表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

407/420

迷宮(episode203)

ダンジョンアタック!

 ということで我々川〇探検隊は孤島に眠る遺跡にアタックする事になりました。なんという〇曜スペシャル。どうでしょうじゃないよ! サイコロなんか絶対に振らないからね。


「女神様とやらの話では中は明るくなっているということだから明かりはいらないと思うが」

「女神様は嘘なんか言わない!」


 いや、あの女神様は嘘は確かに言わないかもしれないけど、伝え忘れてうっかりすることは何度もあるんだよなあ。というかプラズマテレビって何だよ!


「まあいい。どの道探しに行くのな手がかりなんぞないんだ。中に入ろうじゃないか」


 タナウスさんの意見にみんなが賛同した。とりあえずダンジョンになってるらしい試練の神殿とやらに挑む事にした。まあ中に魔獣やらはいないって話だからあまり気にしなくてもいいのでは?


 そんな事を考えながら遺跡の中に入って行く。確かに中は明るかった。地面はガタガタで歩きにくいんだけどまあそれも誤差の範囲内だ。


 先頭にザコ……どれがAか忘れたので今立ってるのがAということにしよう。そのザコAが警戒しながら進んでいる。その後ろをリュドミラさんと残りのザコが。私たちは三人で纏まって進んで行く。あ、別に前の人たちを信用してないとかじゃなくて、私らが交じると連携が取れなくなってしまうかもしれないからだ。


「前方から何か来ます!」


 警戒していたザコさんからの注意喚起だ。魔獣の類は居ないって女神様(ポンコツ)が言ってなかった? どうせ、ごめーん、うっかりうっかり(てへぺろっ)とか言うんだろ?


 前から来るのは三頭の野犬。まあ野犬と言うにはちょっとサイズが大きいんだけど。


「気を付けろ! (やまいぬ)だ!」


 まあ実際は豺にあたる言葉を言ってるんだろうけど、私には「やまいぬ」としか聞こえない。豺どもは私たちを見つけると獰猛にも襲いかかって来る。あー、いや、あの程度なら平気なんだけどね。


 リュドミラさんと前に展開していたザコたちの対応は素早かった。落ちていた石を拾って三人が投げると、リュドミラさんが突っ込んで行って手に持った刃物で一頭の首を掻っ切った。なんていうのか、ククリ刀? そんなのに似た少し長めの曲刀だ。


 残りの二頭は距離を取りこちらを伺ってる。偵察? 様子見? 観察? どうもしっくり来ない。二頭はそのまま踵を返すと奥の方に消えていった。


「ここに住み着いたのだろうか。まあ雨風は凌げるしな」


 リュドミラさんの言葉になるほどと納得する。まあこの辺りは雨季と乾季があるらしく雨季の雨量はとんでもないものなんだとか。川が逆流したりする?


 病の腹の中をかっ捌いて見る。手足とかそういうものは入ってないみたい。先遣の狩猟班がこいつらにやられたという可能性はなさそうだ。


 さらに先に進む。前の方に下りの階段が見える。本当にダンジョンなんだなとため息をつく。


 下り階段をゆっくりと下りる。ゆっくり下りたのは不意打ち(アンブッシュ)を警戒したからだ。あの犬たちがそこまでするかって? いやいや、昔から犬は人間の友だったわけですよ。ならこのダンジョン内に豺を使って私たちにけしかけた奴らがいるかもしれない。


 階段の下には何もいなかった。考え過ぎかもしれないがこういうのは慎重にやった方がいい。一層注意しながら歩いていくと程なく進んだところにまた下に行く階段があった。


 それを下りていくとまた迷宮。なんか歩かされるだけな感じの単調な時間。まあこういう時がいちばん危ないんだけど。地下三階から四階へと下りている時だった。階段の下に豺の群れが現れた。このまま突っ込んでいけば多少なりと被害が出る。


 私らは一旦上に引き返す事に……と思ったら上の方にも何かが集まってくる。まさかこっちにも豺が? もしかして挟撃されてる!?


 上下共に十五匹ずつな感じで合計三十。いや、正確にはもう少しいるんだけど。奴らは階段で逃げ場のない私たちに距離を詰めながら近寄ってくる。武器を構えてるザコたちやリュドミラさんの顔にも焦りの色が浮かんでいる。イオタはタナウスさんだけでも守ると決心をかためたみたいな顔をしている。やれやれだ。私がやるしかないみたい。


「イオタさん、上はお願いしますね。牽制だけでいいので。他の人も手伝ってあげてください。下は私が片付けます」


 そう言って私は下りていく。途中で上って来ていた豺どもと鉢合わせ。私の顔を見るなり襲いかかって来た。美味そうとかオレサマオマエマルカジリとかそんな事を考えてるのかもしれない。知らんけど。


「木門〈稲光(ライトニング)〉」


 ビカッと大光量が下の階に広がる。豺たちはほぼ残らず床でもがき動いている。犬の目には「タペタム」とかいう反射層があって弱い光を増幅している。強い光が目に当たると光が反射されて増幅されるため、さらに強い光をまともに受けることになり、非常にまぶしく感じるという寸法だ。臭いだけじゃなくて光でも倒せるのだよ。臭いっててもあったけど、私たちにも被害が出ちゃうからね。


 その間に私はみんなを呼んで下の階に下ろす。豺たちは下で光ったものの正体が分からずに警戒しているのか追ってこようとはしない。


「さて、それじゃあ先に進みましょうか」


 私の言葉に文句を言う人間はいなかった。あ、豺は私たちの後ろを一定以上の距離を保ちながらつけてきている。これは明らかに野生の動きではない。誰かが豺を使役(ティム)して使っているのだろう。


 更に下に行く階段がある。ここを下りたら五階。リュドミラさんのお父さんがいるかもしれない階層だ。慎重に階段をおりているとそこは広い部屋のようになっていた。明らかに今までの階層とは違い迷路になっていない。


 その広い部屋の真ん中辺りに何かが転がっている。芋虫? いや、人間かな? 縛られてるみたいで身動きが上手く取れないみたい。


「父上!」


 リュドミラさんが大声を出してそのまま突っ込んだ。あー、あれがお父さんなのか。ならまあ我を忘れてもしかないかなあ。誰だって身内があんな真似されてたら冷静じゃいられない。いやまあ私なら元の世界の家族とかにはそんな感情抱かないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ