表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

328/424

個撃(episode164)

ジョキャニーヤさんとガンマさんの戦闘シーンは十八禁の検閲が入りました(嘘です)

 一人のガンマさんを与しやすしと思ったのかフロリマールさんが仕掛ける。まあ足長いもんね。対してガンマさんは身長百三十センチ。リーチの差はいかんともし難い。


 先ずはステッキで牽制をする。ステッキの使い方から見るにフェンシングも嗜んでるのかもしれない。鋭く伸びるステッキがガンマさんを打つ。いや、打たれてない? ガンマさんの手からなんかリボンの様なものが伸びていた。リボンの騎士かな? いや、そっちじゃないわ。新体操のリボンだよ。


 リボンはフロリマールさんの手首に絡みついた。


「ぐっ!?」


 突然の拘束にフロリマールさんが声を上げる。これは力比べになるかな? とか思ってたらガンマさんはリボンを持つ手を放した。引っ張ろうとしたフロリマールさんがぐらついて後ろに退がる。


 ガンマさんの姿が消えるように下に沈み込む。あれ、対面してたら消えた様に見えるんじゃないかな? 多分目で平気で追えてるのジョキャニーヤさんだけ。だってジョキャニーヤさんだけ視線が下に移動してたから。


 あ、私? 私はジョキャニーヤさんの視線が下がったのに気付いてから見てるからタイムラグはあるんだよね。いや、反射神経増強ブーストリフレックスでも事前にかけとけば私だって十分対応出来てるもんね、多分……


「なっ……下!?」


 おっとどうやらフロリマールさんも気が付いたみたいだ。低い姿勢のガンマさんに蹴りを当てようとする。だが、ガンマさんは姿勢を一層低くしながらその蹴りをやり過ごす。


 蹴りを放つ、というのは片足で立つということ。当然ながら両足で大地を踏みしめている時よりもバランスは悪くなる。


 ガンマさんは水面蹴りというのだろうか。フロリマールさんの軸足を刈り取った。そしてそのままフロリマールさんの上に乗り、マウントを取った。


「まだやりますか?」


 先程までペコペコしてた人物は誰なのかと思うくらいに冷たい声。フロリマールさんはもがいて脱出する。まあガンマさんの体重は軽いからりんご六個分くらいかな? いや、そこまで軽くは無いでしょ。キティちゃんかよ!


「まだだ! こうなったら、ロジェロ、マランジ、アタク・デ・トロワだ!」

「おう」

「わかった」


 ロジェロさんはスマートな優男、マランジさんは屈強な男性。まあ見た目からしてロジェロさんがスピードタイプでマランジさんがパワータイプだと思う。フロリマールさんはちせいタイプかな。メガネだし。


 まずロジェロさんが動いた。ガンマさんとの距離を詰めていく。ガンマさんは様子見をしているんだろう。スタイルはボクシングっぽい。ピーカブースタイルで突っ込む。インファイター系のボクシングかな?短い間合いから繰り広げられるパンチをガンマさんは懸命に交わしていた。


 その後ろからマランジさんが突っ込んできた。手は広げて掴むのが主体そうな構えだ。あれだ。八洲のお国芸の一つ、柔道だ。いや、柔術かもしれんけど。


 素早くロジェロさんが飛び退いてマランジさんの手がガンマさんの襟を掴む。そのまま叩き付けるような背負い投げ。ガンマさんの身体が地面で跳ねた。


 そこにフロリマールさんがステッキで滅多打ちにする。ちょっと攻撃が過剰じゃないですかね?


「ふはは、見たか、これぞプランシャール家の団体戦技、アタク・デ・トロワだ! どうだ? 痛いだろう?」


 そう言いながらも叩くのを止めない。腹に据えかねえてたのかな? ジョキャニーヤさんは悠然と見てる。余裕そうな表情だ。私は心配で仕方ないのに。


「ティア、上」

「上?」


 そう言われて上を見たらラバースーツのようなものを身に纏ったガンマさんが浮かんでいた。なにあれ、空中浮遊? いや、違う。糸が張ってあるんだ、あれ。凄いって呟いたら、ジョキャニーヤさんが私だって同じことできるもん!って拗ねちゃった。


「追い討ちを感情剥き出しでやってはいけません。不合格です」


 ガンマさんが飛び降りる。そしてフロリマールさんの上に落ちてそのまま首筋に何かを叩き込む。


「なっ!?」

「上からだと!?」


 ガンマさんはそのままロジェロさんのところに行くと下からピーカブーの構えを蹴り上げて両肘にそれがヒット。腕をバンザイの形に上げる事になった。


「蹴りもあるのにピーカブーは脳死ですね。不合格です」


 そのまま蹴り上げた足を軸にくるりと回って顎先を掠めるような蹴り。膝からガクンと落ちた。


「他人事みたいに突っ立てたらダメです。常在戦場を心掛けてください。不合格です」


 ガンマさんはマランジさんに接近してするすると身体を登ると、細い腕を首筋に回してそのまま絞め落とした。二秒でマランジさんは沈む。


「ふう、こんなものでしょうか。まあ基本は出来てるみたいですからそれなりにはなりますかね」


 やれやれという感じでガンマさんが笑う。ほえー、やっぱ強いや。って思ったら私の隣にワクワクしてる人が居るんだよ。ハチャメチャでも押し寄せてきてんのかってくらいの。


「次は、私と、やろう!」

「あはは、正直な話、ジョキャニーヤさんは御免蒙りたいんですけどね。やらなきゃダメですか?」

「やろう?」


 キラキラした目で見つめるジョキャニーヤさん。あーこれは断れないやつだ。まあ私なら断るけど。


「仕方ないですね。軽くならいいですよ。今から五分間だけ。その後はお風呂に入ってご飯ですから」

「わかった!」


 と二人して同意したので模擬戦へ。それで二人がどうなったかというと……私が全力で水門の治癒魔法を使わざるを得ない状態になりましたとさ。


 ジョキャニーヤさんは関節が両腕とも外されて、左腕に至っては骨折までしていました。頭から出血してて地面がすごいことに。まあ私の魔法でも血は戻らないんで食べて戻してください。


 ガンマさんの方も切り刻まれてるみたいな感じ。よく見たら左手の薬指と小指が切断されていた。ちゃんと洗ってくっつけたから事なきを得てるけど、下手したら戻らなかったよ。


 もちろん私は二人を正座させて叱りました。二人ともイタズラがバレた時の小学生みたいに楽しそうに笑ってましたが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ