表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

290/425

銭湯(episode145)

作者としてはいつからにしようかと思ってたら延び延びになった次第です。忘れてた訳じゃないんだからねっ!

 戦い終わって……いや、終わったの! 私はもう戦わないからね! 戦い終わってやることはと言えば、そう、お風呂だね。やたらと入浴シーンが多いって話もあるけど、お風呂は気持ちいいから仕方ないよね。


 ジョキャニーヤさんと美鶴さんが風呂場に駆け出して行って飛び込む。ちなみに場所は銭湯です。戦闘の後は銭湯ってどうなん? 他に客もいないから少々の狼藉は許されてるとはいえ、さすがにこれには番台に居たおばあちゃんがカンカンに怒って二人を正座させてた。二人ともちゃんと正座して反省してたよ。


 胡蝶さんも友子さんもあまり銭湯には来ないらしく珍しそうにしていたが抵抗感はないみたい。それよりも諾子さんと一緒のお風呂に入れると歓喜していた。


「諾子様、お背中流させてください」

「ずるいです、胡蝶様。私も諾子様のお背中お流ししたいです!」


 まがりなりにも八家のトップ近くに君臨してる女傑二人が諾子さんの背中を流す権利を取り合ってるってのもシュールな絵だ。


 紗霧さんは恥ずかしそうにしながら身体を隠して風呂場に入ってきた。本人曰く、集団でお風呂に入るなどとしたことが殆ど無いのだという。修学旅行とかどうしたのかと言えば、みんなが上がった後にこっそりと入っていたそうな。主にみんなの入浴時間は覗き対策やってたみたい。世の中には覗きに全てをかける求道者バカが居るんだってさ。


 ラティーファさんもメアリー嬢も銭湯が珍しいらしく、見るもの全てに驚いていた。ラティーファさんは身体を洗ってくれる人が居ないのかしら? とか言ってたけど、私を見ながら言ってたから多分冗談だ。


 メアリー嬢は日頃バスの中で身体を洗うみたいな文化だったらしく、銭湯の湯船を見て、どこで身体を洗っていいのか迷っていた。なお、その問題は諾子さんの背中を流していた二人の淑女を見た事で解決していた。


 私? 私は銭湯なんて慣れたものだから適当に身体洗って湯船に浸かってるよ。というか肩こりに効くんだよね、銭湯って。胸も重くならないし。


「ティアちゃん」


 身体を洗われた諾子さんが私の隣に入ってくる。とても私よりも年長の子どもがいるとは思えない肌のツヤハリと均整のとれたプロポーションだ。年齢不詳だよね。


「これからどうするの?」

「どうする、と言われましても。特にやることないんですけど。あ、パチンコ屋は続けますよ」


 そういえばしばらく出勤してなかったからなあ。まだ在籍してるはずなんだけど。というか今住んでる場所もパチンコ屋の従業員の寮みたいなところなんだよね。


「うーん、私はね、パチンコ屋はそろそろ辞めた方がいいと思うの」


 諾子さんがそんな事を言ってきた。というのも理由がいくつかある。まず一つは私の情報。ナジュドの王太子の第四夫人候補になってた事で私の基本的な情報が各国に知れ渡っているそう。つまり、それなりの地位以上の人間の間では私は有名人なんだと。


 第二に私の戦闘力の問題。パチンコ屋というのは割と短気な人間が集まってたりする。社会的落伍者も多い。まあ趣味でパチンコを楽しんでる人ももちろん多く居るが、ギャンブル好きなパチカスと呼ばれる人種は手に負えない。まあ私もそれで警察のお世話になったから否定はできない。


 で、そうなった時に手加減が出来るかどうかという問題である。正直、諾子さんがあの私の〈氷結永久凍土クリスタライズ〉を見たあとだと危険視するのは無理もないことだと思う。


 第三に裕也さんの事情だ。まがりなりにも鷹月歌たかつかのトップがメアリー嬢以外に興味を示したのは初めてということで、こちらは主に八家のエージェントから次々と情報を求められている。なお、紗霧さんのいる楓魔ふうまが一番情報を握っている。まあ紗霧さんになら割と話すしね。


 そんな訳でパチンコ屋に各国のエージェント、そして八洲八家のエージェントが張り付く事態になるそうな。そうすると、そこにパチカスが絡んで来たら。まあパチンコ屋が最悪半壊するわな。私としてはそんな形でオーナーに泥をかけたくない。


「当面の生活費は裕也君の報酬で何とかなるでしょうから、何か商売始めてみない? なんだったら四季咲うちからお金出させるから」


 商売か。まあ確かに私には錬金術があるからそれは考えなくもなかった。というか魔力鍛えてポーションの瓶作りしようって話だったはずなんだけど誰も覚えてないよね?


 という訳でそういう魔法薬を作って売り出そうかと思ってるというと考え込まれた。ええ? ダメなの? ダメらしい。というかそんなものを作られたらそれこそ私の争奪戦が始まるそうだ。そういえばこの国にはというかこの世界には魔法薬なんてないもんね。


 それでもまあ、限られた人に販売するならって話でやればいいよね。毛生え薬の時みたいに。……そういえばアンブロジアがそろそろいい具合に育成される頃じゃないかな? 何か作るって考えてたような……


「ところでティアちゃん? 前に話していたお腹の調子を良くするお薬の事なんだけど」


 あ、諾子さんの目が血走ってる。我々はこの女性を知っている。いや、この眼差しと顔のキズ……は無いので微笑み方を知っている! そりゃあそうだ諾子さんだもん。いや、そういうんじゃなくて既視感というやつだ。確かダイエット薬の時に。


 そこまで考えて私はハッとした。そういえばあれから雪山行って豪華客船乗ってナジュド行って帰ってきてだからそっち方面何も活動してなかったよ。アンブロジアの育成とか放ったらかしだからどうなってるのか見るのが怖い。いや、雪山から戻ったらやるつもりだったんだよ?


「ティアちゃん、次の目標、出来たみたいね」

「……はい」


 私は諾子さんに対して静かに頷くしか無かった。だって裸のままだったから逃げられなかったんだもん! ちなみに胡蝶さんも興味を持ったらしくアンブロジアを見てみたいんだと。賢介さんのところに行けば見れると思うんだけどそっちには行きたくないらしい。まあ分からんでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ