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第二百七話 合流

ティア「はみ出るつもりで撃ったのにあの障壁から魔力が漏れて来ないんだけど!? 何あれ?」

 ヒルダ様のところにテオドールが使えそうな魔剣か何かを取りに行ったらなんか得体の知れないものに巻き込まれて目の前にティアが居ました。何を言ってるのか分からないかも知れませんが私にも何が起こったのか分かりません。


 そんで鉱石無いかって言われたからこないだまで居た鉱山で取れた様々な鉱石を出してあげた。後でゆっくり宝石の原石とか珍しい鉱石とかあるかって鑑定サイコメトリしようと思ってたのになんか色々忙しくてそんな暇なかったよ。


 というか私、家を貰ったはずなのに家放ったらかしで別の大陸に来ちゃってんだけど。思えば遠くへ来たもんだ。


 いや、それよりも元の世界に戻って来ちゃったのは計算外だよ! 聞けば呼び出された原因は女神様ポンコツのペットなんだって。いや、これは女神様に補償してもらうしかないよね!


「えーと、これくらいでいい?」

「十分十分。よしよし、この中から鉄鉱石だけを抜き出して……」

「あ、鉄鉱石だけなら全部使っちゃってもいいよ。むしろ使って」

「ありがとう。でも私にはアイテムボックスとか無いから持ち帰れないんだよね」

「アイテムボックス、便利だよ。ご飯とか温かいまま保存出来るし」

「いやあ、とりあえず出先で食べる場所は沢山あるし、今の居候先の人が食べに来いってうるさいんだよね」

「あー、四季咲のお嬢様みたいな人だっけ。そのうち紹介してよ」

「キューが帰れなかったらね。それよりもゴーレムできたからやるよ!」


 と、私と喋ってたのにいつの間にやらティアがゴーレムを組み上げた。これが魔法使いの実力!? って思ったら魔法と錬金術の融合なんだって。なるほとねえ。


「戦闘システム起動! 立ち上がれ鉄人! 我が命に従いかの者を取り抑えよ! 」


 ガオーとは言わないが鉄で出来た巨人が四体、二体ずつ化け物……ぬえっていうらしいけど、に突進する。


「キョー!」


 鵺は雷撃を纏って防御する。だが鉄の身体に雷撃は効かない。全身が鉄だからそのまま雷撃は地面に流れていっちゃうんだよね。どこかしら生身の身体とかあればそこにダメージが集中するんだろうけど。熱せられたところでゴーレムたちの動きは鈍らない。


「えーと、このままだと私の役目ないんじゃない?」

「いやいやいや! 鉄鉱石出してくれただけで大活躍だよ!」


「キョーキョー!」


 鵺が羽ばたきを始めた。羽根!? あれ? 鵺に羽根なんてあったっけ? 話によっては胴体が鳥の場合もあるって? そんなのは知らない。でも目の前にいる鵺には確かに背中に翼が生えている。今生やしたのか?


「逃がすもんか! 障壁バリア


 飛び立とうとするのを慌てて上空に障壁を張って防ぐ。ゴツンと音がして地面に落ちる。そこに鉄人が群がっていく。


「キュー、私をあそこまで運べたりする?」

「えっ? いやまあ出来るけど何やるの?」

「翼をぶった斬る。鵺の上空にお願い」

「わかった!」


 ティアの剣技とかよく知らないんだけどまあグスタフさんやテオドールレベルということは無いだろう。あいつらバケモンだしなあ。


「金門〈神鋼剣ミカエルソード〉」


 ティアの手に光り輝く剣が出没した。あんな大きさであの大きさの翼を斬れるのかは分からないけどティアがやるって言うなら協力しなきゃね。


「キュー、お願い!」

「おっけー。じゃあ運ぶよ、転移テレポート!」


 私は座標的には鵺の上、真上という訳ではなく羽根が狙える位置ではあるが、そこに転移した。


「ありがとう、どんぴしゃ! 手を放して!」


 その言葉に条件反射的に手を放すとティアが自由落下で落ちていく。地面に激突したら落下ダメージすごいことにならない?


「喰らえ、必殺、征皇斬!」


 征皇斬、意味はわかんないけどなんかかっこいい響きだ。かっこいいだけじゃない。ティアが手に持っている剣が大きくなった。


 斬撃の威力というのは膂力もさることながら、この場合は剣の質量と落下の等加速度運動の数値が重要になってくる。振り手に求められるのは位置決めだ。


「どりゃああああああ!」


 ティアの気合いとともに振り下ろされた剣は鵺の翼の片方をガッツリ切り落とす。こりゃあ私も負けてはいられませんな! 翼は一つじゃない。もう一つあるんだ!


 私も自由落下に身を任せて……あ、でもこのままだとティアとあまり変わんない場所になっちゃう。私は再度転移でもう一つの翼の真上に陣取った。


 私には剣はない。魔法も使えない。だけど硬くて高質量のものなら私にも用意できるよ。


断頭台ギロチン!」


 使うのは障壁。障壁を先を刃物みたいにして、高質量のまま上から落とす。当然ながら狙って出来るものではない。人間に使うにはあまりにも大雑把過ぎるのだ。


 まあ対巨獣なら使えないこともないが、ゴールド級でもない私がそんな任務に駆り出される事なんかないよね。まあという事でここ以外では使い道はないんだけど、相手が満足に動けない今の鵺ならば楽勝だよ!


「キョキョー!?」


 私の断頭台ギロチンは見事に羽根にヒットして、羽根を削ぎ落とした。


「わお、キューやるじゃん」

「ティアには負けてられないからね。ところでトドメはどうする?」

「とりあえず逃げられなく出来る?」

「ああ、うん。やってみるね。箱庭」


 私は鵺の周りを障壁で囲んだ。箱庭というか箱詰めみたいになってるんだよね。上空も塞いでるから。


「よし、ありがとう。じゃあ取っておきを詠唱するから少し離れててね」


 そう言うとティアは呪文の詠唱に入る。後で聞いたんだけど水門の最源流魔法なんだとか。


「静謐なる天よ、清浄なる水の流れよ、凍土となり地を覆いて咲き誇れ。永遠の氷河、常世とこよの闇、地を統べて白夜と化せ。水門〈氷結永久凍土クリスタライズ〉!」


 辺りの気温が下がるのを感じた。寒っ! 見ると鵺が凍りついていた。あー、もしかしてあの障壁の中だけ急激に冷やしたのかな? 怖い怖い。

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