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集練(episode167)

MISSION:ハヤト君を鍛えよう

 そんな私たちの訓練の日々に新たな参加者が現れた。ヒアカムズアニューチャレンジャーってやつだ。あ、ス〇ブラみたいに〇〇参戦!!とかの方が良かった?


「四季咲ハヤトだ」

「よろしくお願いします、でしょ?」

「よ、よろしくお願いします……」


 そう、ハヤト君である。トゲトゲしさが抜け切ってないが、諾子さんには逆らえないようで渋々ながら従っている。


「ええと、ハヤト君にはこの訓練に参加してもらって基礎的な能力を鍛えてもらいます。ついでに根性もね」

「ううっ、なんでオレがこんな事……」


 不服そうなのが態度でありありだ。まあ矯正なんてのは一日でできるわけもなく。まあこの段階でのこの態度は仕方ないだろう。


「私たちも頑張ります!」

「よろしくお願いします!」


 なお、メアリー嬢とクロエさんも参加するそうな。まあこっちは護身術らしい。教えるのはガンマさんだから大丈夫だと思う……大丈夫だよね?


 そしてメアリー嬢を心配そうに見守るストーカー……もとい裕也さん。何やってんですか。仕事しなくていいの?


「いや、だって、メアリーが怪我したらどうしたらいいのか……」

「怪我したら治しますから。片腕欠損とかでない限りは大丈夫です」

「なんだって!? 欠損!? 大変だ! 医療チーム呼ばなきゃ! チーム・バチ〇タを呼んで!」


 その人たちは外傷専門ではないのでは? いやまあ医者である以上は何とかできるんだろうけど。


 ハヤトの先生は諾子さんらしい。諾子さんに格闘とか出来るの?ってちょっと疑問だった。


「おりゃあ!」

「甘いわよ」


 ハヤトの攻撃を簡単にいなしてしまう諾子さん。あれはなんかの武道をやってる。いや、舞踏なのかもしれんけど。


「なるほど、やわらですか」


 やわらというのは柔術と何か違うのかと思っていたら柔らかく受け流す技術との事。これこそ本当の柔よく剛を制すってやつかな。


 ちなみにハヤト君はキビキビした動きはしていた。空手でも習ってたのかな?


「ちくしょう、当たらねえ!」

「ふふふ、当たると痛いもの」

「なんでだ! ちくしょう!」


 口よりも身体を動かすべきだと思いながら見てたらハヤト君が尻もちをついた。


「やめだやめだ! こんなのやっても意味がねえよ!」

「あら、ダメよ? ギブアップにはお仕置しないとね」


 そう言って尻もちをついたハヤト君を起き上がらせてその反動で背中から投げ飛ばした。


「ぐえっ」


 ハヤト君は背中から叩き付けられてバタンキューだ。気絶はしてないけど身体は起こせないみたい。諾子さんが投げる時に何かをしたのかもしれない。あれは動けませんねってガンマさんが言ってたもん。


 メアリー嬢とクロエさんは約束組手みたいな決まった動きの型をやっていた。なんというか動きが綺麗だね。ダンスとかそういうのにも繋がるのかもしれない。


「さて、ハヤト君? メアリーちゃんとクロエちゃんは頑張ってるわよ?」

「ちくしょう!」


 言いながら頑張って立ち上がろうとするが身体に力が入らない様で腕をついて身体を起こすことさえも出来ていない。


「諾子さん、その柔は解いてあげた方が」

「あらダメよ。これくらいで起き上がれなくなるようじゃ。昔はヤマトだって起き上がったんだもの」


 ハヤトはヤマトという自分の父親の名前を聞いてやる気が戻ってきた様である。それが父親に対する反抗心なのか、憧憬なのか、見下しなのかは分からない。それでも懸命に身体を起こそうとしている。


「あれ、起き上がれないものなの?」

「身体の各所に十キロの重りを付けたまま動くみたいな感じですね」


 魔法使えば十キロくらいはなんでもないんだけどそういうことじゃないみたい。


 起き上がったハヤトに諾子さんが近付いて背中をポンポンと叩いてやる。ハヤト君の身体のこわばりがなくなったように見えた。


「じゃあ次は組手ね。薔薇連隊ローズレジメントのみんな、頼むわね」

「応!」


 諾子さんの激励に薔薇連隊の人たちが吠えた。ハヤト君は空手の構えをとって迎え撃つ。最初の三人くらいまでは良かった。迎え撃って交わして拳を叩き込む。ハヤト君は調子に乗った。


「こらー、負けた人はしばらく私の護衛から外すわよ?」


 諾子さんがそんな声をかけた。いや、そんなことしたらみんな休みたがって負けちゃうのでは? って思ったらそんなことはなかった。もしかして競争率高いのか?


「ぐぇぇぇぇ」


 ハヤト君は潰れたカエルみたいな声を出した。メアリー嬢とクロエさんには今度は背鬼せきの博美さんがついた。護身用ということで色んな暗器の使い方を説明している。暗殺でもさせるつもり? あー、護身術の範囲なの? 本当に?


 せっかくなので、と裕也さんも訓練に参加してきた。あの、あなたは鷹月歌たかつかで四季咲では無いと思うんですが、そもそもここに居て良いの?


 良いらしい。裕也さんはそこそこ武の方もやってるらしく、空手の型も優美だった。メアリー嬢は目をハートマークにしてたよ。クロエさんも感心してたけど、「あげませんよ!」ってメアリー嬢が言ってるのを笑って眺めていた。


 ちなみに戦闘職の方々からは「見た目だけ」とか「ショーケースに飾る用」とか「ボディビルダーの筋肉みたい」とかそんな事を言っていた。中身がないんだって。揃いも揃って厳しいお言葉。


 まあそんなこんなでブートキャンプらしきものを終えて早々に休むことになった。明日からは遠征とかで四季咲の持つ山林に行くんだって。サバイバル講習でもするつもりなんだろうか?


 翌朝、朝日が昇るか昇らないかぐらいの時間に叩き起された。あと三時間……って言ったのに聞いて貰えなかったよ! メンバーはハヤト君、私、ジョキャニーヤさん、ガンマさん、背鬼の博美さん。博美さんの案内で山道を行くらしい。ハヤト君特訓合宿第二弾が始まったのである! えっ、いつの間に決まったかって? それは私にも分からない。というか私着いてくる必要あったの? 私も諾子さん達とお茶会したい!

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