」
「水道水より美味しい。驚いた」
「ティア、おかわり!」
おかわりまで欲しがる凪沙は欲しがりさんですね。いや、いつも仕事の休憩中にも出さされているんだけど。
砂ばかりで何も無い景色の先に急に黒っぽいものが視界に入った。あれが目的地の鉱山なのだとアンネマリーさんが言った。今は廃坑状態になっているそうで、作業員などは誰もいない。それでも発掘に使う道具などはその辺に散乱していた。
「入山許可は出てるからそのまま中入ろうか」
入口で機械に凪沙が何やらカードを差し込むと、入場ゲートが開いて私たちを招き入れた。人は居なくても四季咲の管理下にあるのは間違いないみたいだ。私は水門の魔力を飛ばして洞窟の中を探ってみる。確かに中に水が出ているのは間違いない。