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第二百九話&episode209 報酬

前半と後半で話し手が違います。

 《キュー側》


 好きな能力。急に言われても困るんだけど。多分ティアはアイテムボックス選ぶんじゃないかな? 便利だし。私は……特に困ってはないんだよね。欲しいのはあるけど無ければないでなんとでもなりそうだし。


「なんでもいいんですか?」

「まあなんでもいいですよ」

「魔法使ったりは?」

「ええと、それはキューさんの中に魔臓がないので無理ですね」


 なんだよ、魔臓って! そんなの私の中にはないんだよ!


「あのね、キュー。私たちの身体の中には魔臓っていうのがあってそこから魔力を生み出してんだけど……もしかして、この世界の人全員そういうのないの?」


 ティアが心底分からないという顔をしていた。私はそんな臓器聞いたことももちろん見たこともない。いや、解剖とか数える程しかやったことないんだけど。


「あ、買い物! 買い物したい!」

「買い物、ですか?」


 調和神様がキョトンとした顔をしている。いや、何が困るって今の世界ってあまりお菓子とか無いんだよね。いや、そもそも粗食とかレーションとかそういうのが主食だったからお菓子とか無いんだけど、今の世界で甘いものを食べようとしたらかなり大変なんだよ。というかチョコレート食べたい。


「あのね、コンビニとかいう場所でお菓子とかそういうのが売ってるって聞いたから食べてみたくて」

「ああ、そういうことですか。まあ普通はそういうの買って食べるんでしょうけど。確かキューは……そうでしたね」


 調和神様がちょっと涙ぐんでた。何か悲しいことがあったのかな?


「分かりました。あなたに能力として【コンビニ】を上げましょう」

「コンビニ? 行ったことないけど。どうやって使うんですか?」

「ええとね、まずはアイテムボックスでここにお金を置いといたら欲しいものをタップして」

「なるほど。このパネルで操作するんですね」


 調和神様が教えてくれた通りに操作すると私のアイテムボックスにチョコレートのバーが出現した。私はそれをアイテムボックスから取り出して食べる。甘ァい! 久しぶりにチョコレート食べたよ!


「これだよ、これ! 私が食べたかったの! 前に任務の時にちょっとだけターゲットの机の上に置いてあったのを食べてからまた食べたいって思ってたんだよね!」


 なんか調和神様だけじゃなくてティアと創造神様も涙ぐんでるんだけど。あ、セリオースは涙ぐんでない。ロボットだから、マシンだから? いいえ、ヒューマノイドインターフェースです。


 とりあえず暫くはお金もあるし、なんでも取り寄せて買えるから嬉しいな。あ、調和神様からゴミはアイテムボックスの中にゴミ箱入れてあるからそこに捨ててってさ。まあペットボトルとか明らかにオーバーテクノロジーだもんね。


「さて、次はティアさんね。ティアさんは何がいい?」


 調和神様がティアに微笑みかけた。


 《sideティア》


 調和神様が私に今度は話しかけてきた。キューはなんかアイテムボックスからお菓子を取り出しては食べている。そんなに食べたら太らない?


「いや、まあ私もアイテムボックス欲しいなーとは思ってましたけど、いいんですか?」

「そうですね。アイテムボックスくらいなら大丈夫ですよ。あ、そうそうちゃんとゴミ箱も付けてあげますね」


 調和神様はそういうと私の頭に手を置いた。光が溢れて私の中に何かが生まれた気がした。


「アイテムボックスを意識して出してみて」

「はい、アイテムボックス!」


 私の声に反応して何か空間が歪んだ気がした。ええと、これって大丈夫なの? 私たちの世界に影響ない?


「大丈夫ですよ。これは世界に影響を及ぼすものではないから。まあキューさんのも大丈夫でしたからティアさんのも大丈夫でしょう」


 調和神様って割と適当なのかな? 私はアイテムボックスの中を探った。見事に何も無……あれ? なんかあるよ? ゴミ箱かな?


 取り出してみるとそれはサイズが小さくなったことで有名な某企業のチョコ菓子だった。


「……なんで?」

「あー、ティアが私のお菓子取った!」

「いやいや。待って待って! 別にお菓子奪おうとか思った訳じゃないから!」

「えっ? でもそれ、私が食べようと思ってたやつだもん!」

「ええー、そんな事言われても何か入ってないかって思って探っただけなんだけど」


 他には何も無いのにそのチョコ菓子だけあったから気になって出してみただけなんだけどなあ。そう思いながらキューの方を見る。


「あれ? 私のアイテムボックスの中にまだお菓子あったよ?」


 ふぇ!? も、もしかしたらこれってお菓子のドッペルゲンガー? いや、人じゃないから普通にコピーとかでいいのか。


「あー、どうやらあなたたちだからこそアイテムボックスが繋がったというか変な感じになったみたいね」


 どうやらアイテムボックスに入れたものがお互いのアイテムボックスに複製されるみたい。いや、能力って不思議だね!


「いいんですか、これ?」

「あー。まあ。取り扱いを厳密にしてくれたら問題ないでしょう。あなたたちを信じてるわ」


 私が一番信用できないのは自分自身なんですけど。いや、誘惑にはそんなに弱くないよ? 多分。


「それじゃあ二人を元の世界に戻しましょうね」


 あれ? なんか創造神様と責任の追及についてオハナシしようと思ってたんだけど。


「創造神はこれから()()()忙しくなるでしょうから。まあ詳しいことはそのうち連絡しますね」


 そう言ってそれぞれの世界への扉を開いてくれた。なお、調和神様は元の世界に戻っても良いのよ?とは言ってくれたけど、真っ平御免だ。凪沙やタケルたちとも離れたくないし。


 多分それはキューも同じだろう。同じ笑顔をしてたからね。私たちはそれぞれの扉からそれぞれの世界に舞い戻る事にした。あー、そういえば鵺の死体がそこに残るんだよね。どうしよう。


 ワープアウトしたその場には鵺の死体はなくなっていた。どうやら調和神様が何とかしてくれたらしい。

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