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土門(episode35)

私はナウシ○よりもラ○ュタ派です。

「もう、凪沙ちゃんったら、来てくれるなら来てくれるってもっと早く言ってくれれば母娘おやこでラブラブクッキング朝食編が出来たのに。でもいいのよ。その機会はタケルが凪沙ちゃんのご飯を食べる時まで取っておきましょうね。ほら、その時はあーん、ってしてあげるのよ。私はほら見ないふりしといてあげるから。あ、でも指の間から眺めるのは許されるわよね? なんて言ってもタケルの母ですもの。やっぱり朝は和食かしら? でも洋食も悪くないと思うの。今日は簡単にパンで済ませちゃったけど、ご希望があれば魚も焼くわよ。こう見えても綺麗に焦げ目が付けられるのよ」

「あの、諾子なぎこさん?」

「いやだわ、凪沙ちゃん、私の事はお義母様って呼んでって言ったわよ?」

「……すいませんお義母様。あの、ティアの件についてはなしをしてもらえませんでしょうか?」


 朝からマシンガントークをかましてくる諾子さんを止めて私の話を促す凪沙ちゃんの努力に乾杯。あー、牛乳美味しい。


「仕方ないわね。じゃあメイから説明させるわ。出来たら魔法のことについて話したいところだけど」

「かしこまりました」


 メイさんがメイド服のスカートをつまみ上げながら挨拶する。カーテシーというのだそうだ。って普通に貴族女性の挨拶だから珍しくもないんだけど、こっちではメイドの挨拶なのか。


「さて、それでは簡潔に、端的に言いますと、ティア様が狙われております」


 私の事は呼び捨てにして欲しかったけど、今はそういうこと言ってる場合じゃないよね。


「また伽藍堂ぐんたい?」

「いえ、今度は清秋谷けいさつです」


 更にデータとして四季咲しきざきが把握しているのは伽藍堂、清秋谷の他に妖世川あやせがわも動いているそうな。何故それを把握しているのかと言うと、四季咲の分派が金を出していて、その金の流れを追えるからだとか。いや、怖いよ! 一国の諜報部も顔負けだよ?


伽藍堂ぐんたい清秋谷けいさつは分かるけど妖世川がいこうも?」

「何も無いところから水を出せるのを見られていたらしくてな。発展途上国の支援とりこみに最適だと言っていたらしい」


 あー、別に水門はそこまで苦手じゃないというか得意な分野だから水出すくらいはここだと簡単かな。向こうは飲み水とか普通に魔法で出せる人がそこそこ居たからそういうの考えたことなかったよ。というか旅に出る時はキャラバンとかで水門の使い手を優先的に乗せるって聞いてたから私もそっちに進もうと思ってたんだよね。冒険者としては。


「だから、とりあえず情報操作が終わるまではティアちゃんは家に暮らしてください。リュージ君も帰ってくるだろうし」


 リュージ君というのが誰かわからないけど、帰ってくるって事は旦那さんかな? という事はタケルのお父さんって事? 確か貴族……では無いんだっけ。諾子さんは貴族だろうけど、結婚相手は貴族じゃないのは不思議だね。そもそも婚姻が成立するのがびっくりだ。


 そういえばあと一人、確かタケルには妹さんがいたはずなんだけど、その辺はどうなってるのかな?


「あ、サクヤちゃん? サクヤちゃんならタケルと同じように家を出て暮らしてるわ。なんでも自分で商売をやってみたいって」


 どうやらお名前はサクヤというようだ。そして家から出て会社経営中らしい。よくは分からないけど会社を経営するというのは店持ちの商人になるのと比べるのも失礼かもしれないが同じくらい凄いのだろう。私には取れなかった選択肢だ。商才などというものがあれば私にも可能であったかもしれない。


「あ、タケルは呼ばなくていいの? タケルも狙われてない?」

「凪沙ちゃんとタケルの魔法については誰も知らないわ。あの場所にいたのはあなたたちだけだもの」


 何故それを知ってるのかは聞かないでおこう。なんと言ってもあの施設は四季咲のものなのだから。


「じゃあ暇な間魔法をおしえてほしいんだけど」

「あ、それいいわね。私も教えて欲しいわ」

「差し支えなければ私も挑戦してもいいでしょうか?」


 どうやらメイも魔法には興味があったらしい。こうなったらまとめて面倒見ちゃいましょう!


 と言うわけで、一番遅れてるというかスタートラインなメイから。魔力循環させて感じさせる。水門の魔力を流す。流れない、というか流れにくい。今度は風、木門の魔力を……これも流れにくい。という事は魔法の素質がないのかな?


 私はある結論に辿り着いて、土門の魔力を流した。比較的スムーズに流れる。ああ、やっぱり。魔力が流れないのは反発してたからだね。水門と木門に反発するのは土門だもんね。


「メイは土門ね」

「なるほど。で、それはどういう?」

「ええと、園芸とかが便利になるわね」

「それはありがたいわ」


 どうやらメイは家庭菜園に興味があるらしい。夾竹桃キョウチクトウってピンクの花が好きなんだって。あとは青い花も好きらしい。なんだっけ? とりなんとかとか言ってたような。


 そういうわけでメイにも魔法を頑張ってもらう。メイに発動してもらうのは地面に穴を開ける魔法だ。私も得意としている。というかよく使う。いやだって罠に最適なんだもん。特に直進するしか能のないイノシシ系は。まあこっちに来てから狩猟はしてないけど。なんか許可がいるらしい。面倒だよね。


 メイと両手を合わせて魔力循環を試す。でも、土門の魔力って元々循環しづらいんだよね。それが土の性質だって言っちゃえばその通りなんだけど。なかなか土が動くというのは想像しにくいよね。


 って動いたぁ!? すごいな、一発で魔力循環が成功するとは思わなかったよ。どうやったのかを聞いたら砂漠の砂を思い浮かべたそうな。なるほど、流砂だったか。あれは確かに流動的……えっ、アニメ映画で見た? でかい蟲が出てくるやつ? 大地の怒り? 青き衣を纏い金色の野に降り立つべし? わけがわからないよ。


 凪沙はあー、とか言ってるし、諾子さんは懐かしいわーとか言ってる。オロオロしてたら今度見せてくれるって言うのでまあいいかってなったよ。

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