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第百三十一話 地図

エウロシアはその内出るかもです。

 やつらを捕まえた後に私とアーナさんは河岸を変えて飲み直した。あ、いや、私はどっちかと言うと食べるほうだったけど。まあ余ったらアイテムボックスの中にでもしまっときゃ良いしね。


 アーナさんは絡み酒だった。後輩のギルド嬢が次々と寿退職していく中で、私には声すら掛からない。たまにいい男がいるなって思っても頭はパープリンなのに若くて可愛い方に行く。下手すると貢いでいた男にまで二股とか三股とか掛けられたりする。まあそのバカはくびって死ぬ一歩手前まで追い詰めたらしいけど。


 気付けば三十手前。いわゆるクリスマスケーキの投げ売りみたいな時期。いや、こっちの世界にクリスマスは無さそうだけど。童顔だから私と同い歳、もしくは年下って言われても納得出来ちゃう感じではある。ミニマムグラマーな体型だから人気はありそうなんだけど。


 その後、アーナさんは千鳥足ながらも自宅へ帰って行った。私も宿に戻る。お酒は飲んでないから二日酔いとかの心配はしなくていい。私もお酒飲んだ方がいいかな? 今度試してみようか。


 翌朝、朝ご飯の時間に起きては見たものの、そこまで空腹ではなくて、軽く食べられるスープだけいただいた。山菜のスープで身体に優しい。


 明日は鉱山行きだから今日は買い物を色々しようと決めた。まあ食料とかは保存食買わなくても料理を丸ごとアイテムボックスに入れておけば問題ないし。


 鉱山に向かうので何が必要かというと、やはり調味料、塩だろう。いや、岩塩とかあるんじゃないかって? この辺りの塩は塩湖と呼ばれる湖から取れるらしいよ。後は海辺の方の街。マリナーズフォートなんかも塩を輸出してるんだってさ。


 私は岩塩の欠片をいくつか買って、更に普通の塩を二袋程購入。まあ向こうで料理するかは別だけど、持っといて不思議はないよね。


 ついでに鍋なども買っておく。料理は習うより慣れろだ。頑張って練習していればいつかは美味しいご飯ができるに違いない。ないよね?


 それから服だ。私のじゃない。迎えに行く相手である、エイリークさんをはじめとしたオッサンどもである。まあ別にパンイチで居させてもいいんだけど、ほら、うら若き乙女である私には似合わないでしょ?


 男性の服のサイズとか知らないので大きめのシーツとかその辺を大量に買っておいた。まあ万が一使わなくても私のお屋敷のベッドにでも使えばいいよね。


 冒険者ギルドに寄ると昨日の晩のルレットとかミランダとかの賞金も合わせて用意されていた。アーナさんの顔がニコニコと輝いている。あんなに飲んだのに二日酔いとかにはなってないみたいだ。


 私はアーナさんに「謝礼」という名目でお金を渡そうとした。カウンターでは断られた。こういうのは賄賂に当たるらしく職務規定違反なんだってさ。


 お金を押し返しながら、今日のギルド業務が終わったあとに宿に来るらしい。あー、まあ、私も明日が早いからそれなりに早く寝るつもりではあるけど。


 冒険者ギルドを出てからは適当に街をぶらつく。特に目的地は無いが、大きな図書館があったので入ってみる。入口で止められた。えっ、図書館入るのに金取るの? マジかー。


 広さはそこそこ。まあ八洲の市立図書館よりか小さい程度だ。まあ蔵書量の違いとかだろう。本棚も疎らだし。その代わりに読書の為のスペースは多めに取られてある。持ち出さずにここで見るのが主流みたいだ。借りれないのかなって聞いてみたけど、そういう貸し出しは余程の貴族でない限りはしてないらしい。身分制度、以前に本が高価なので転売対策というやつだろう。


 転売ヤー滅ぶべし、慈悲は無い。まあ、私はアイテムボックスあるし、転移もあるから持ち出したい放題だと思うけど、さすがに倫理に悖るからやめとこう。


 私が見たかったのは地図である。この辺りの、そしてこの世界の地図。いや、世界地図はあるのか分からないけど、この国と周辺地域の地図ならありそうかなって。


 まず、この大陸。中央大陸と名前がついているけど、本当に世界の中央にあるのかは定かではない。元の私がいたところも自分の大陸では中央大陸って名乗ってるかもしれないしね。地図の中央にあるから間違いないって? いや、作った地域を中央に置くのが地図の作り方だよ。


 周辺地域の地図。マリナーズフォートと商都マッカ。間の道のりは地図上ではそこまで離れていない。鉱山は、内陸部に入っていくみたい。ちょうどそっち方面に山脈が聳えている。その山脈の向こうは州東国というらしい。ここは州西国? いや、ゼピュロシアス王国という国らしい。ということは州東国はエウロシアとかいうのかもしれない。


 王都は鉱山とは逆方向に商都から向かった方で、海に近くなるらしい。マリナーズフォートから船便が王都に出てるらしい。


 なるほと。あの村からどうやって王都まで行くのかと思ったら船旅なのか。そりゃあ宿屋の夫婦も遠慮するよね。あの二人はきっとマリナーズフォートから王都に向かうんだろう。


 いや、私は鉱山に行くのが目的だからこっちルートだっただけだよ。まあでも余裕があるならそのうち王都観光でもしてみてもいいかなって思う。


 ちなみに、王都の向こう側にも国は色々あるらしく、大きな川を渡った先で川が三本にわかれ、その先で三つの国が出来ているらしい。真ん中の国が農業の盛んな国なんだとか。山脈寄りの天然の要害みたいな場所に聖地と呼ばれる場所があるらしい。かつて、女神様が降臨したとか……まさか、あの創造神ポンコツか?


 まあ、とりあえずは明日の鉱山行きだけ頭に入れとけばいい。そんなこんなで図書館を出る。出る時に身体検査されて、本を持ち出してないか確認されるんだけど、男の触り方がいやらしい。お尻を何度も触られた。憎しみで人が殺せたら。あ、胸元にはそこまで触られなかったよ。


 宿に戻ったら食堂にアーナさんがいた。いつから居たのか。アーナさんに謝礼金を渡して部屋に引っ込もうとしたらこの金で飲もうって引きずり込まれた。いや、私はお酒飲まないってば! はいはい、かんぱーい。乾杯だけね。

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