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第百四十八話 帰山

ケロッズ夫人のファミリーネーム考えてなかった(笑)

コーンフロスティ家にしとこうかな?

 ペペルさんが倒れたので起こさないといけない。眠り姫や白雪姫の昔から、気付けには王子様のチッスが必要なんだよね。王宮行って王子様呼んでくる?


 えっ、私がキスすれば良いって? いやいや、ペペルさんにそこまで嫌悪感は無いけどキスはしたくないよ。まあミリアム様くらいならいいかなとか思ったりするからやっぱり王女様はすごいと思う。


 とか考えてたらミリアムさんがベッドに横たわって唇を突き出している。いや、チッスはしないからね?


 とりあえずペペルさんは弱い衝撃を送って起こそう。単純にそれでいいよ。念動サイコキネシスのちょっとした応用だ。チャージなどさせるものか。


「ううーん、なんか今、聖母様の幻を見たような……」


 一体いつからミリアムさんがそこにいると錯覚していた? いや、実際に居るから錯覚もクソもないんですけど。


「まあまあペペルさん。話せば長くなりますのでゆっくり話しますね」

「刺激は少なめでお願いします」


 刺激少なめと言われたので、王族の皆さんの心中にはあまり触れずに王宮に忍び込んで勝手にミリアムさんの呪いを力技で解いたという事を説明したらそこまでの説明でひっくり返られた。


「王宮に忍び込んだってどうやって?」

「ほら、そこは転移テレポートがあるから」

「聖母様の病気が呪いだったというのは?」

「触ったらわかったから」

「その、呪いを解呪したのではなく力技で解いたというのは?」

「内臓になんか刻まれてたから刻まれてたのを修復したら解けた」


 最終的にはこめかみを自分でぐりぐりしながら黙ってしまった。いやでも実際にここにミリアムさんいるんだから現実を認めようよ。


「あ、ペペルさん、そういえば奴隷解放の為のお墨付きを国王陛下から貰ってきたんで」

「なんですって! 陛下に謁見出来たのですか?」

「あー、うん。ミリアムさん助けたら呼ばれたから。わざわざ王都まで付き合ってもらったのにごめんなさい」

「ああ、いや、いいんですよ。私としても珍しい薬草などを手に入れられましたから。で、鉱山に戻るんですか?」


 ペペルさんは気にしなくて良いと言ってくれた。いい人だ。で、鉱山に戻るのかと聞かれたのでそのつもりだと答えた。


「ふむ、それだと大量の被害者たちを運ばねばなりませんな。それでは私は一足先に商都で馬車を手配しておきましょう」


 あー、まあ奴隷全員連れて転移は力技過ぎるし、何より大騒ぎになるからね。円満に連れて帰りたい。ということで商都にペペルさんを連れて帰ってから鉱山に向かうことになった。


 商都にミリアムさんたちを置いていく案も考えたが、私だけだと書類に説得力持たせられないからね。ミリアムさんが居れば説得力も出ようもん。


 鉱山に戻った。まあ街に入るのにペペルさんの用意した馬車を使って乗り入れたんだけど、門番さんはミリアムさんの顔を知らなかった。まあペペルさんの信用状があったから事なきを得たんだけど。


「あ、おそーい。何やって……えっ?」


 屋敷に戻ったらアーナさんが待ってた。そういやこの人もいたなあ。なお、アーナさんはミリアムさんを知っていたみたいで、弾けるように流れるように平伏の体勢に移行したよ。


「ど、どうして、王女殿下がここに?」


 そんな事言われたから王宮で起こっていた事をかいつまんで教えてあげた。まず、ギャリッカさんに怒ってたよ。というかギャリッカさんと知り合いなんですね。まあ冒険者ギルド同士だから知らない方がおかしいのかな? それから第一王子と第二王子の事は王党派と貴族派ということで知っていたみたい。


「あのさ、その状況を聞くにこの国が危ないんだけど?」


 そんな事言われても私にはあまり関係ないし。とりあえずミリアムさんの安全は守られそうだからいいかなって。


「私は、仕事、増えそうだな……やだなあ」


 まあ今の国王陛下が頑張ってるうちは大丈夫じゃないかな? 倒れたら割とヤバめだけど。


「それよりも、奴隷を解放して連れて帰るんでしょ? 貴族の鉱区に行かなきゃ」


 そうして私たちは貴族の鉱区に赴いた。正面から行っても話は聞いてもらえるか分からないので、改めて忍び込む。ミリアムさんはワクワクしてるみたい。


 事務所ではエイリークさんが帳簿とにらめっこをしていた。彼は私たちに気付いたものの、そのまま帳簿に目を戻す。


「あれ? エイリークさん?」

「邪魔しないでください。杜撰な貴族たちの粉飾決算をどうやってまともに見せるか苦労してるんです。……おや、そちらのお二人は?」


 そこまで言ってミリアムさんとザラさんに気付いたらしい。ちなみに喋ってるのは東大陸語であるので、私しか分からない。


「こっちの二人はこの国のお姫様とその忠実なメイドさん」


 エイリークさんの顔が引き攣った。


「だ、ダメですよ、こんな綺麗な人を連れ込んだと分かったらお仕置されます!」


 いや、ちょっと待て。それなら私やアーナさんは良かったのか? 不美人で悪かったな! あ、私たちはすぐに逃げられそうだから構わないって? そうですか。


「騒がしいね、終わったのかい、エイリーク!」


 バタン、と扉が開いて潰れたカエルみたいなおばさん、ケロッズ夫人が再登場した。私は転移する間もなく見つかってしまったのだった。


「エ、エ、エ、エイリーク! お前、お前、私が、目をかけてやってんのに、どこから、どこからこんな女を調達してきやがった!?」


 どうやら目の前にいるのが王女様だとは理解してないみたい。


「あなたがここの鉱区の責任者かしら?」

「ああん? なんだい小娘が! エイリークは渡さないよ! なんならお前をここの奴隷たちに引き渡してやろうか。女に飢えてるからね。存分に楽しめるんじゃないかねえ。何人くらいもつのか楽しみだよ!」


 ケロッズ夫人は好き放題言っている。


「ケロッズ夫人でしたか。どこの家だか分かりませんが貴族の奥方ならばもっと社交に顔を出した方がいいのでは?」

「アタシはね、社交界のなよなよした男どもよりも知性と肉体を併せ持った男がいいんだよ。その点エイリークは悪くなかった。でも、アタシを裏切るんじゃあ生かしておけないね!」

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