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園々(episode130)

ちなみにモデルは実家の市にある某遊園地&動物園です。

 そのまま夜は更けて、朝である。夜中になにかなかったのかって? なかったよ、何も。あー、まあ、凪沙と同じ部屋でおしゃべりはしてたけど。私が居ない間に随分と関係が進んだみたいねって言ったら、最後の一線はまだ越えてないって言われた。どうすればいいのかって言われても私も未経験なんだから分かるわけないでしょ!


 翌日、朝食の席で今後の予定を確認。裕也さんは溜まってる仕事があるとかでしばらく会議と書類仕事らしい。メアリー嬢は……そんな裕也さんを見ていたいんです。妻として!みたいに言ってた。まあそれはそれでいいか。


 タケルも凪沙も私を迎えに来ただけなのでそのまま帰ることにするらしい。私も一緒に帰ろうかなって思ったけど、メアリー嬢を置いて帰るのも気が引けるからちょっと滞在させてもらう事に。アンネマリーさんはメアリー嬢の通訳だし、ガンマさんはジョキャニーヤさんと一緒にボディガードだから残留。


「ティア、少し頼まれてくれないか?」

「私ですか?」

「そう。ラティーファさんとメアリーを連れて遊びに行ってくれないか?」


 子守り、では無いな、接待を頼まれた。ラティーファさんとか国賓だもんね。まあお忍びだけど。メアリー嬢も国賓待遇だと思うんだ。パラソルグループだからね。


「メアリー嬢は裕也さんの仕事を見るのでは?」

「見せたくない仕事が待ってるんだよ」


 どうやらあまり面白くなさそうな仕事である。それならまあ仕方ないか。メアリー嬢はまだ知らなくてもいい世界なんだろう。


「わかった。じゃあ、まあ、資金は貰えるなら大丈夫だよ」


 そう言ったら懐から真っ黒なカードを一枚出して来た。これは、まさか、大人のカード?


「好きに使ってくれ。ああ、カードが使えないところの為に百万は用意しておく」


 カードが使えない場所って駄菓子屋とかゲーセンとか? まあ行かないだろうけど。


「わかった。じゃあ預かっとく。領収書は貰った方がいい?」

「要らないよ。ぼくのポケットマネーだからね」


 百万がポケットマネー出てくるのもどうかと思うけど、問題はなさそうだからいいか。さてと、じゃあメアリー嬢をどうやって連れ出すかなんだけど。


「メアリー」

「なんですか、ティアお姉様」

「あー、うん、ちょっとお仕事をお願いしたいんだけど」

「ええっ、でも、私、裕也さんの仕事してる姿を見てみたくて」


 あー、やっぱりなあ。メアリー嬢は裕也さんを眺めていたいんだろうなあ。わかる、わかるよ。私には特定の相手は居ないけど分かるよ。


「実はね、ラティーファさんの案内をしないといけないんだけど、メアリー嬢にもついてきて欲しいんだよね」

「ええ、でも、私」

鷹月歌たかつかのトップのファーストレディとして外交を受け持つのも立派な裕也さんの手伝いに」

「やります! 私、やりますわ! 鷹月歌の、裕也さんの伴侶としてやり遂げてみせますわ!」


 やる気が漲ってる様で何より。とりあえずラティーファさん、アンネマリーさん、ジョキャニーヤさんが一緒に来る事に。ガンマさんはお屋敷で寝てるって。いや、そんなにダラダラしてて大丈夫?


 アンネマリーさんの運転で街へと出発。運転免許持ってるのがアンネマリーさんしかいなかっただけなんだけど。まあ困るのはアンネマリーさんがお酒飲めなくなるだけなので問題ない。まあ私なら運転の仕方位はわかると思うけど、免許がないからね。


 そして、ラティーファさんが来たいと言ったのが遊園地である。あ、世界的に有名なネズミのところじゃないよ。映画の世界のところでもない。動物園と遊園地が一体化したような場所なんだよね。


 駐車場は割とガラガラ。まあ平日の昼間の遊園地だなんてこんなものだ。入場料も割安内容だった。一日フリーパスでも一万いかないくらい。


 まずは動物園の方。ここでは白鳥が有名なんだそうで、中にはペリカンもいる。名前はコルカタ君というそうな。名前がついてるんだ。と思ったらなんか映画まで作られてるらしい。園内で上映されていた。コルカタ君はともかく、花咲かじいさんと一休さんが出てきて、かぐや姫の祈りで合体して火の鳥になるってどんなストーリーだよ! なんだよ、暗黒魔王って!


 ツッコミどころが多かったけど、もう一個のバージョンの砂漠まで行ってペリカンが融合合体して翼で戦車をなぎ倒し、口からビーム吐いて、突進で兵士を蹴散らすって荒唐無稽さに比べたら、比べたら……いや、どっちもどっちか。


 ラティーファさんもメアリー嬢もポカーンとなってたけど、最後には拍手喝采していた。メアリー嬢はぬいぐるみまで買ってしまったよ。


 何故か猿の種類がやたら多かった動物園を抜けると、遊園地エリアだ。大きな観覧車が目印となってるのでとても見やすい。ラティーファさんがコーヒーカップを見つけたのでメアリー嬢と一緒に乗ってもらった。一応念の為にアンネマリーさんも一緒だ。


 ジョキャニーヤさんと私だと調子に乗って回し過ぎるかもしれないからね!思った通り、三人ではあまり早くは回らなかったようで、適度な速度で楽しんでいた。


 次にメインとも呼べる観覧車。いや、ウォーターコースターとかジェットコースターとかスピードカートなんかもあるんだけど、メアリー嬢はあまり速いのは好まないみたいなので。あー、わかる。早い男は嫌われるよね。よく分からないけど。


 メアリー嬢は観覧車にラティーファさんと乗るようだ。私は一つ後ろの奴から乗る。特に二人とも高所恐怖症とかどはないみたいなので今頃は眺めを楽しんで……


 ガタン


 おっと? 揺れたな。あ、おっぱいじゃなくて地震みたいな。でも一瞬だけだったな。あれ、もしかして観覧車動いてない? 閉じ込められたってやつかな?


 私は扉を開けて外の様子を伺う。確かに動いてない。こういう時は慌てず騒がず、大人しくしていたら運転が再開するから気長に……ん? なんか登ってこようとする奴がいるな。いかにも怪しいヤツだ。もしかしてメアリー嬢かラティーファさんを狙ってる?

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