幕間〜とある女神の後始末〜
幕間そのにです。頑張れ、中間管理職。
皆さんこんにちは。私です。女神です。若手の神々からお嫁さんにしたい女性ナンバーワンって言われてる……嘘です、ごめんなさい。しがない創造神です。
今、私の目の前には私の被害者たる女性が二人、詰め寄ってきています。いやまあここにいるのは意識体で本体は別のそれぞれの世界で眠ってるだけなんですけど、なんと言うか私は自分のした事を反省して、この二人に償いをしなければなりません。
神だから適当でいいだろうって私も思いましたよ。でもそれが出来ない理由があるのです。それはですね……この一部始終を至高神様方が見ていらっしゃるのです。それによって、私の地位の降格とか減棒、あとは権能の剥奪なんかが決まってしまったりするのです。
この際、少々の減棒は目を瞑りましょう。それは仕方ないことです。ですが! 私が降格され、後釜にあの小娘が、色気だけで至高神様方に取り入ったクソアマが就任したら、滅ぶ世界は一つや二つでは済みません。それだけは阻止しなければ。
私は誠心誠意、二人に謝罪しました。そして返ってきた言葉は「ありがとう」でした。思わず、えってなりましたよ。だって世界から別の世界に追い出されて良かったなんていう人ってほとんど居ないでしょう?
奇しくもこの二人はその希少ケースに当てはまったってことですね。こらはなんとラッキーなんでしょうか。やれやれ、無駄な出費が無くて済みそうです。
「でも、お詫びは必要ですわよね?」
「そうだね、オトシマエはつけないといけない」
思わず叫んでしまいましたとも。いや、確かにお詫びはするつもりではいましたが、この様子だと何かとんでもないものを要求されそうです。世界の半分とか?
「心配しなくても世界の半分寄越せとかそういう事は言わないわよ」
読心術でもついてるのかしら、あ、そういえば超能力者の方、キューちゃんの方には心を読める鑑定があったよね。あれ? でも今つっこんで来たのティアちゃんの方では?
「ティアちゃん、あのゲームやったの?」
「そうね。私は三が最高作だと思うわ」
「まあそうかもね。私はもうひとつのシリーズの方が好きだけど」
「あっちの最高作は六ね」
「その辺は色々異論がありそう」
なんか二人で盛り上がってる? ああ、そう言えばそういうゲームがあるんだっけ?
「で、何か希望のものはありますか?」
「あー、私、荷物持たなくて済む様にしたい」
「あ、アイテムボックスとかストレージとか四次○ポケットとか」
「あーあーあー! 著作権、著作権の問題がっ!」
「まあ、呼び方はどうでもいい。異空間に収納して沢山持ち運べるようにしたい」
まあキューちゃんがこれからも冒険者やっていくならとても便利な能力になるだろう。でも……
「キュー、そんな能力持ってる人間、あの世界には居ないわよ?」
「あー、うん、そうなんだけど、転移も出来る人間居ないから今更かなって」
「それもそうですわね」
とりあえずキューちゃんは自重するのを辞めたらしい。まあ冒険者として頑張って生きてるからいいかな。というかキューちゃんって戦闘能力ないよね?
「念動を鍛えてるから多少は大丈夫。いざとなったら転移で逃げる」
「まああまり無理をしないでくださいね。ティアちゃんは?」
「あー、私? 私はそうだなあ、錬金術。ポーションとか作りたい」
あー、確かに。ポーションとかティアちゃんの方の世界にはないですもんね。というかティアちゃんは素質がなかったけど、許されるならそっちの道にも進みたかったそうな。なるほどねえ。
「じゃあ錬金術とそれに必要な能力を追加でつけておきます。まあ、と言っても初期の鑑定ですけどね」
「あら、気前いいのね」
「あの世界には下手に調合すると都市圏の人間を死滅させる爆弾とか出来るものがありますから」
「怖っ!」
「あー……そうだね」
キューちゃんにはわかったようです。まあそういう教育も受けてましたしね。なんか最終的には研究所を守るために単身でそれを持って敵の都市で起爆させろとかいう計画もあったらしい。この辺は秘密だけどキューちゃんは察していたのかもしれない。
とりあえずキューちゃんには時間停止付きのアイテムボックスと念動の強化、ティアちゃんには錬金術と鑑定を付与した。それぞれであとは試してもらおう。
「それから二人にお願いがあるんだけど」
ここから先は私のお願い。勝手なお願いだから、特には聞き入れられなくてもいい。
「暇な時にこの世界に来て物を増やして欲しい」
「この世界?」
「ここは、元は第十三世界といってあなた達の世界、第十二世界と第十四世界の間の世界なの」
そうしてどうして第十三世界が滅んだのかを説明。そして第十三世界の復興の為には二人が力を使うことを推奨した。というか使えば私に神気が溜まるんだよ。お願いだよ、これ以上絞られたくないよ。
「まあ無理に能力は使ったりしないとは思いますが、必要とあれば使いますわよ。ちょうど今魔法教えてますし」
あ、そう言えば現地人に魔法教えてるんだっけ? いやまあ少しずつマナは流れ込んでるから魔法も発動しやすくなってるけどね。というかティアちゃんが居るから魔法使えるのよ? あなたの存在がマナを呼び込んでるんだからね?
「私は、まあ、便利だからいいかなって」
キューちゃんはそのままでいてください。下手に考えるよりも色々してくれてるし。というか転移のおかげで割と神気がバンバン溜まってたりしてますから。お陰でグレードアップも出来ました。
そして二人を元の世界に帰します。本人の意思でこの世界に来やすくする様にチャンネルを設定しておいたからこれからは寝る時に来るって念じたら来れるからね。私の代わりに世界の修復頑張って欲しい。
あ、至高神様、見ていらっしゃいましたか? あの、私の処分は……お咎めなし? 百二十点? 感謝されててよかったね? やったー! 創造神続投ですね! 今後とも頑張ります!