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採取(episode210)

今更になってザシュニナさんとゲリュニカさんを取り違えていたのでおじいさんの方をゲリュニカにする事にしました。自分がアホ過ぎる。

 目の前にはぬえが居なくなって、ただただ広い拓けた場所があった。鵺の居た痕跡はある。周りの木々が折れたり枯れたり焼け焦げたりしてるから。


 だが、その場所に鵺は居ない。調和神様も言っといてくれたらいいのに。と思ったら頭の中に調和神様の声が響いた。


『ティア、聞こえますか? 私は今、あなたの心に直接話しかけています』


 調和神様!? はい、大丈夫です。ちゃんと聞こえてます。音戸良好です。


『鵺の死体はこちらに回収しました。これは創造神を追及する為の材料であり、この世界においてはオーバーテクノロジーとも呼べるものです』


 確かに。鵺の死体には魔力が残留していた。というか私の魔臓のせいなんじゃないかと思うんだけどその辺は追及されないのかな?


『あなたがその世界に居るのは不可抗力であり、それはこちらの管理サイドの責任になります。創造神だけでなく、調和神たる私や下手すると至高神様方の責任問題にもなりますので』


 普通に創造神様がやらかしただけじゃないんだ。よくよく聞いてみると世界間の相互干渉現象が起こるのを放置していたのが至高神の責任になりうるんだとか。調和神様はちゃんと報告はあげたそうな。


『ですのでティアさんはお咎めなし。むしろ被害者ですから。だから能力を渡したのです』


 まあアイテムボックスはキューが使ってて羨ましいなあって思ったよ。それよりもキューのアイテムボックスと相互干渉起こしてるけどいいの?


『どうやら調べたところ、同じ世界にいる時限定の様です。通常は問題無さそうですよ』


 あー、つまり私たちが十三世界に行った時とかなんかの間違いでどっちかがどっちかの世界に帰ってきちゃった時に困るわけか。そりゃあとりあえず様子見って話だね。


 とりあえずみんなの所に戻ろうか。私はゆっくりと歩いて戻ることにした。こんな時になんか空飛んだりとかしたいなー。そうか、移動手段を貰うという手もあったんだ。でもまあこんな島でもなけりゃ使わないか。


 戻るとリュドミラが泣きそうな顔で出迎えてくれた。イオタやタナウスさんもほっとした顔をしている。コルホとザシュニナさんは二人で難しい顔をしながら何かを話していた。


「ただいま戻りました。お二人は何を話してるのですか?」

「牙族の今後についてです。どうやら彼一人になってしまったようで」


 あー、魔力を得るために牙族の皆さんは鵺の腹の中に収まってしまったんだよね、多分。もしかしたらどこかに生き残りがいるのかもしれないけど。


 なんで牙族だけ襲われたのかというとコルホみたいに何らかの能力を持ってる人がそれなりに居たんだって。それが魔力残滓かなあ。昔は魔法使いもいたのかもしれない。


「我が集落に来い。そして牙族の生き残りを探すならば手伝ってやろう」

「いいのか? オレはお前の仲間を襲って」

「元はと言えば勘違いからだ、私がお前の立場でも同じことをしただろうさ」

「ザシュニナ……すまぬ」


 そしてコルホは感極まったのか泣き出した。まあこれでめでたしめでたし?


「いや、獲物を捕って帰らないと」


 まあそりゃあそうか。元はと言えばザシュニナさんたちは狩猟をしにこの中心部まで来てんだから。


「よし、じゃあ改めて我々が狩りに出よう。使徒殿は休んでいてくだされ」

「オレも手伝おう。獲物の捜索はやまいぬたちに任せてくれ」


 ザシュニナがやる気になり、コルホが手伝うと宣う。これは放っといてもいい感じ?


「あ、うん、任せるよ。それなら私たちは森の中で果物でも採ってこようか」

「えっ? ああ、まあそれはそれでもいいんだけど」


 リュドミラさんはチラチラとタナウスさんの方を見てる。おそらくは二人きりになりたいとかそんな乙女チックで脳内お花畑な事を考えて居るのだろう。


「タナウスさんとイオタさんも来ます?」

「いや、遠慮しよう。足手まといになりそうだ」

「タナウスさんの護衛してるっす」


 二人の意思が見られたので私は一人で森に入る。リュドミラさん? 当然置いてきたよ。上手くいって欲しいっちゃ欲しいけど、いかないならいかないで良いかな。


 少し森を歩くと果物がそれなりに実っている。私はそれをアイテムボックスに収納していく。高いところについている実も平然と収納出来ていく。


 ただまあ、おそらくは他人の所有権のあるものは奪えたりはしないんだろうなと思う。そういうのはスティールとかそういう技能が必要になってくると思うんだが。……パンツを盗る技能が思い浮かぶのは何故だろう。


 ま、まあ、一通り森を回るとダンボール箱三箱分くらいの実は集まった。一応鑑定は使って食べられるものばかり集めて来たんだけど。いやまあ味については個人の好みの範疇だから知らない。


 戻るとザシュニナさん達も戻ってきていた。獲物はそれなりに多く捕れていた。イノシシやウサギ、鳥や鹿など。よく見るとどれも普通サイズよりは大きい気がする。


 もしかして魔力の影響だろうか? 鵺が居たからこいつらが大きくなってたのかもしれない。ザシュニナさん曰く、この辺りの獲物は食べ応えがあるんだそうな。あー、だからここまで来て狩りをしてたのかな?


 獲物を大量に捕ったのでどう持って帰るかが話し合われたが結論としてはそれなりに食べて残りを担いで帰るという力技だった。いや、運搬方法確保してなかったんかーい。あ、豺に壊された? それはコルホが悪い。


 仕方ないので私のアイテムボックスに入れてやる。みんな私のアイテムボックスに驚いていたけど、「さすが使徒様!」ってリュドミラさんがひれ伏し始めたので追及されることはなかったよ。こればかりは助かったかな。


 それから一週間掛けて……と言いたいところだけど、荷物は私がまとめて持っているのでかなり早いペースで集落に戻ることが出来た。実質五日だったね。


 集落ではゲリュニカさんが出迎えてくれた。既に集落の中央ではキャンプファイヤーみたいな櫓が組まれており、お祭りの用意が出来ているみたいだった。あ、これ、女神様に祀るやつだよね。でも多分不在なんだよなあ。

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