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会浴(episode129)

またお風呂か

 お腹がいっぱいになったら次にするのは何か? それはお風呂だ。なんかやたらとお風呂のシーンが出てくるなあとか言ってはいけない。きっとキューのいる私の元の世界の方ではお風呂なんて贅沢、あまり出来てないに違いないんだから。この八洲に生きるものとしてお風呂はマストアイテムなのですよ。


 女性陣みんなでお風呂に入ろう、という事で大欲情……いや、大浴場に向かう。裕也さん個人のお風呂もあるらしいけど、そっちは二人ぐらいしか入れないんだって。裕也さんはタケルと入りに行ったよ。裕也さんはメアリー嬢と入りたがってたけど、メアリー嬢が嫁入り前だから恥ずかしいって。いやまあ、そりゃあそうか。


 斯くして、私たちはお風呂へ。ラティーファさんはお付きの人とか居なくて大丈夫なのかなと思ったけど、練習して来たんだって。八洲の温泉旅館に泊まりに行くとか言ってたよ。完全に観光じゃん。


 ラティーファさんは私ほどでは無いがおっぱいが大きい。このメンバーだと……それでも真ん中より下なのか。恐ろしい。標準的な黒峰さんでさえ下から数えた方が早い……というか下にはメアリー嬢とガンマさんしか居ないよ!


 という訳でこの集団のトップに君臨してるのはアンネマリーさんです。僅差だけどね! 次席は凪沙。おかしい、私とはそこまで大きさ変わってなかったはずなのに。もしかして、タケルが成長させたの? 後で問い詰めよう。


 そして私。そう、大きのですよ、私も。というか元の世界でも割と大きい方でお前の取り柄は胸の大きさだけだな、なんて父親にも言われてた記憶もあるんだけど。そのせいでスケベじじいとかに目をつけられやすくてたまったもんじゃなかった。キューくらいの大きさなら面倒もないんだろうけど。


 黒峰さんもジョキャニーヤさんもそこまで大きくない。というか標準的。少しだけジョキャニーヤさんの方が大きいかもしれない。ジョキャニーヤさんの場合は一部筋肉によるブーストも入ってるけど。ジョキャニーヤさんは均整が取れてるというか。バランスがいいというか。スリムで綺麗。


 ガンマさんは大きさ等気にしてないみたいな顔している。潜入などにはスリムな方がいいって言ってた。キューも同じこと言ってたな。でもキューはそれでも普通にはある方だと思う。


 メアリー嬢は……まあ年齢の標準よりかは小さいかなって思うけど、身長もそこまででもないしね。背が低いのも胸が小さいのも気にしてるみたい。いや、あの、それこそが裕也さんにどストライクなんだと思うんですけど。というか成長したらどうするんだろう?


 あ、この屋敷のメイドさんは小ぶりな人が多いみたい。メアリー嬢を迎えた時にコンプレックスを抱かなくて済むように、なのか、単に裕也さんが巨乳を邪魔だと思ってるのかは明言しないでおこう。雇用主の意向ってやつだ。


 お湯に浸かるとぷかぷかとおっぱいが浮いてたりする。浮力を発見して、ユーリカ!って叫ぶみたいな。あ、エウレーカの方が近いんだっけ?


「皆さん、とても、大きいのですね……大人のレディというのはやはり、その、大きさが大事なのでしょうか?」


 泣きそうな顔をしているメアリー嬢。いや、ぶっちゃけ私は豊胸薬も作れると思う。作れると思うよ? でもね、それをやってしまうと何か大事なものが壊れてしまうような。裕也さんの正気度とか。正気度サンチェックで成功して十面一個、もしくは失敗して百面一個減らすような。いあいあ、はすとぅーる! ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん! はっ、今なにか……


 ラティーファさんがメアリー嬢を抱き寄せて言う。頭を撫でているのがとても気持ちよさそうな感じだ。私も撫でて貰いたいかも。


「メアリーさん、私はファハド王子に見初められた時にはそんなに胸が大きくなかったのです」


 これは聞いている。というかファハド王子がラティーファさんを見初めたのって就学前って聞いてたんだけど。そもそも幼なじみじゃん。


「あっ、私も。タケルが初めて好きって言ってくれたのはこんなに胸が大きくなってない頃だったよ!」


 凪沙に至っては幼稚園の頃に将来結婚しようねって約束された!って騒いでたからね。当のタケルがそれを忘れてたって事がなければ美談だったんだけど。


 つまり、どちらも特殊ケース。それでもこのメンバーの中で特定の伴侶が居るのがこの二人なんで説得力はある。


「そうよぉ、胸なんて大きくてもいいことなんかないんだからね! こないだだってどこぞのおっさんに一晩いくらや?って聞かれて」


 はい、教育に悪いからアンネマリーさんはストップ。というか大きいなら大きいなりに問題があるものなんですよ。一番均整取れてるのはジョキャニーヤさんだけど、そもそも腹筋からして反則だもんね。なんで腹が八つに割れてんのよ。頬擦りしたいわ!


「心配ないわ、メアリーの好きな裕也さんは胸の大きさでどうこう言うような人ではないもの。人間性を見てくれているのよ」


 嘘だ。メアリー嬢が巨乳になったら三日三晩泣き喚くであろう確信がある。黒峰さんもそう思ってるだろうに何も言わない。凪の海に波風を立てる必要などどこにもないのだ。


 メアリー嬢は「そうですよね!」と元気を取り戻したらしい。身体に磨きをかけるべく、肌をこしゅこしゅとスポンジで擦っている。タオルだと傷付いちゃうんだって。珠のお肌ってやつだね。


 それから湯船でゆったり話しながら上がってコーヒー牛乳を飲む。フルーツ牛乳という選択肢もあったけど、今回はコーヒー牛乳だ。腰に手を当てて、一気に流し込む! これぞ、礼法。


 男性たちの方も風呂から上がっていた様で、お風呂場の前で談笑していた。裕也さんの目は風呂上がりのメアリー嬢に向いている。ほら、やっぱり、巨乳には見向きもしてないっていうか敢えて視界に入れてないよ。


 タケルは凪沙ににっこりしている。凪沙がつつつとタケルのところに行って腕を絡めている。もしかして、だいぶ関係性進んだ? あー、まあそりゃあ邪魔者な私が居なかったもんね!

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