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雌雄(episode144)

バトル的には美鶴さんとジョキャニーヤさんはほぼ頂点です。ガンマさんはなんでもありなら二人相手ても戦えます。間合いが空いてればティアの一強ですけど。

 美鶴さんが魔法解いた後も寒そうにしてたので発火で焚き火を作ってあげた。まあ手から火が出た時も驚いてたけど。


「はーい、じゃあ説明するわね。あのね、ティアちゃんは魔法使いなの。魔法の国からやってとてもチャームな女の子よ!」


 意味がわかりません。魅了チャームの魔法はあまり得意じゃないし。いや、できないことはないけど効きが悪いというか。待てよ? 今の女神の加護が付いてる状態なら効きも良くなってるのかな?


「魔法、ふふっ、ふふふ、そっか、そうなんだ。面白い、面白いね、ティア!」


 ジョキャニーヤさんがうずうずしている。いや、そんなに熱い目で見られても戦闘りませんよ?


「そうッスか、魔法っスか。そりゃあ鬼の末裔すえが居るんだから魔法だってありますもんね。納得っス!」


 美鶴さんは身体が温まったからか、酒が抜けたからか、低姿勢に戻っている。いや、あっちの美鶴さんも嫌いじゃないけど。


「忍びの技にも火遁や土遁、水遁などはあるが。魔法のようにやるものでは無いしな」


 紗霧さんが何やら悔しそうに言う。ちなみに火遁は火を放ってその火と煙に紛れて逃げるやり方、土遁は穴を掘って隠れて追っ手をやり過ごす、土を身体に付けて臭いを消すなどで逃げるやり方、水遁は池や川に潜って追っ手をやり過ごしたり、臭いを追跡出来ないように逃げるやり方なんだとか。逃げるばっかりですね。


「そもそも、直接戦うのが忍者ではありません。忍者は不意打ち、奇襲、罠などで戦うのです」


 あとは情報撹乱工作などが得意なんだとか。いわゆる流言蜚語というやつだ。私はそういうの苦手。いや、貴族子女だからその辺の権謀術数は一通りやれるけど性格的に合わないんだよね。


「まあ、便利そうですね」


 この中で得意そうな方筆頭である小国の正妻たるラティーファ様はとても楽しそうだ。次に得意そうなのは胡蝶さんかな? いや、胡蝶さんの方が得意かも。まあ紗霧さんブースト入れて、だけど。


 一番苦手そうなのは友子さんかな。美鶴さんの特性的にも不慣れそうだし。あ、友子さんが笑ってる。もしかして考え読まれた? 読心術なの? 私が使えそうなのは独身術だよ! 求む、マッチョなダーリン!


 いや、メアリー嬢も苦手そうなんだけど、まがりなりにも鷹月歌たかつかの伴侶だし、パラソルグループのお嬢様だからね。それなりに根回しとかの社交は上手そうだ。


 諾子さん? 別格だよ別格。なんでアリの大きさ比べてんのにゾウを比較対象にしようと思うわけ?


 それから請われたので私の魔法について説明した。魔法の基本は五行。木火土金水だ。これが相生と相剋で関係が出来ていく。もちろん、空間とか時間とか五行に属さないと言われるものもあるが、だいたいは五行の範囲内だ。


 まあここにジョキャニーヤさんとの戦闘で使った八門遁甲まで含めるとなんか物凄い複雑になる。私だってあまり使いたくない。時間と方角を細かく計算しながら戦ってられるか!


「ティア、戦闘ろう?」


 ジョキャニーヤさんがワクワクしながらこっちを見てる。あー、まあジョキャニーヤさんは一応私の全力戦闘から八門遁甲まで経験してるもんなあ。


「まあまあ待ってくださいっス。それならあたいの方が先客じゃないっスか?」


 美鶴さんが名乗りを上げた。いや、さっきやりましたよね? もう良くない? 再戦とかしても仕方ないよ?


「負けっぱなしってのは性にあわなくて。さあ、第二ラウンドっスよ!」

「邪魔しないで?」

「何言ってんのかわかんないっスよ。八洲語で話して欲しいっス」


 ジョキャニーヤさんが美鶴さんに牽制する。美鶴さんはそれを弾きながら答える。二人の間には一触即発の空気が流れた。


「はーい、それじゃあ第二試合はジョキャニーヤちゃんと美鶴ちゃんね。美鶴ちゃんは連戦だけど大丈夫?」

「身体も温まったし、問題ねえっス!」

「それじゃあ、よーい、スタート……って言ったら始めるのよ〜」


 諾子さんのフェイントに今度は二人とも引っかからなかった。諾子さんが始めの号令を掛けても二人とも動かなかった。相手の隙を狙ってる?


「飲みなよ」


 ジョキャニーヤさんはそう言って拳を口許に持っていき、あおるような素振りをした。唇に火の酒? ハンパなワインより酔える酒なのかは分からないが美鶴さんはひょうたんを呷った。


「一日に二回もこうなるとはねぇ。手加減は出来ねえぞ?」

「ころさないようにてかげんする」


 たどたどしい八洲語でジョキャニーヤさんが言った。メアリー嬢のボディガードとして必要になる言葉だから頑張って覚えたんだと。


「頼もしいじゃないの。行くぜ!」


 美鶴さんが地面を蹴った。ジョキャニーヤさんも地面を蹴る。闘場の中央で火花が散った。美鶴さんが持つのは鉄の棒。いや、鉄杖と言った方がいいかもしれない。いつの間に持ってたんだろうか。懐に隠し持ってた? ジョキャニーヤさんが持つのは手甲剣パタだ。まあ攻撃が突きがメインになるというデメリットはあるが、ジョキャニーヤさんの速度があれば関係ない。


 ちなみに前進速度は美鶴さんが圧倒的に速いが、横などを含めた全体の動きはジョキャニーヤさんが圧倒している。というかあれが生身で見えるってのはどうなの? 私は無理だよ。反射神経増強使ってやっとだもん。


 それから何合か打ち合って、ヘトヘトになりながら双方が倒れた。まあ若干早く美鶴さんが倒れたんだけど。ジョキャニーヤさんの弱点はスタミナのなさ。いや常人よりはあるんだけど美鶴さん程じゃあない。そもそも人外だし。


「紗霧さんもやってみます?」

「私をあんな戦闘狂バトルジャンキーたちと一緒にしないでください」

「ところでガンマさんなら彼女たちに勝てますかね?」

「なんでもあり、なら。正面から戦っては例え彼女と言えど難しいでしょう」


 あの巨大生物との戦いは不得手分野だったってことか。まあそりゃあそうだ。最初は私たちの護衛、それも鉱山街の住人から護るみたいな感じだったもんね。

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